国立大学法人群馬大学医学部附属病院治験に係わる標準業務手順書 CIRUGUS Version
国立大学法人群馬大学医学部附属病院治験に係わる標準業務手順書 CIRUGUS Version
初 版 平成 26 年 9 月 1 日第2 版 平成 27 年 12 月 8 日
国立大学法人群馬大学医学部附属病院
臨床試験部
Ⅰ 目的と適用範囲
本手順書は平成 9 年厚生省令第 28 号「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省
令」(以下「GCP 省令」という。)及び平成 17 年厚生労働省令第 36 号「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(以下「医療機器 GCP 省令」という。)並びに群馬大学医学部附属病院治験取扱規程(平成 16 年 4 月 1 日制定)(以下「治験取扱規定」とい
う。)及び国立大学法人群馬大学受託研究取扱規程(平成 16 年 4 月1日制定)に基づいて、国立大学法人群馬大学医学部附属病院長(以下「病院長」という。)が治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順を定めるものである。(GCP 省令第 36 条第1 項、第2 項 細則 1)
本手順書は、医薬品及び医療機器並びに体外診断用医薬品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。(GCP 省令第 3 条第 1 項、第 2 項 細則 1 細則 2)
本手順書で用いる様式のうち様式1から様式 18 並びに参考書式 1 から参考書式 2 につ
いては「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」の一部改正について(平成 26 年 7 月 1 日付
け医xx発 0701 第 1 号、薬食審査発 0701 第 1 号 厚生労働省医政局研究開発振興課長、医薬食品局審査管理課長 二課長通知)」の統一書式に関する記載上の注意事項に従い作成するもの(以下「統一書式」という。)とする。
医薬品の再審査申請、再評価申請又は副作用調査の際提出すべき資料の収集のために行われる製造販売後調査のうち「製造販売後臨床試験」を行う場合には、本手順書において、「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」と読み替えるものとする。(GCP 省令第 56 条第 1 項 細則 1)
医師主導治験を行う場合には、本手順書において、「治験依頼者」とあるのを「自ら治験を実施しようとする者」又は「自ら治験を実施する者」と読み替えるものとする。
Ⅱ 臨床試験審査委員会の設置及び業務
病院長は群馬大学医学部附属病院臨床試験審査委員会(以下「臨床試験審査委員会」という。)を設置する。臨床試験審査委員会の業務は、群馬大学医学部附属病院臨床試験審査委員会内規(平成 16 年 4 月 1 日制定)に基づいて、実施するものとする。(GCP
省令第 27 条第 1 項)
病院長は治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるにあたり、設置者その他の必要な事項を確認した上で、治験ごとに適切な治験審査委員会を選択し、審議を依頼することができる。(GCP 省令第 27 条第 1 項)
Ⅱ-1 臨床試験審査委員会の運営
臨床試験審査委員会は、毎月 1 回、群馬大学医学部附属病院の会議により開催することを原則とする。
委員長が開催を要すると判断した場合及び病院長が開催を要請した場合には、委員長は臨床試験審査委員会を開催することができる。
病院長は臨床試験審査委員会の会議の記録及びその概要を作成し、概要及び臨床試験
審査委員会委員名簿を群馬大学医学部附属病院のホームページにて公開するものとする。
(GCP 省令第 28 条第 2 項 細則 6)(GCP 省令第 28 条第 3 項 細則 3)
Ⅱ-2 迅速審査
臨床試験審査委員会は、既に承認された進行中の治験に係る次の各号に掲げる事項について、次回の臨床試験審査委員会までその事項を執行するための猶予期間がない場合には、迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は、委員長が行う。
(GCP 省令第 28 条第 2 項 細則 2)
(1) 治験の実施期間の変更
(2) 治験実施計画書、説明文書等において、被験者の負担にならないと判断される軽微な変更
(3) その他病院長から依頼された事項
迅速審査は、委員長が行い、必要に応じて他の委員の意見を求めることができる。委員長が出席できないとき及び委員長が審査の対象となる治験に関与するときは、副委員長又は委員長が予め指名した委員がこれを代行する。
委員長は、迅速審査の結果を「治験審査結果通知書」(様式 5)により、病院長に報告する。委員長は、迅速審査の内容と結果を次回の臨床試験審査委員会で報告する。
Ⅲ 群馬大学医学部附属病院臨床試験部の設置及び業務
群馬大学医学部附属病院における治験を円滑に実施することを目的として、病院長は群馬大学医学部附属病院臨床試験部規程(平成 16 年 4 月 1 日制定)に基づき、群馬大学医学部附属病院臨床試験部(以下「臨床試験部」という。)を設置する。臨床試験部の業務については本手順書の定めるところによる。(GCP 省令第 38 条)
群馬大学医学部附属病院における治験の受付は臨床試験部が行い、臨床試験審査委員会の事務局を兼ねるものとする。(GCP 省令第 28 条第 4 項 細則 1 細則 2)
Ⅲ-1 臨床試験部の構成
臨床試験部は群馬大学医学部附属病院臨床試験部部門要項(平成 16 年 4 月 1 日制
定)に基づき構成する。臨床試験部長は、臨床試験部の者1名が務める。
Ⅲ-2 臨床試験部の業務
臨床試験部は、病院長の指示により、臨床試験審査委員会の事務局および治験の実施に関して次に掲げる業務を行うものとする。
(1) 臨床試験審査委員会の委員の指名に関する業務
(2) 治験依頼者に対する必要書類の交付と治験申請手続きの説明および人事異動等による治験責任医師等の変更がある場合の連絡
(3) 臨床試験審査委員会が審査の対象とする審査資料の治験依頼者および治験責任医師からの受付(xxxx又は監査担当者の氏名が記載された文書の受け付けを含む)
(4) 責任医師・分担医師の要件に係わる業務
(5) 治験契約に係わる手続き等の業務
(6) 記録の保存
(7) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務および支援
(GCP 省令第 38 条第 1 項 細則 2)
また、臨床試験部は、臨床試験審査委員会委員長の指示により、次に掲げる業務を行うものとする。(GCP 省令第 28 条第 4 項 細則 1 細則 2)
(1) 臨床試験審査委員会の開催準備
(2) 臨床試験審査委員会の議事録(審議結果および採決に参加した委員の名簿を含む)の作成
(3) 臨床試験審査委員会で審議の対象とした資料、議事録、臨床試験審査委員会が作成した資料等、その他の必要な資料等の保存
(4) 本手順書の見直し案の作成、およびその他の標準業務手順書の策定
(5) その他臨床試験審査委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務および支援
さらに、臨床試験部は、被験者毎の治験薬投与開始日、投与終了日等の情報を集約し、治験の進捗管理と治験依頼者への請求業務を行う。
Ⅳ 治験の申請・依頼の受付等
治験の申請・依頼の受付等において「治験審査結果通知書」(様式 5)、「治験実施計画書等修正報告書」(様式 6)、「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)、「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」(様式 8)、「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書」(様式 9)、「治験に関する変更申請書」(様式 10)、「治験実施状況報告書」(様式 11)、「重篤な有害事象に関する報告書(医薬品治験)」(様式 12-1)、「重篤な有害事象に関する報告書(医薬
品治験:詳細記載用)」(様式 12-2)「有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験)」(様式 13-1)、「有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験):詳細記載用」(様式 13-2)、「重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器治験)」(様式 14)、「有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器製造販売後臨床試験)」(様式 15)、「安全性情報等に関する報告書」(様式 16)、「治験終了(中止・中断)報告書」
(様式 17)、「開発の中止等に関する報告書」(様式 18)は、文書又は本手順書「Ⅸ 治験手続の電磁化」に従い、電子ファイルで取り扱うものとする。
Ⅳ-1 治験審査前ヒアリング
治験申請書類が提出される際に治験依頼者に対してヒアリング(以下「治験審査前ヒアリング」という。)を行う。治験依頼者は、「治験審査前ヒアリング実施申込書」(様式 19)に必要事項を記入の上、臨床試験部宛に連絡する。治験審査前ヒアリング日時を決定する際、治験依頼者は、群馬大学医学部附属病院で当該治験を実施する予定の治験責任医師及び治験分担医師の中から 1 名以上との間で日程を調整し、「治験審査前ヒアリング実施申込書」(様式 19)により、臨床試験部に連絡して最終的な日時を確認する。
治験依頼者は治験審査前ヒアリングに必要な下記の資料を治験審査前ヒアリングのおよそ 1 週間前までに臨床試験部に提出する。
(1) 治験薬概要書 7 部
(2) 治験実施計画書 7 部
(3) 被験者の同意取得のための説明文書(患者にわかりやすい平易な文書で GCP 省令第 51 条に定める項目を含むもの) 7 部
(4) 被験者の同意書(原本、病院控え、患者控え) 7 部
(5) 研究経費算定調書(様式 21 のうち該当するもの) 1 部
研究経費算定調書は様式 21 の記載要領に従い作成する。研究経費の請求、支払いにつ
いては、様式 21 に記載された要領に従うものとする。
(6) 被験者負担軽減等の要望があるときは、その旨を記した要望書(任意様式)1 部負担軽減費の支払い、請求については様式 21 に記載された要領に従うものとする。
(7) 被験者の健康被害に対する補償について説明した文書 (任意様式)1 部
(8) 被験者の募集の手順に関する資料 (新聞広告等ある場合)(任意様式)1 部
(9) 治験に必要な器具等(見本や写真可)
Ⅳ-2 治験審査前ヒアリング実施の手順
1 治験審査前ヒアリングは、群馬大学医学部附属病院で当該治験を実施する予定の治験責任医師及び治験分担医師の中から 1 名以上、治験依頼者、臨床試験部に所属する医 師、薬剤師、臨床研究コーディネーター、データマネージャー及び事務職員が参加す る。(GCP 省令第 29 条第1 項 細則 4 細則 5)
2 治験依頼者は、20 分程度で治験の概要(治験薬等の概要、前相までの成績、対象患者条件、治験デザイン、併用禁止薬、今までに報告された有害事象、同意説明文書の内容など)を説明し、その後質疑応答を行う。
3 治験依頼者は、健康被害に対する補償の方針、前相までに発生した有害事象に対する補償の概略、モニタリング実施の予定回数と予定時期、研究経費算定調書、被験者の負担軽減に関する方策の有無、治験責任医師の学問的評価になるような論文発表の予定の有無等について回答を用意し治験審査前ヒアリングに臨む。
4 治験依頼者と臨床試験部は、治験契約について、双方の理解が十分得られるよう協議する。(GCP 省令第 13 条)
Ⅳ-3 治験の申請
治験依頼者は臨床試験審査委員会開催のおよそ 10 日前までに治験申請に関する必要書類を臨床試験部に提出し、病院長に治験の申請を行う。
Ⅳ-4 治験申請の必要書類
病院長は、治験依頼者及び治験責任医師に、下記の資料を提出させるものとする。受託研究契約書及び契約書返送用の封筒を除き、電子ファイルによる提出を推奨提出形式とし、提出される電子ファイルについては、各 1 部とする。
下記資料が文書で提出される場合には、臨床試験部において、本手順書「Ⅸ 治験手続の電磁化」に従い、電子ファイルに変換する。
(1) 「治験依頼書」(様式 3) 1 部
(2) 「治験分担医師・治験協力者リスト」(様式 2) 1 部
(3) 「受託研究契約書」(様式 20)(A4 版片面印刷上側袋とじ、両面の袋とじ部分に割印)及び契約内容に関する覚書等(任意様式) 各 2 部(GCP 省令第 32 条第 1 項 第 2項 細則 1 細則 2)(GCP 省令第 15 条の 7)
(4) 治験薬概要書 1 部(文書で提出する場合には 17 部)
(5) 治験実施計画書 1 部(文書で提出する場合には 17 部)
(6) 被験者の同意取得のための説明文書(患者にわかりやすい平易な文書で GCP 省令第 51 条に定める項目を含むもの) 1 部(文書で提出する場合には 17 部)
(7) 被験者の同意書(原本、病院控え、患者控え) 1 部(文書で提出する場合には 17部)
(8) 「治験概要」(様式 24) 治験を実施する予定の医療機関毎に 1 部
(9) 「モニター・監査担当者リスト」(様式 22)(モニタリング及び監査を担当する者の氏名、所属、職名を記載する) 1 部
(10) 治験責任医師の履歴書 (様式 1)1 部
(11) 「研究経費算定調書」(様式 21 のうち該当するもの) 1 部
(12) 被験者負担軽減等の要望があるときは、その旨を記した要望書(任意様式) 1 部
(13)被験者の健康被害に対する補償について説明した文書 (任意様式) 1 部 (14)被験者の募集の手順に関する資料 (新聞広告等ある場合)(任意様式) 1 部 (15)契約書返送用の封筒(角 2 号、宛名を明記) 1 部
上記(3)において、臨床試験部と治験依頼者は、受託研究契約書について十分協議し合意を得ること。(GCP 省令第 13 条)
Ⅳ-5 治験実施の承認等
治験実施の承認にあたっては、下記によるものとする。臨床試験部は治験審査前ヒアリングの結果を臨床試験審査委員会に報告する。
1 病院長は、臨床試験審査委員会に「治験審査依頼書」(様式4)により審査を依頼し、前記Ⅳ-4 の資料のうち、(1)、(2)、(4)、(5)、(6)、(7)、(10)、(11)、(12)、
(13)、(14)の資料を電子ファイルで提出するものとする。
2 病院長は、臨床試験審査委員会から治験の実施を妥当とする審査報告、又は治験実施計画書、症例報告書、同意文書及びその他の説明文書等について何らかの修正を条件に治験の実施を妥当とする審査報告を「治験審査結果通知書」(様式 5)により受けた場合には、これに基づいて指示又は決定を行い、その結果を「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。(GCP 省令第 32 条第 4 項、第 6 項)
3 病院長は、臨床試験審査委員会が、修正を条件に治験の実施を妥当と判断し、それに基づき治験責任医師及び治験依頼者が治験実施計画書等を修正した場合には、「治験実施計画書等修正報告書」(様式 6)及び修正した治験実施計画書等を提出させるものとする。2 名以上の臨床試験審査委員会委員が修正事項を確認した上で、病院長は治験の実施を承認する。臨床試験部は次回開催される臨床試験審査委員会に「治験実施計画書等修正報告書」(様式 6)及び修正された治験実施計画書等の修正部分を提出する。
(GCP 省令第 32 条第 1 項 第 2 項 細則 3)
4 病院長は、臨床試験審査委員会が治験の実施を不適当と判断し、その旨を「治験審査結果通知書」(様式 5)により報告してきた場合は、治験の実施を承認できない旨の決定を、「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」
(参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
5 病院長は、治験依頼者から臨床試験審査委員会の審査結果を確認するための文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、電子ファイルによりこれに応じなければならない。(GCP 省令第 32 条第 3 項 細則 4)(GCP 省令第 32 条第 6 項 第 7 項)
Ⅳ-6 審査終了後の資料の回収
治験依頼者は、審査終了後Ⅳ-4 の資料のうち、電子ファイルでない場合について
は、(4)、(5)、(6)及び(7)の資料を速やかに回収する。
Ⅳ-7 治験の契約等
1 病院長は、Ⅳ-5 により治験の実施を承認した後、治験依頼者と「受託研究契約書」
(様式 20)により契約を締結するものとする。契約期間は年度を越えた契約を締結することが出来るものとする。なお、契約期間は概ね 5 年を上限とする。事務手続きは、臨床試験部で行う。
2 治験実施期間中に受託研究契約書の内容を変更する際には、治験依頼者及び治験責任医師は「治験に関する変更申請書」(様式 10)を病院長に提出する。病院長は、臨床試験審査委員会にその妥当性の審査を求め、妥当との報告を受けた場合は「治験実施契約内容変更に関する覚書」(任意様式)により変更するものとする。
Ⅳ-8 治験実施計画書説明会及び治験進捗説明会の開催
臨床試験審査委員会による承認後、治験を開始する前までに、治験依頼者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び臨床試験部の者は、円滑に治験を実施するため に、治験実施計画書説明会を開催することができる。実施計画書と治験実施の手順について共通の理解を深め、互いにxxxxさせることに努めること。
また、治験開始後、治験依頼者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び臨床試験部の者は、治験の進捗を管理するために、治験進捗説明会を開催することができ る。治験依頼者は臨床試験部に治験進捗説明会の開催を求めることができる。
Ⅳ-9 治験の継続
病院長は、治験の期間が 1 年を越える場合には、年度末に、群馬大学医学部附属病院において治験を継続して行うことの適否について、臨床試験審査委員会の審査を求めるものとする。治験責任医師は治験の期間が 1 年を越える場合には、年度末に、「治験実施状況報告書」(様式 11)を病院長に提出する。(GCP 省令第 31 条第1 項)
1 契約期間を越えて治験の継続を希望する場合には、治験責任医師及び治験依頼者は
「治験実施状況報告書」(様式 11)、「治験に関する変更申請書」(様式 10)等を病院長に提出する。必要に応じて治験責任医師は治験依頼者と協議して「研究経費算定調書」
(様式 21 のうち該当するもの)を作成し、病院長に提出する。管理番号は必ず記入する。病院長は、治験の継続の妥当性について臨床試験審査委員会の審査を求めるものとする。(GCP 省令第 31 条第 2 項 第 4 項)
2 治験依頼者は、臨床試験部と日時等の調整を行い、継続手続きに必要な書類の提出時に治験の実施状況、プロトコールの遵守状況、有害事象などについて臨床試験部に対し説明する。
3 臨床試験審査委員会は、治験の実施状況、プロトコールの遵守状況、有害事象の発生
状況などについて臨床試験部から報告を受け、治験の継続の妥当性を審議し、その結果を「治験審査結果通知書」(様式 5)により病院長に報告するものとする。(GCP 省令第 31 条第 1 項)(GCP 省令第 32 条第 5 項)
4 病院長は、臨床試験審査委員会の審査結果に基づき、承認の可否を「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。修正を条件に承認する場合は、前記Ⅳ
-5-3 に準じるものとする。病院長は臨床試験審査委員会から承認の報告を受けた場合は「受託研究契約書」(様式 20)に加えて「治験実施契約内容変更に関する覚書」(任意様式)により継続の契約を締結するものとする。(GCP 省令第 31 条第 1 項 第 2 項)
5 病院長は、治験の継続審査等において、臨床試験審査委員会が既に承認した事項を取消すこと(治験の中止又は中断を含む)が妥当と判断し、その旨を報告してきた場合 は、「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。(GCP 省令第 33条第 2 項)
Ⅳ-10 治験実施計画書の変更
治験実施計画書の変更にあたっては、治験責任医師及び治験依頼者は、「治験に関する変更申請書」(様式 10)を病院長に提出するものとする。病院長は、臨床試験審査委員会の審査結果に基づき承認の可否を決定し、「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
Ⅳ-11 治験実施計画書からの逸脱
1 治験責任医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為について、診療録等に全て記録する。また、治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上のやむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」(様式 8)を治験依頼者及び病院長に提出する。(GCP 省令第 46 条第 1 項)
2 病院長は、治験責任医師が、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により、「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」(様式 8)を病院長と治験依頼者に提出した場合には、臨床試験審査委員会に意見を求める。臨床試験審査委員会がその判断を「治験審査結果通知書」(様式 5)により報告してきたときには、病院長は「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。この場合、治験責任医師は、病院長を経由して治験依頼者の合意を
「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書」(様式 9)により得ることとする。(GCP 省令第 46 条第 1 項 細則 4)
Ⅳ-12 有害事象の発生(群馬大学医学部附属病院での事象)
治験の実施中に有害事象の発生があった場合は、治験責任医師は、「重篤な有害事象に関する報告書(医薬品治験)」(様式 12)、「有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験)」(様式 13)、「重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器治験)」(様式 14)、「有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器製造販売後臨床試 験)」(様式 15)のうち該当するものを病院長と治験依頼者に提出するものとする。病
院長は、治験責任医師からこれらの提出があったときには、臨床試験審査委員会の意見を求める。臨床試験審査委員会がその判断を「治験審査結果通知書」(様式 5)により報告してきたときには、病院長は「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。(GCP 省令第 48 条第 1 項 第 2 項)(GCP 省令第 32 条第 4 項)
Ⅳ-13 新たな安全性に関する情報の入手(院外での事象)
新たな安全性に関する情報(他施設で発生した有害事象等)は、電子ファイルによる報告を推奨報告形式とする。治験依頼者は、新たな安全性に関する情報(他施設で発生した有害事象等)について、「安全性情報等に関する報告書」(様式 16)、治験依頼者様式の報告書、治験薬副作用・感染症症例票、治験薬重篤副作用等症例定期報告書等により、病院長及び治験責任医師に報告する。(GCP 省令第 20 条第1 項 第2 項 第3 項 第4 項)(GCP 省令第 26 条の 6 第 2 項)
治験依頼者による新たな安全性に関する情報(他施設で発生した有害事象等)が文書で報告される場合には、臨床試験部において電子ファイルに変換し、病院長及び治験責任医師に報告する。
病院長は治験依頼者より、新たな安全性に関する情報(他施設で発生した有害事象 等)を入手した場合は、治験の継続の可否について臨床試験審査委員会の意見を求め る。病院長が臨床試験審査委員会に求めた意見について、臨床試験審査委員会がその判断を「治験審査結果通知書」(様式 5)により報告してきたときには、病院長は「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。(GCP 省令第 31 条第4 項)
(GCP 省令第 32 条第 4 項)
Ⅳ-14 治験の中止、中断及び終了
1 治験の中止、中断及び終了にあたっては、治験責任医師は速やかに被験者に通知し、
「治験終了(中止・中断)報告書」(様式 17)を病院長に提出する。病院長は「治験終了(中止・中断)報告書」(様式 17)により臨床試験審査委員会と治験依頼者に通知する。(GCP 省令第 40 条第 1 項 第 2 項)(GCP 省令第 49 条第 1 項 第 2 項)
2 病院長は、治験依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、
その旨を「開発の中止等に関する報告書」(様式 18)により報告してきた場合は、「開発の中止等に関する報告書」(様式 18)により、治験責任医師及び臨床試験審査委員会に対し、速やかにその旨を通知するものとする。治験責任医師は、病院長から「開発の中止等に関する報告書」(様式 18)により、治験依頼者が治験を中止又は中断した旨の通知を受けたときには、速やかに治験を中止又は中断し、「治験終了(中止・中断)報告書」(様式 17)を病院長に提出し、病院長は「治験終了(中止・中断)報告書」(様式 17)により、治験責任医師が治験を中止又は中断したことを臨床試験審査委員会と治験依頼者に通知する。(GCP 省令第 40 条第 1 項 第 2 項 第 3 項)
3 治験の中止、中断及び終了にあたっては、治験依頼者は外注検査がある場合の伝票、採血管、検体チューブなど治験に必要な器具等のうち使用されなかったものについて回収する。
4 治験薬の回収については本手順書のⅦ-2−2、Ⅶ-2−4 によるものとする。
Ⅳ-15 モニタリング等への協力
病院長及び治験責任医師は臨床試験審査委員会及び国内外の規制当局による調査の対象医療機関に選定された場合には、これを受け入れる。(GCP 省令第 37 条第 1 項)
病院長及び治験責任医師は、治験依頼者から、依頼した治験が治験実施計画書を遵守して適正に行われていることを診療の記録を直接閲覧しながら確認するモニタリング及び監査の申し出があった場合は、協力するものとする。(GCP 省令第 37 条第1 項第2 項)
1 治験依頼者がモニタリング又は監査を行う場合には、契約時に提出した「モニター・監査担当者リスト」(様式 22)に記載された担当者のみが行う。担当者の変更がある場合は、新たに作成した「モニター・監査担当者リスト」(様式 22)を希望するモニタリング・監査・直接閲覧予定日の原則として 3 日前までに臨床試験部に提出する。(GCP 省令第 21 条)(GCP 省令第 22 条)(GCP 省令第 23 条)電子ファイルによる提出を推奨提出形式とし、文書で提出する場合には、臨床試験部において電子ファイルに変換する。
2 モニタリング又は監査を希望する場合には臨床試験部及び治験責任医師に申し出、三者の適当な日時を調整して実施する。モニタリング又は監査担当者は実施にあたり、本人確認を行える身分証を必ず臨床試験部へ提示すること。臨床試験部は、本人確認が出来る身分証とすでに提出されている「モニター・監査担当者リスト」(様式 22)を照合した上で、モニタリング又は監査の実施を許可すること。
3 診療録又は指示書の閲覧の要求がある場合は、臨床試験部で当該治験に関係ある部分のみを閲覧する。複写することはできない。
4 モニタリング及び監査は、その当日分を午後 5 時で終了することを原則とする。
5 治験依頼者は、診療録又は指示書から得られた患者情報についての守秘義務を遵守するものとする。
Ⅳ-16 治験責任医師及び治験依頼者への通知と異議申し立て手続き
病院長が臨床試験審査委員会に求めた意見について、臨床試験審査委員会がその判断を「治験審査結果通知書」(様式 5)により報告してきたときには、病院長は「治験審査結果通知書」(様式 5)若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式 1)により治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。(GCP 省令第 33 条第 1 項 第 2項 第 3 項)
治験責任医師、治験依頼者は臨床試験審査委員会の審査結果について異議申し立てをする場合には結果の通知を受領した日から 7 日以内に電子ファイル等により病院長に申し立てをするものとする。(GCP 省令に記載なし)
Ⅴ 治験責任医師及び治験分担医師の業務等
Ⅴ-1 治験責任医師及び治験分担医師の要件
群馬大学医学部附属病院における治験責任医師及び治験分担医師は、以下の要件を満たさなくてはならない。
1 治験責任医師及び治験分担医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者であること。治験責任医師は本学の助教以上の教員、治験分担医師は本学の職員で、原則として 5 年以上の臨床経験を有するものとする。(GCP 省令第 42 条第1 項 細則 1)
2 治験責任医師及び治験分担医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬の適切な使用法に十分精通していること。(GCP 省令第 42 条第 1 項 細則 2)
3 治験責任医師及び治験分担医師は、医薬品医療機器等法第 14 条第 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準並びに GCP 省令を熟知し、これを遵守しうるものであること。(GCP 省令第 42 条第 1 項 細則 1)
4 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有するものであること。(GCP 省令第 42 条第 1 項 細則 4)
5 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であること。(GCP 省令第 42 条第 1 項 細則 5)
6 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するために、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できるものであること。(GCP 省令第 42 条第 1 項 細則 6)
7 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は臨床研究コーディネーターに分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリスト「治験分担医師・治験協力者リスト」(様式 2)を作成し、予め病院長に提出し、その了承を受けること。(GCP 省令第 43 条第 1 項 細則 1)
8 治験責任医師は、治験分担医師、臨床研究コーディネーター等に、治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督を行うことができること。(GCP 省令第 43 条第 2 項 細則 1)
Ⅴ-2 治験責任医師の責務
治験責任医師は次の事項を行う。なお、治験依頼者は、治験責任医師と治験の実施についての合意に基づき、治験責任医師等の氏名を記載した「治験依頼書」(様式 3)を作成し、病院長へ提出する。(GCP 省令第 10 条第 1 項 細則 1)
1 治験責任医師は、治験依頼者から提供される治験実施計画書案、症例報告書案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。治験実施計画書及び症例報告書が改訂される場合も同様である。(GCP 省令第 7 条第 4 項 第 5 項 細則 3)
2 治験責任医師は、治験実施の申請をする前に、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書を作成す る。(GCP 省令第 9 条第 1 項 細則 1)(GCP 省令第 15 条の6 第1 項 細則 1)
3 治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、臨床試験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに病院長に提出すること。
(GCP 省令第 31 条第 2 項 細則 3 注 3)
4 原則として治験責任医師及び治験分担医師の中から 1 名以上は、当該申請治験が新規に審査される臨床試験審査委員会に出席して、その概要を説明し、委員の質問に答えなければならない。(GCP 省令第 29 条第 1 項 細則 4 細則 5)
5 治験責任医師は、臨床試験審査委員会が治験の実施又は継続を妥当と判断し、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を妥当と判断し、及び臨床試験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消す判断をした場合(治験の中止又は中断を含 む)は、これに基づく病院長の指示、決定に従うこと。(GCP 省令第 36 条第 1 項 第 2項 細則 2)
6 治験責任医師は、臨床試験審査委員会の決定を遵守して治験を実施すること。(GCP省令第 36 条第 1 項 第 2 項 細則 2)
7 治験責任医師は、臨床試験審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく病院長の決定がなされる前に、被験者を治験に参加させてはならない。(GCP 省令第 28 条第 2 項 細則 2(7))
8 治験責任医師は、治験実施計画書における被験者の選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者の選定にあたっては、人権擁護の観点及び治験の目的に応 じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師との信頼関係、他の治験への参加の有無を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討する。(GCP 省令第 44 条第 1 項 細則 1)
9 治験責任医師は、同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。(GCP 省令第 44 条第1 項 細則 2)
10 治験責任医師は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払わなくてはならない。(GCP 省令第 44 条第 1 項 細則 3)
11 治験責任医師は、治験薬を承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用すること。(GCP 省令第 45 条第 1 項 細則 1)
12 治験責任医師は、治験薬の正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験薬にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認すること。また、治験責任医師の指示により、臨床研究コーディネーターにこの業務を代行させる場合は、臨床研究コーディネーターの指導、監督を行うこと。(GCP 省令第 45 条第1 項 細則 1)
13 治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者及び病院長に速やかに報告書を提出するとともに、変更の可否について病院長の指示を受けること。(GCP 省令第 46 条第 1 項細則 6)
14 治験責任医師は、治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合は、重篤で予測できない副作用を特定した上で速やかに病院長及び治験依頼者に文書(様式 12 又は様式 13)で報告するとともに、治験の継続の可否について病院長の指示を受けること。(GCP省令第 48 条第 2 項、第 3 項 細則 2)
15 治験責任医師は、治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、治験依頼者に提出すること。また、治験分担医師が作成した症例報告書については、それらが治験依頼者に提出される前にその内容を点検し、問題がないことを確認した上で記名押印し、又は署名するものとする。(GCP 省令第 47 条第 1 項 細則 1)
16 治験責任医師は、治験終了後、速やかに「治験終了(中止・中断)報告書」(様式 17)を病院長に提出すること。(GCP 省令第 49 条第 3 項 細則 1)
Ⅴ-3 被験者の同意の取得
被験者の同意の取得にあたっては、下記の各条項によるものとする。
1 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して同意文書及びその他の説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。(GCP 省令第 50 条第 1 項 細則 1)
2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者が署名し、各自日付を記入するものとする。なお、臨床研究コーディネーターが補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も署名し、日付を記入するものとする。(GCP 省令第 52 条第 1 項 細則 1 細則 2)
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従っ
て署名と日付が記入された同意文書の写し及びその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、同意説明文書及びその他の説明文書が改訂された場合は、その都度新たに前項の規定に従って、署名と日付が記入された同意文書の写し及び改訂されたその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。
(GCP 省令第 53 条第 1 項)(GCP 省令第 54 条第 1 項 細則 1)(GCP 省令第 54 条第 2 項第3 項)
4 治験責任医師、治験分担医師及び臨床研究コーディネーターは、治験への参加又は治験への参加継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
((GCP 省令第 52 条第 2 項 細則 1)
5 同意文書及びその他の説明文書並びに説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるか、それを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、医療機関、治験依頼者の法的な責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれてはならない。(GCP 省令第 51 条第 2 項 細則 1)
6 文書による説明並びに同意文書には、被験者が理解可能で、可能なかぎり非専門的な言葉が用いられていなければならない。(GCP 省令第 51 条第 3 項 細則 1)
7 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての臨床研究コーディネーターは、全ての質問に対して被験者が満足するように答えなければならない。(GCP 省令第 50 条第5 項 細則 1)
8 治験の同意に関連しうる新たな重要な情報(明らかに治験薬と因果関係のある有害事象等)が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき同意文書及びその他の説明文書を改訂し、予め臨床試験審査委員会の承認を得なければならない。
(GCP 省令第 54 条第 2 項、第 3 項 細則 1)
9 治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
(GCP 省令第 54 条第 1 項 細則 1)
10 被験者の同意取得が困難な場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書を読めない場合については、被験者となるべき者の代諾者からその同意を得ること。(GCP 省令第 50 条第2 項 第3 項)(GCP 省令第 55 条第 1 項)(GCP 省令第 7 条第3 項)(GCP 省令第 15 条の 4 第 3 項)
11 被験者となるべき者又はその代諾者となるべき者が説明文書を読むことはできないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合は説明に際して公正な立会人を立ち会わせること。この場合には、立会人も同意文書に署名し、自ら記入すること。(GCP 省令第 52 条第 1 項 細則 2)
12 緊急状況下における救命的な内容の治験であって、被験者となるべき者の事前の同意が不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合には、次の全てに該当する場合に限り治験に参加させることができる。被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること、現在の利用可能な治療方法では十分な効果が期待出来ないこと、被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること、予測される被験者に対する不利益が最小限度のものであること、代諾者となるべき者と直ちに連絡をとることができないこと。(GCP 省令第 55 条第 1項 第 2項 細則 1)
13 被験者に対する直接の臨床的利益が予測されない非治療的な内容の治験において
は、同意を得る事が困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。非治療的な内容の治験において、同意を得ることが困難な被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行う場合には、次に掲げる事項が全て満たされていなければならな い。治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ、低いこと、代諾者となるべき者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる事を明示した上で、臨床試験審査委員会に承認の申請がなされ、被験者の参加を承認することが「治験審査結果通知書」(様式 5)に記載されていること。(GCP 省令第 50 条第 4 項 細則 1 細則 2 細則 3)
Ⅴ-4 治験責任医師及び治験分担医師の業務
治験責任医師及び治験分担医師は、治験が円滑に実施されるために、次の事項を行うものとする。
1 治験を開始する際、原則として臨床試験部に治験開始の連絡をすること。
2 治験概要に記載された必要事項(患者氏名、ID、医師名、年月日、開始日、予定終了日など)を確認すること。
3 同意書(3 枚複写)による同意を得ること。1 枚を診療録に収録し、残りは被験者と治験薬管理者に提出すること。
4 被験者が外来患者の場合は外来受診票に「治験開始」の印を押し、医事会計担当者に提出すること。
5 治験薬の処方がある場合は、被験者にその内容を説明し、処方せんを発行すること。
6 治験薬を患者が戻してきた場合は、治験薬管理者に返還すること。
7 採血・採液及び医事会計については、「臨床試験指示票」に必要事項を記入し、被験者に内容を説明した上で手渡すこと。
8 治験を終了又は中止する時は、外来患者の場合は外来受診票に「治験終了」若しくは
「治験中止」の印を押し、医事会計担当者に提出すること。
9 被験者に臨床研究コーディネーターが付き添う場合は、前記の業務を代行させるために必要な指示をすること。
Ⅴ-5 被験者に対する医療
1 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。(GCP省令第 45 条第 3 項 第 4 項 細則 1)
2 病院長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要になったことを知った場合には、被験者にその内容を伝えなければならない。
(GCP 省令第 45 条第 3 項 第 4 項 細則 2)
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
(GCP 省令第 45 条第 2 項 細則 2)
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。(GCP 省令第 45 条第 3 項、第 4 項 細則 3)
Ⅵ 臨床研究コーディネーターの業務等
Ⅵ-1 臨床研究コーディネーターの役割
臨床研究コーディネーターは、治験の倫理性、科学性、信頼性を保証し、治験を円滑に実施するための活動を行うものとする。臨床研究コーディネーターは、治験協力者として指名され、治験責任医師により指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師の業務に協力する。(GCP 省令第2条第 14 項 細則 5)
Ⅵ-2 臨床研究コーディネーターの業務
臨床研究コーディネーターは以下の業務に従事する。
1 治験審査前ヒアリング、臨床試験審査委員会への参加
2 インフォームド・コンセントへの参加
3 被験者のスケジュール管理
4 症例報告書の記入補助
5 直接閲覧やモニタリングの立ち会い
6 臨床試験部における業務
7 その他、治験を円滑に実施するために必要な事項
Ⅶ 治験薬の管理
Ⅶ-1 治験薬の管理責任
1 治験薬の管理責任は、病院長が負うものとする。(GCP 省令第 39 条第 1 項 細則 1)
2 病院長は、治験薬を適切に保管・管理させるために、治験薬管理者を置くものとする。(GCP 省令第 39 条第 1 項 細則 2)
3 治験薬管理者は、必要に応じて治験薬管理補助者及び治験薬調剤担当薬剤師を置き、治験薬の保管・管理を行わせることができる。(GCP 省令に記載なし)
Ⅶ-2 治験薬管理者の業務
1 治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管、管理等に関する文書に従って適正に治験薬を保管、管理するものとする。治験薬は他の医薬品と区別して保管、管理する。(GCP 省令第 39 条第 1 項 細則 4)
2 治験薬管理者又は治験薬管理補助者は、治験薬の受領に関する文書(任意様式)を治験依頼者と取り交わし、治験薬を受領するものとする。その際、治験薬管理者又は治験薬管理補助者は、治験薬名、数量、ロット番号、有効期限、保管条件等を確認するものとする。治験薬管理補助者又は調剤担当薬剤師は、被験者の同意書の写しを確認した上で処方箋に基づいて調剤し、相互作用や併用禁止を監査・確認した後、患者に交付するものとする。被験者の同意書の写しは治験薬管理表とともに保管する。(GCP 省令第 39条第 1 項 細則 4)(GCP 省令第 26 条の 2 第 6 項 細則 1)
3 治験薬調剤担当薬剤師は、治験薬を調剤し、交付する際、治験薬管理表(医薬品受払簿)に ID、処方量、処方日、処方日数などを記載するものとする。(GCP 省令第 39 条第 1項 細則 5)
4 治験が終了し、治験依頼者が未使用の治験薬を回収する時は、治験薬管理者又は治験薬管理補助者との間で治験薬返還に関する文書(任意様式)を取り交わし、速やかに回収するものとする。
Ⅷ 記録の保存記録の保存については、下記によるものとする。
Ⅷ-1 記録の保存期間
病院長は、医療機関において保存すべき必須文書を、下記の(1)又は(2)のうちいずれか遅い日までの期間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。(GCP 省令第 26 条第 1 項 細則 1 細則 2 細則 3)
(1) 当該治験薬についての製造若しくは輸入の承認を受けた日。開発が中止された場合
には、開発中止が決定された日から 3 年が経過した日
(2) 治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
製造販売後臨床試験においては、当該被験薬の再審査又は再評価が終了した日から 5年が経過した日までの期間保存するものとする。
Ⅸ 治験手続の電磁化
Ⅸ-1 用語の定義
用語 | 定義 |
電磁的記録 | 人の知覚では認識できない、電子式・磁気式・光学式などの方法で記録され、コンピュータで処理される記録 |
文書 | 紙媒体による資料 |
電磁的記録利用システム | 治験依頼者、実施医療機関の長、治験責任医師並びに治験審査委員会の間での電磁的記録の作成、交付、受領及び保存に用いるシステム |
コンピュータ・システム・バリデーション | コンピュータシステムが、完全性、正確性、信頼性及びユーザーの意図(ユーザー要求、使用目的等)どおりに確実に動作す ることを検証・保証し、文書化すること |
実務担当者 | 規定や文書等で責任者の行うべき業務の権限を与えられ、代行 する者 |
原データ | 治験の事実経過の再現と評価に必要な情報であり、最初に記録された文書又はその Certified Copy に含まれる |
治験関連文書 | 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 9 年厚生省令第 28 号、以下「GCP 省令」)に基づき治験依頼者、実施医療機関の長、治験責任医師並びに治験審査委員会間で交付、受領される文書 |
CIRUGUS | 群馬大学医学部附属病院で使用する電磁的記録利用システム で、Clinical Investigation and Research Unit Gunma University Service の頭文字を取って CIRUGUS の愛称が付け られている。 |
Ⅸ-2 目的
本章は、治験手続きを電磁化する際の標準業務手順を定め、電磁的記録を用いた治験手続きの信頼性を確保し、効率性を推進することを目的とする。
Ⅸ-3 基本的な留意事項
本手順書の適応範囲内において治験関連文書を電磁的記録として利用する際は、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について
(平成 17 年 4 月 1 日付け薬食発第 0401022 号 厚生労働省医薬食品局長通知)」で求められる要件に留意し、電磁的記録利用システム又はその運用手順により電磁的記録の信頼性を確保する必要がある。特に手順で信頼性を確保する場合は、「「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方」の一部改正について(平成 26 年 7 月 1 日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)」に掲げられた留意事項を踏まえて手順を整備し、実施した事実経過を後日第三者が検証可能となるよう記録する。
また、治験契約前から治験関連情報の電磁的記録を入手することを鑑み、機密性の確保に努める。
Ⅸ-4 適用範囲
治験手続きの電磁化の適応となる範囲は以下の通りとするが、治験依頼者が、治験手続及び治験関連文書について文書での取り扱いを部分的に行う場合には、協議の上、合意した内容についての記録を残し、適用範囲を明確化するものとする。
1 電磁化の適応となる治験手続き範囲
(1) 群馬大学医学部附属病院による治験関連文書の作成及び交付
(2) 治験依頼者及び臨床試験審査委員会が作成した治験関連文書の受領並びに保存
(3) 治験関連文書の破棄
2 電磁化の適応となる治験関連文書
(1) 本手順書で用いる様式のうち、統一書式に該当する様式 1 から様式 18 並びに参考書式 1 から参考書式 2。
(2) 統一書式に添付される以下の資料
実施計画書、治験薬概要書、症例報告書見本、同意・説明文書、健康被害の補償に関する資料、被験者への支払いに関する資料、治験参加募集手順の資料、安全性等に関する資料、その他の審議資料。
3 電磁化の適応外となる治験関連文書
(1) 署名等が求められる以下の文書
治験実施計画書の合意を証するための記録、契約書、同意文書、症例報告書。
Ⅸ-5 電磁的記録の交付及び受領並びに保存
1 交付及び受領の手段
治験依頼者との協議により、以下の手段のいずれか又は複数の手段を用いる。
e-メール、DVD-R 等の記録媒体、クラウド等システムの交付及び受領のログ記録が残るシステム(CIRUGUS を含む)。
2 保存の手段
以下の手段のいずれか又は複数の手段を用いる。
DVD-R 等の記録媒体、自施設専用磁気ディスク(サーバー)、クラウド等システム
(CIRUGUS を含む)。
3 利用可能な電磁的記録のファイル形式
原則として以下のファイル形式にて資料の作成、交付、受領並びに保存を実施する。 Adobe Portable Document Format(PDF)、Microsoft Word、Microsoft Excel、
Microsoft PowerPoint。
4 交付及び受領並びに保存時のフォルダ名及びファイル名
「「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方」の一部改正について(平成 26 年 7 月 1 日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)」に基づき、治験依頼者と協議し決定する。なお、CIRUGUS を介して交付される書類については、 CIRUGUS 内で CIRUGUS 独自のファイル名が自動的に付与される。
Ⅸ-6 治験手続きを電磁化するための具体的な手順
1 信頼性を確保するために電磁的記録利用システムを使用する場合
(1) コンピュータ・システム・バリデーション
入力権限の設定及び監査証跡の付与等、電磁的記録利用システムにより電磁的記録の信頼性を確保する場合は、コンピュータ・システム・バリデーションがなされた電磁的記録利用システムを使用することとする。本手順書の範囲内で取り扱われる治験関連文書の電磁的記録については、以下の要件を満たしていることを確認し記録する。
・電磁的記録がセキュリティで保護されており、改ざん若しくは修正された場合には、その記録が残される機能又はプロセスになっている。
・バックアップ、リストア(データ移行前後の確認を含む)できるプロセスが確立されている。
・見読性が確保されており、電磁的記録をプリンタ等により文書として出力できる環境を保有する。
・必要な期間、保存が可能である。
・他の記録媒体やファイル形式にデータを移行した場合でも、上記の要件を満たす。
(2) システム管理体制
電磁的記録利用システムを使用するために必要な責任者、管理者、組織、設備及び教育訓練と教育記録に関する事項を規定する。
(3) 外部が保有する電磁的記録利用システムの使用
Ⅸ-6-1(1) 及びⅨ-6-1 (2)に適合したシステムを使用することとし、GCP 省令第 39 条 2 項に基づく契約を締結する。
2 業務責任の明確化(信頼性を確保するために手順により事実検証を可能とする場合)受領側からの電磁的記録による交付の承諾、電磁的記録の作成、交付、受領、保存並 びに破棄等の実務に関し、「業務責任者一覧表」(様式 25)により実務担当者を定める。
病院長は実務担当者に業務権限を委譲できるが、その責任は病院長が負う。
3 受領側からの電磁的記録による交付の承諾
本手順書で示す電磁的記録での治験手続きについて以下の点を受領側に提示し、承諾を得る。
(1) 通知上、確認すべき承諾の範囲
・電磁的記録を用いて交付及び受領を行う治験関連文書
・交付及び受領の手段
(2) 業務上、確認すべき承諾の範囲
・交付及び受領を行う際に用いるファイル形式(バージョン情報を含む)、ファイル名、フォルダ名
・機密性確保策及び改変防止若しくは検知策
・保存及び破棄の手段
4 電磁的記録の作成
特定のシステムや環境によらず広く利用され、十分な使用実績があるファイル形式を用いることとし、原則として Adobe Portable Document Format(PDF)、Microsoft Word、Microsoft Excel 若しくは Microsoft PowerPoint にて電磁的記録を作成する。
5 電磁的記録の交付及び受領
(1) 全般的留意事項
「Ⅸ-5 電磁的記録の交付及び受領並びに保存」で確認した承諾内容に従い交付用フォルダを作成し、そのフォルダ内に交付する電磁的記録を保管し交付する。
その際、機密性の確保として、交付用フォルダに読み取り制限パスワード等の措置を講じ、解除パスワードは別途交付する。そうでない場合、入力権限設定等で管理されたクラウド等システムを利用する。
さらに改変を禁止する電磁的記録に関しては、改変を防止あるいは検知できるよう、画像 PDF への変換又は電磁的記録への変更不可パスワードの設定又は書き込み・修正が行われない記録媒体(DVD-R 等)の利用、監査証跡の付与等がなされたクラウド等システム若しくは電磁的記録にハッシュ値を記録して交付する。
なお、交付及び受領の事実検証が可能な措置として、電磁的記録の交付若しくは受領について、対応者、実施時期、内容を交付簿や受領簿に記録する又は送信メール及び受領返信メールを保存する若しくは監査証跡の付与等がなされたクラウド等システムを利
用する等、いずれか適切な方法で記録を残す。
また、交付時又は受領後に電磁的記録に対しファイル形式(バージョン変更も含む)の変更等、見読性に影響を与える可能性のある対応を行う場合は、変更前後の電磁的記録の出力内容に変更がないことを確認し結果を記録する。
(2) e-メールを用いる場合
① 交付時
宛先に間違いないことを確認のうえ、交付用フォルダに機密性の確保及び改変を防止あるいは検知できる措置を講じた上で交付する。事実経過を検証するための記録とし て、送信メール及び受領返信メールの保存又は送付簿を作成し、送付者、送付日付、送付内容を記録する。
原データを含む様式を電磁的記録として交付する場合は、作成責任者が直接送信する又は送信先に作成責任者を含める若しくは当該電磁的記録の内容を作成責任者が確認した記録を残すこととする。治験責任医師の判断を記載する「緊急の危険を回避するため治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」(様式 8)、「重篤な有害事象に関する報告書
(医薬品治験)」(様式 12-1)、「重篤な有害事象に関する報告書(医薬品治験:詳細記載用)」(様式 12-2)、「有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験)」(様式 13-
1)、「有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験):詳細記載用」(様式 13-
2)、「重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器治験)」(様式 14)、「有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器製造販売後臨床試験)」(様式 15)については、治験責任医師が自署又は電子署名により当該様式に署名をする又は作成を補助したものが治験責任医師からの指示の記録を残す若しくは治験責任医師からの指示に基づく対応であることを示すためメール連絡の際に治験責任医師を宛先に含めることとする。
② 受領時
事実経過を検証するための記録として、受信メール及び受信返信メールを保存する又は受信簿を作成し、受信者、受信日付、受信内容を記録する。なお、代理受信を行う場合は速やかに本来の受領者へ交付するとともに、交付した事実が検証できるように記録を残す。
(3) DVD-R 等の記録媒体を用いる場合
① 交付時
特定のシステムや環境によらず、広く利用され汎用性のある読み取り装置を介し閲覧でき、消去や上書きのできない記録媒体として DVD-R を用いて交付する。その際、機密性の確保として交付用フォルダに読み取り制限パスワード等の措置を講じ、解除パスワードは別途交付する。
事実経過を検証できるよう、交付資料に添付する鑑の複写及び送付伝票等の記録を保存する又は送付簿を作成し、送付者、送付日付、送付内容を記録する若しくは相手側が受領したことの記録(署名等がなされた受領票や受領連絡メール等)を残す。
② 受領時
事実経過を検証するための記録として、DVD-R 等に添付された鑑に受領印を押印し保存する又は受領簿を作成し、受領者、受領日付、受領内容を記録する。
(4) クラウド等システムを用いる場合
権限設定等でアクセスが制限されたシステムを用い、電磁的記録を交付又は受領す る。信頼性をシステムで確保する場合は、本手順書「Ⅸ-6-1 信頼性を確保するために電磁的記録利用システムを使用する場合」に準拠することとし、それ以外の場合は、事実経過を検証するための記録として送付簿及び受領簿を作成し、対応者、対応日付、内容を記録する。
6 電磁的記録の保存
(1) 電磁的記録を受領し、電磁的記録として保存する場合
磁気ディスク、DVD-R 等又はクラウド等システムを用い、記録媒体の劣化が進みにくい高温、多湿、直射日光、埃を避けた所定の場所にて保存する。
その際、電磁的記録にパスワード等の機密性確保措置を講じる又は権限設定等でアクセスが制限されたシステムに保存する。
所定の場所に保存するまでに一時保管をする場合、受領資料が所在不明にならないように、一時保管場所を定め定期的に確認する等、確実に所定の場所に保存できる措置を講ずる。
また、受領した電磁的記録に変更が生じ、電磁的記録を新たに受領する際は、事実経過を検証するための記録として、変更前後の電磁的記録の両方を保存する。
(2) 電磁的記録を受領し、文書として保存する場合
受領した電磁的記録を文書として出力し、電磁的記録と文書の出力内容に変更がないことを確認し結果を記録の上、文書を保存する。
原データを含む電磁的記録(「重篤な有害事象に関する報告書」(様式 12)等)を文書として出力する場合は、作成責任者の見解が検証可能となるよう、送信先に作成責任者が含まれている e-メールを印刷する等、指示や承諾が確認できるように保存する。
(3) 文書を受領し、電磁的記録として保存する場合[スキャンによる電磁化]
元の文書の記載内容を判別できる解像度・階調(200dpi, RGB256 程度)で文書をスキャンし、電磁的記録に変換する。文書と変換した電磁的記録の出力内容に変更がないことを確認した上で、スキャンした実施者、実施日付、実施内容の記録を作成し、電磁的記録を所定の場所に保存する。なお、CIRUGUS でスキャンした資料についてはシステム上に実施履歴が記録される。スキャンした資料については文書と変換した電磁的記録の出力内容に変更がないことを確認し記録を作成するまで保持することとし、記録の作成後の文書はシュレッダー等により識別不可能かつ復元不可能な方法で破棄する。
7 電磁的記録の破棄
GCP 省令第 41 条及び治験実施契約書のいずれか遅い時期まで保存し、電磁的記録の破棄を行う場合には、治験依頼者に保存期間延長の有無を確認したうえで、復元ができない磁気消去又はシュレッダーを用いた物理破壊等により、読み出し可能なデータが残存しない方法で破棄をする。その際、読み出し可能なデータが残存していないこと、実施者、実施日付、記録名、破棄方法を記録する。
8 バックアップ及びリストア
保存中の電磁的記録の見読性が失われた場合に、交付者である治験依頼者等からバックアップファイルが再交付されることを確認しておく。交付者からバックアップファイルが得られないと想定される場合には、定期的に正副 2 種類の多重化バックアップを実
施する。バックアップは電磁的記録の記録媒体によらず 5 年以内を目安とし、保存した電磁的記録毎にバックアップ時期を定め、対象記録を確認のうえ作業を実施する。な お、CIRUGUS に保存している電磁的記録については、多重化バックアップが自動的に行われる。
保存中の電磁的記録の見読性が失われた場合には、失われた記録の交付者に連絡した上で、バックアップを用いて元のデータにリストアする。
バックアップ及びリストアを実施した際は、実施者、実施日付、電磁的記録の名称に加え、バックアップ又はリストアした電磁的記録と元の電磁的記録のハッシュ値を比較する等により両者が同一であることを確認し記録する。
9 保存された電磁的記録の他の記録媒体やファイル形式(バージョン変更も含む)への移行
他の電磁的記録媒体に移行した場合は、「Ⅸ-6-8 バックアップ及びリストア」同様、実施日付、移行した電磁的記録の名称に加え、移行した電磁的記録と移行前の電磁的記録のハッシュ値を比較する等により両者が同一であることを確認し結果を記録する。ま
た、移行時に方式も変更した場合は移行後の見読性が失われていないことを確認し結果を記録する。
10 治験審査委員会への資料の提供
機密性の確保として、電磁的記録が保存されたフォルダに読み取り制限パスワード等の措置を講じる又は電磁的記録の閲覧デバイスにパスワードを設定する若しくは権限設定等でアクセスが制限されたシステムにて閲覧するようにする。
11 電磁的記録の監査・規制当局による調査等への提供
モニター、監査、臨床試験審査委員会並びに規制当局等による調査の際は、DVD-R 等若しくはクラウド等システムの直接閲覧を行うことで必要な電磁的記録を提供する。な
お、電磁的記録を提供する DVD-R 等若しくはクラウド等システムは「Ⅸ-6-8 バックアップ及びリストア」に準じ、電磁的記録の同一性と見読性に問題が無いことを確認する。
12 治験手続きの電磁化に関する教育
治験手続きを電磁的に行う者は、事前に本手順書の内容を十分理解した上で、業務を実施することとし、本手順書の内容の学習日、学習者を記録する。
なお、入力権限の設定及び監査証跡の付与等、電磁的記録利用システムにより電磁的記録の信頼性を確保する場合は、当該システム利用に関し教育を受講した受講日、受講
者を記録する。
13 審査資料用タブレット端末の取り扱い
(1) 審査資料用タブレット端末の管理及び保管
審査資料用タブレット端末は、臨床試験部において管理し、施錠可能な場所に保管する。臨床試験部で指定した区域以外への持ち出しは不可とする。
(2) 審査資料用タブレット端末の起動パスワードの交付
審査資料用タブレット端末用のパスワードは臨床試験部を構成する者及び臨床試験審査委員会委員のみに交付される。
(3) 審査資料用タブレット端末への審査資料のダウンロード
①審査資料用タブレット端末にタウンロードする審査資料の準備は、臨床試験部において行う。
②審査資料用タブレット端末にダウンロードする審査資料の準備が終わり次第、臨床試験部は、CIRUGUS 端末から審査資料用タブレット端末に審査資料をダウンロードする。
(4) 審査資料用タブレット端末の閲覧
審査資料用タブレット端末の閲覧は、臨床試験部を構成する者及び臨床試験審査委員会委員のみ閲覧を可とし、臨床試験部で指定した区域内で閲覧するものとする。
(5) 審査終了後の閲覧資料の取り扱い
審査資料用タブレット端末にダウンロードされた審査資料は、臨床試験審査委員会開催日の深夜 0 時を過ぎた時点で読み取り不可となるよう設定する。
Ⅸ-7 CIRUGUS の外部連携機能の利用に関する手順
群馬大学医学部附属病院と治験依頼者間で、治験関連文書や治験に関連する情報について、CIRUGUS を介して電子的に授受及び公開する手順を以下の通りとする。
1 公開範囲
CIRUGUS を介して電子的に授受及び公開可能な治験関連文書及び治験に関連する情報の範囲は下記の通りとする。ただし、個人情報を含む文書及び情報の授受は CIRUGUS を介して行わないものとする。
(1) 治験依頼者が CIRUGUS を介して閲覧及び取得できる治験関連文書及び治験に関連する情報
① 群馬大学医学部附属病院の施設情報、治験実績、規制当局調査の受入れ状況、被験者候補となる患者数等、治験に関する費用算定の情報等の閲覧
② 臨床試験審査委員会審査結果(「治験審査結果通知書」(様式 5))、「治験分担医師・治験協力者リスト」(様式 2)の受領
③ 臨床試験審査委員会の議事録の閲覧
④ 病院長、治験責任医師及び臨床試験審査委員会等について、医療機関で保管すべき文書の閲覧
⑤ 治験進捗管理情報の閲覧
⑥ 治験薬管理表の閲覧
⑦ その他群馬大学医学部附属病院で必要と認めた文書の受領
⑧ 群馬大学医学部附属病院に提出した文書の処理状況の確認
(2) 治験依頼者が CIRUGUS を介して群馬大学医学部附属病院に提出できる文書
① 病院長に提出する治験関連文書
② 治験責任医師に提出する治験関連文書
2 利用環境
Internet Explorer バージョン 11 以上
3 管理
(1) CIRUGUS の外部連携機能を利用する者の要件
CIRUGUS 外部連携機能を利用する者は、担当モニター及び当該治験のモニタリング及び監査を担当する者に限ることとする。
(2) CIRUGUS の外部連携機能を利用する者の申請
CIRUGUS 外部連携機能利用者は、「CIRUGUS 外部連携機能利用申請書」(様式 26)を臨床試験部に提出する。
(3) アカウント、パスワードの発行及び管理
① 臨床試験部は、CIRUGUS 外部連携機能の利用申請者個人毎にアカウント及びパスワードを発行する。アカウントの発行にはメールアドレスが必要となるが、共有のメールアドレスに対するアカウントの発行は不可とする。また、同一のメールアドレスに対する複数のアカウントの発行は不可とする。
② アカウントの有効期間は、群馬大学医学部附属病院と治験依頼者の治験契約期間終了日までとする。CIRUGUS 外部機能利用者が担当交代等でアカウントが不要になった場合は、臨床試験部に申し出ることとし、臨床試験部はアカウント無効の手続を取るものとす
る。
③ CIRUGUS の外部連携機能を利用する者は、発行されたアカウント及びパスワードを他人と共有してはならない。
4 利用時間等
(1) 利用時間
CIRUGUS の外部連携機能の利用時間は原則として平日午前 8 時から午後 8 時の間とす
る。臨床試験部への電話による問い合わせは、平日午前 9 時から午後 5 時の間とする。
(2) 利用場所
CIRUGUS 外部連携機能の利用は、公共の場所等、外部の者の目に触れやすい場所では行わないこととする。
Ⅸ-8 関連法令
遵守すべき法省令
・医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 9 年厚生省令第 28 号)
・民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成 16 年法律第 149 号)
・厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成 17 年厚生労働省令第 44 号)
Ⅸ-9 関連通知等
参照すべき通知等
・医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について(平成 17 年 4 月 1 日付け薬食発第 0401022 号 厚生労働省医薬食品局長通知)
・「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(平成 24 年 12
月 28 日付け薬食審査発 1228 第 7 号)
・新たな「治験の依頼等に係る統一書式」の一部改正について(平成 26 年 7 月 1 日付け
医政研発 0701 第1号、薬食審査発 0701 第1号 厚生労働省医政局研究開発振興課長、厚生労働省医薬食品局審査管理課長 二課長通知)
・「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方」の一部改正について
(平成 26 年 7 月 1 日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)
Ⅹ 治験の原則
治験は次に揚げる原則に則って実施されなければならない。
1 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び GCP 省令を遵守して行わなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
2 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
3 被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
4 治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
5 治験は、科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
6 治験は、臨床試験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
7 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師
又は歯科医師が常に負うべきである。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
8 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
9 全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
10 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存しなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
11 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
12 治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、「治験薬の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)」を遵守して行うものとする。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
13 治験のあらゆる局面の質を保証するために手順を示したシステムを運用しなければな
らない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)
14 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。(GCP 省令第 1 条第 1 項 細則 2)