2.事業の概要と成果 (1)上位目標の達成度 本事業で、事業対象村のコミュニティ道路が合計 1594 m 整備された。これにより、市場や社会サービスへのアクセスが改善し、村の生活水準の向上に貢献した(道路整備前後の定量的な変化は、添付資料_成果リストを参照)。 ま た作業を通して、住民グループ(以下、道路委員会と表記)が道路補修技術を習得し、事業終了後も自発的に道路の維持管理を行う体制が確立された(実際に本事業期間中にそ れぞれの事業地で平均して約 2...
(様式4)
日本NGO連携無償資金協力 完了報告書
1.基本情報 | |
(1)案件名 | 官民連携での地方道路整備体制確立に向けた未舗装道路改修事業(第 2期) |
(2)事業地 | ミャンマー |
(3)贈与契約締結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2018年2月19日 ・事業期間:2018年2月23日~2019年2月22日 |
(4)供与限度額 及び実績(返還額) | ・供与限度額:26,918,060 円 ・総支出:26,741,842 円(返還額:176,341 円,利息 123 円含む。) |
(5)団体名・連絡先,事 業担当者名 | 事業申請書での記載から変更無し |
(6)事業変更の有無 | 事業変更承認の有無:無 事業変更報告の有無:有 (ア) 報告日:2019年1月9日 内容:福林理事の給与支払い体制の変更 (イ) 報告日:2019年1月21日内容:派遣する専門家の変更 (ウ) 報告日:2019年1月21日 内容:xx理事長の派遣についての変更 (エ) 報告日:2019年2月5日 内容:xx職員の派遣についての変更 |
2.事業の概要と成果 | |
(1)上位目標の達成度 | 本事業で、事業対象村のコミュニティ道路が合計 1594 m 整備された。これにより、市場や社会サービスへのアクセスが改善し、村の生活水準の向上に貢献した(道路整備前後の定量的な変化は、添付資料_成果リストを参照)。 また作業を通して、住民グループ(以下、道路委員会と表記)が道路補修技術を習得し、事業終了後も自発的に道路の維持管理を行う体制が確立された(実際に本事業期間中にそれぞれの事業地で平均して約 2 回、道路維持管理のための補修が実行されている)。またエーヤワディ地域では各村の道路委員会のメンバーからリーダーシップをとれるメンバーを選抜し、村の枠を超えて CSO(Civil Society Organization)を結成している。CSO は政府機関やドナーに資金を申請し、自分たちの力で地域内の道路補修事業を行うことを目的としている。申請団体が CSO への研修を行うことでその能力強化がなされ、実際に CSO が自発的に他のドナーから資金を得てのxxxxが実施された。これらは将来的に行政(もしくは他のドナー)と協力し、村落コミュニティ自身が道路整備を実施する体制に つながる。そして農村部の生活水準の向上につながると考えられる。 |
(2)事業内容 | 活動1:道路整備技術普及及び維持管理計画研修 (1-1)グループリーダーへの施工に関する研修 (1-2)実施工とグループメンバーへの施工に関する研修 (1-3)維持管理計画及びコミュニティ組織強化研修 (1-4)各地区内のコミュニティ、僧侶へ向けた現場視察、道路整備技法についての研修 (事業地) I. シャン州ペコン地区ハンピュー村補修延長1,250 m II. マグエ地域シンバウエ地区レマ村補修延長 344 m 活動2:道路整備に特化したCSO の結成、研修 (2-1)各地区での道路整備に特化した CSO のアソシエーション登録組織登録 (2-2)CSO 運営管理強化研修 (2-3)CSO 実地メンバー研修 (事業地) I. エーヤワディ地域ピャポン地区 II. マグエ地域シンバウエ地区 活動3:コミュニティ組織強化研修及び維持管理計画研修 (事業地) マグエ地域シンバウウェ地区タマ村 活動4:地方政府、地方道路開発局(以下、DRRD と表記)エンジニアへの各事 業地の報告や道路整備技法共有 |
(3)達成された成果 | 活動1:道路整備技術普及及び維持管理計画研修 (1-1)グループリーダーへの施工に関する研修 施工開始前に、各村の道路委員会のリーダー、リーダー補佐と共に①対象道路の現状と問題点の把握、現地調達可能資材の調査、②策定した計画について道路沿線住民間との合意形成、を行なった。 |
さらに、道路委員会が道路整備を行う上で指導的な立場となれるように③労務人員管理、資機材の管理・施工記録に関する研修を行った。
その結果として、シャン州、マグエ地域の事業地の道路委員会リーダー及びリーダー補佐は本事業において指導的な立場で施工監督や資機材の管理を行えていることが確認された。
(1-2)実施工とグループメンバーへの施工に関する研修
道路委員会メンバーが本事業を通して下記①~③に示す事柄を習得できるように研修を行った。
① 策定された計画に基づいて資機材を調達、保管する。
② 道路委員会リーダーとリーダー補佐が施工監督し、住民参加による施工を行う。
③ メンテナンス工事を実地する。
それぞれの地域での研修参加人数と日数は以下の表の通りである。
なお、村人の仕事の関係でリーダーの研修参加人数が当初の想定より少なくなっているが、研修に参加できなかったリーダー及び住民メンバーには、実施工を通して適宜研修を行った。
村名 | ハンピュー | レマ |
リーダー(人) | 1 | 1 |
リーダー補佐(人) | 2 | 3 |
工事研修参加者(人/日) | 30 | 50 |
工事研修日数合計(日) | 100 | 120 |
施工延長(m) | 1,250 | 344 |
グループメンバーは研修内容を理解し、適切に道路整備を行えていることが日本人専門家及び現地エンジニアによって確認された。施工延長としては、シャン州ハンピュー村では1,250 m、マグウェ地域レマ村では344 mの道路補修が完了した。それによって村から幹線道路までの移動にかかる時間や、登校日数、出荷回数などにも変化が見られた(添付資料_事業成果リスト参照)。
(1-3)維持管理計画及びコミュニティ組織強化研修
それぞれの事業地において、コミュニティ自身が今後も持続的に維持管理を行えるように下記①~③の研修を行った。
① 雨季における道路の損傷箇所の把握、記録に関する研修
② 維持管理補修の方法、維持管理計画の立案に関する研修
③ コミュニティが有効な資金運用を行うための、会計処理能力研修
その後研修を行った村の道路委員会が自発的に道路維持管理を計画、実施し(各村にて年間約 2 回)、以下の①、②の村にて道路品質を保っていることが確認された。
① シャン州ペコン地区ハンピュー村
② マグエ地域シンバウエ地区レマ村
(1-4)各地区内のコミュニティ、僧侶へ向けた現場視察、道路整備技法についての研修
本年度事業地のシンバウエ地区レマ村に周辺村の住民を招待し、道路整備技法
についての研修を行った。本研修には、想定していたよりも多くの参加者が集まった。(参加コミュニティグループ計 6 箇村、参加者 80 名)
活動2:道路整備に特化したCSO の結成、研修
(2-1)各地区での道路整備に特化した CSO のアソシエーション登録
CSO の対外的な認知度の向上を図り、DRRD などの行政機関や他ドナーと協働での地域道路整備実施を目指すため、 エーヤワディ地域ピャポン地区、マグウェ地域シンバウウェ地区、各事業地を管轄する市役所(General Administration Department)に対して以下の流れで CSO のアソシエーション登録に向けた活動を行った。
1) 最初に他団体の CSO 登録の事例を調べ、組織手続きの流れや他の CSO の定款内容などの確認を行った。
2) CSO の目的や将来像、構成員それぞれの役割、組織内での規定などを、現地スタッフのサポートの中で CSO メンバー自身が議論した。それを経て 1)で調べた内容を参考にしながら定款を作成した。
3) GAD での組織登録のため上記の定款を含めた組織登録申請書を作成した後、 CSO メンバーがGAD を訪問し、現地スタッフのサポートのもと組織登録についての打ち合わせを行った。
4) 上記打ち合わせで GAD 職員からの質問、指摘を受けて、再度 CSO メンバーで議論し、それを経て申請書の修正などの対応を行い、再度 GAD へ提出した。
5) 上記の、GAD へ申請書提出→GAD から受けた指摘への対応、を合計 3 回繰り返し、現在 3 回目の打ち合わせで受けた指摘の対応を組織内で進めている。
上記の様にCSO の組織登録に向けた活動を行ったが、以下の理由により本年度期間中に組織登録を終えることが出来なかった。
・CSO メンバーの 1 人が GAD に勤めており、彼が CSO の組織登録に関して GAD と交渉する役割を担っていたが、交通事故により約 2 ヶ月間入院することとなり、 XXX との交渉を進めることが遅れてしまったため
・組織登録の申請先が GAD であり、本事業のカウンターパートである DRRD と異なるため、当方事業の内容や CSO の組織登録の必要性の理解を得るのに時間を要し、登録手続きに関して GAD から迅速な対応が得られなかったため
・登録手続きを進めている途中に、窓口となる部署での人事異動により担当職員が変わってしまい、円滑に手続きを進めるのが困難であったため。
組織登録を完了するため H30 事業の中で引き続き GAD との交渉を続け、組織登録に向けた活動を行う。
(2-2)CSO 運営管理強化研修
各村落を統括し地域の道路補修工事を実施する組織としての、道路整備や維持管理補修に関する技術面や、組織の運営管理について研修を行った。研修対象人数と研修日数を下記表に示す。
地域 | 地区 | 研修人数 | 合計研修日数 |
エーヤワディ | ピャポン | 16 | 21 |
マグエ | シンバウエ | 15 | 14 |
(2-3)CSO 実地メンバー研修
エーヤワディ地域ピャポン地区では実地研修として、CSO が他団体へ申請して実施する道路整備事業を想定した小規模パイロット事業を実施した。研修参加者のCSO メンバーが主体となって測量、設計、積算、申請書作成、道路整備実施、完了報告書作成を行い、適宜日本人専門家、現地スタッフが指導するという流れで実施した。
マグウェ地域シンバウウェ地区ではレマ村での施工現場に CSO メンバーを招集し、施工作業を通して、道路整備技法、資材選定、資材管理などについて研修を行った。
地域 | 地区 | 研修人数 | 合計研修日数 |
エーヤワディ | ピャポン | 16 | 45 |
マグエ | シンバウエ | 15 | 30 |
将来的に CSO が地方道路開発局や他のドナーと連携して道路整備が実施される体制の定着を図るために上記活動を実施した。
エーヤワディ地域では本年度事業を含めた過去 5 年間での事業実績により、 CSO の道路整備に関しての能力や意識が高く、また村同士の位置が近いことにより各村同士で緊密な連携が取れているため、CSO が良く機能している。実際に本年度事業期間中、CSO が台湾のキリスト教系寄付団体に申請し、350 万チャット
(約 25 万円)の資金を得て橋梁修理を行った事例がある。エーヤワディ地域においては行政(もしくは他のドナー)と連携しての、CSO による道路整備が行われる事例を引き続き作っていくため、研修を続けて CSO の能力強化を図ると共に、引き続き行政や他のドナーに対して、CSO の周知や連携事業の実施に向けた交渉を続けていく。
マグウェ地域でもシンバウウェ地区ミンカン村(H27 事業対象村)、タマ村(H28事業対象村)、レマ村(本年度)の道路委員会メンバーから CSO を結成した。しかしマグウェ地域の場合は村同士の距離が遠いため、CSO が一つの組織として地域全体の道路整備を担っていくことがエーヤワディ地域の場合と比べて難しい。そのためマグウェ地域では各村の道路委員会の能力強化を続け、持続的に各村で村落道路の維持管理を実施することができる体制の定着を図っていく。
活動3:コミュニティ組織強化研修及び維持管理計画研修
H28 年に本 NGO 連携無償資金協力事業で事業を行ったマグエ地域シンバウウェ地区タマ村にて、住民による道路整備技術の習得と、自発的に道路補修を行う体制の確立のための研修を行った。本研修には村人 30 名が集まり、当初の予定よりも多くの村人が参加した。本研修に先立って日本人専門家が作成した道路の維持管理補修についてのマニュアル(英語、ミャンマーを併記)を配布して、道路補修の考え方や方法を説明した後、現場での実地研修(道路損傷部を対象に実際の道路補修)を実施した。
参加者は本研修内容を理解して、実際に本年度事業期間中に 2 回、タマ村の道路委員会が本研修の内容に則って自発的に道路補修を実行している。
活動4:地方政府、地方道路開発局(DRRD)エンジニアへの各事業地の報告や道 路整備技法共有
2019 年 2 月 7 日にエーヤワディ地域、14 日にネピドー連邦領にて主に DRRD 職
員を招待して、合計2回の事業報告及び道路整備技法の共有を目的としたワークショップを行い、申請事業の説明、申請事業での道路施工技術の紹介、CSO という組織についての広報など行った。ネピドー連邦領でのワークショップでは現場へ案内し、過去に施工した道路を実際に見てもらう中で道路施工技術の共有、参加者と日本人専門家との意見交換がなされた。ネピドーでのワークショップの様子はネピドー連邦領内で刊行されている地方新聞に掲載された(詳細は添付資料
_本事業についてミャンマー国内で報じられた新聞記事についての補足資料を参照)。
・エーヤワディ地域のワークショップ
地方道路開発局の職員:11 名(エーヤワディ州都パテイン DRRD 局長を含む)
・ネピドー連邦領のワークショップ
地方道路開発局の職員:21 名(ネピドー連邦領 DRRD 副局長を含む)世界銀行職員:1 名
As Cap 職員:1 名( Asia Community Access Partnership:東南アジアで各国の道路行政をパートナーとして、農村部で有効な道路標準や維持管理方法について調査、研究を行う団体)
また日本国内での広報活動として、兵庫県xx市にて日本人専門家がミャンマー事業についての写真展を実施した。過去 5 年間の事業実施の中で撮影した写真を展示し、5 日間で約 100 人の来場者があった。神戸新聞にその時の様子が掲載された(添付資料_事業内容、成果に関する写真_写真 32,33,34 参照)。
活動1~4 についてさらなる各地域の具体的な成果について、添付資料「成果リスト」にまとめた。
本活動での道路整備により、村から市場へのアクセスが良くなり、農村民が安定的に収入と食料を得られるようになった。これらの成果は、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標1:あらゆる場所で、あらゆる携帯での貧困に終止符を打つ」、
「目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」の達成につながる。
また村から学校、病院へのアクセスが改善することにより教育、医療サービスの利用可能人口が増えることは、「目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」、「目標4:すべての人々に包摂的かつxxで質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」の達成につながる。
また村から市街地へのアクセスが改善することで、村から市街地へ通勤することが容易になり、村人の就職の選択肢が増えた。これは「目標8:すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する」の達成につながる。
さらには、当方の活動はミャンマーの中でも未開発の農村地域を対象としている。農村民が道路アクセスの改善により、生活が豊かになりより発展することで
「目標10:国内および国家間の不平等を是正する」の達成に貢献すると考えられる。
本事業では、道路整備を実施する中で住民に道路補修に仕方を教えると共に、道路維持管理マニュアルを配布して研修を行い、維持管理活動を行うべき頻度や道路損傷部の見分け方なども教えている。それらを通して事業終了後も住民が自分たちで有効かつ効率的に道路の維持管理を続けていくことが可能になる。これにより各村の道路委員会によって適切な道路の維持管理がなされ、道路の品質が保たれることが期待される。
また CSO の結成を支援し、彼ら自身で道路整備事業を獲得、実行していくことが出来るようになるための活動を実施しており、実際にエーヤワディ地域では CSO が他のドナーから資金を得ての橋梁修理がなされた。CSO が行政や他のドナーと連携して道路整備や維持管理活動が行えるようになれば、該当地域のさらなる発展につながる。
(4)持続発展性
3.その他 | |
(1)固定資産譲渡先 | 固定資産の購入無し |
(2)特記事項 |
完了報告書記載日:2019年5月14日団体代表者名:理事長 xx x(印)
【添付書類】
① 事業内容、成果に関する写真
② 事業成果リスト
③ 日本NGO連携無償資金収支表(様式4-a)
④ 日本NGO連携無償資金使用明細書(様式4-b)
⑤ 人件費実績表(様式4-c)
⑥ 一般管理費等 支出集計表(様式4-d)
⑦ 外部監査報告書
⑧ 本事業についてミャンマー国内で報じられた新聞記事についての補足資料