雇用契約には、法律により記載が義務付けられている事項があります。 雇用契約書の作成方法は、 www.employment.govt.nz で「 Employment Agreement Builder」と検索してご覧ください。
ニュージーランドの労働基準と雇用主の義務
このガイドでは、法律で定められた労働基準と雇用主の義務について、その一部の概要を紹介します。
雇用主は被雇用者に対し、労働基準を下回る条件での雇用契約を求めてはなりませ ん。
各被雇用者は、書面による雇用契約を結ばなければなりません。 雇用契約は、被雇用者全体、雇用
主、組合間で交わされる団体契約の場合も、個々の被雇用者と雇用主の間で交わされる個別契約の場合もあります。
雇用契約には、法律により記載が義務付けられている事項があります。 雇用契約書の作成方法は、 xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「 Employment Agreement Builder」と検索してご覧ください。
個別雇用契約には以下の各事項が含まれなければなりません。
› 雇用主と被雇用者の氏名
› 業務の説明、就業場所、被雇用者の合意済みの就業時間数または雇用主の提示する被雇用者の就業時間数
› 支払われる賃金レートまたは給与の額と、その支払方法
› 雇用関係に関し生じた問題の解決方法についての簡単な説明。 そこには、個人的な苦情は事象発生から 90 日以内に申し立てなければならない、という文言も含めること
› 公共の祝日に就業した被雇用者は就業時間の
1.5 倍分の支払を受けるという文言
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› 該当する被雇用者に対しては、雇用主の事業が売却または譲渡されたり、被雇用者の業務が外部委託されたりする場合は、雇用保護条項が適用されるという文言
› 試用期間、試用に関する取り決め、業務提供条項など、その他のあらゆる合意事項
› 期間契約雇用の場合、その雇用の形態
Employment Agreement Builder (雇用契約書作成ビルダー) は、事業の形態と各被雇用者に合わせて雇用契約書を作成できる無料ツールです。 このツールでは契約書に記載すべき事項を決定し、また記載が禁止されている事項を知る上で役立つ様々なヒントがご覧いただけます。 また、法律で定められた雇用主の義務や、契約書作成上のよくある間違い、さらにそうした間違いのない契約書の作成方法もお読みになれます。
労働基準は、雇用契約書にその記載がない場合や、雇用契約書内にそれを満たさない記載があった場合でも、順守されなければなりません。
個別雇用契約(IEA) に関する交渉を行う被雇用者 は、組合、労働基準の順守を推進する団体、弁護 士、家族、友人などの第三者から、別個のアドバイスを受けることができます。
雇用条件に関するいかなる変更にも、雇用主と被雇用者の合意が必要です。 雇用主は被雇用者から書面による承諾を得ない限り、雇用契約条項を変更することはできません。
詳細はxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xxで「employment agreements」と検索してご覧ください。
ニュージーランド国内での労働権
雇用主は、ニュージーランド国内で合法的な労働権を持つ人のみを雇用しなければなりません。
Immigration New Zealand (ニュージーランド移民局)の VisaView ツールを利用すると、被雇用者の就労資格に関する情報が確認できます。 xxx.xxxxxxxxxxx.xxxx.xx で「VisaView」と検索してご覧ください。
1
最低賃金
最低賃金は、フルタイム、パートタイム、期間契 約、臨時採用、在宅勤務、報酬の全額または一部が歩合・出来高制の被雇用者などを含め、労働形態に関わりなく、すべての被雇用者に適用されます。 新人労働者 (starting-out worker) や見習 (trainee) を除く 16 歳以上の被雇用者は、成人向け最低賃金以上の支払をが受けられなければなりません。
雇用主と被雇用者は、現在の最低賃金を下回らない限り、いかなる賃金でも契約を結ぶことができま す。
最低賃金は毎年見直されます。現在の金額については xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx/xxxxxxx-xxxx をご覧ください。
また、他の被雇用者の研修・監督に当たる被雇用者も、全員が成人向け最低賃金以上の支払を受けられなければなりません。
さらに、新人労働者は新人向け最低賃金以上、20 歳以上の見習は見習向け最低賃金以上の支払を受けられなければなりません。
新人向け最低賃金は、以下の人に適用されます。
› 16 歳または 17 歳の被雇用者で、現在の雇用主
の下で 6 か月以上雇用を継続していない人。
› 18 歳または 19 歳の被雇用者で、6 か月以上特定の社会保障給付金を受給しており、受給開始以降いずれの雇用主の下でも 6 か月以上雇用を
継続していない人。 いずれかの雇用主の下で 6か月以上雇用が継続した場合は、新人労働者とは見なされず、成人向け最低賃金以上の支払を受けられなければなりません。
› 16 歳から 19 歳までの被雇用者で、自らの雇用契約に関連した職業において有資格者となるために、年間最低 40 単位の職業訓練の履修が義務付けられている人。
16 歳未満の被雇用者は、最低賃金の対象ではないものの、その他の労働基準はすべて適用されます。そして 16 歳になった時点で同一の雇用主の下で 6か月以上就労していた被雇用者は、最低賃金を受給することができます。
見習い向けの最低賃金 は、以下の人に適用されます。
› 年齢が 20 歳以上の人。
› 自らの雇用契約に関連した職業において有資格者となるために、雇用契約上年間最低 60 単位の職業訓練の履修が義務付けられている人。
賃金の支払
雇用主は、被雇用者の賃金を現金で支払わなければなりません(ただし、政府および地方自治体はその限りではありません)。 銀行振込や小切手など、別の方法で賃金を支払う場合、雇用主は被雇用者に対する雇用契約書にその旨を記載しなければなりません。
被雇用者は、就業開始時や終了時の活動(例えば小売店に就業し開店・閉店作業を行う場合など) も含め、すべての労働に対し賃金の支払を受けなければなりません。
雇用主は、所得税、学生ローン返済金、事故補償制度 (ACC) 納付金など、法律で定められている一部の控除を除き、 被雇用者の書面による承諾がない限り、賃金からいかなる控除を行うこともできません。
xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Types of pay」と検索してご覧ください。
雇用主による正しい記録の管理
雇用主は、被雇用者の就業時間数、給与、実際に使用した休暇日数、取得可能休暇日数を正確に記録しなければなりません。
また、署名入り雇用契約書の写しや、現在有効な署名入りの労働条件を保管し、要請があった場合は被雇用者にその写しを渡さなければなりません。
さらに、雇用主は以下のいずれかの書類の写しも保管しなければなりません。
› 公共の祝日の代替に関する合意書
› 年次有給休暇の現金化に関する合意書
› 公共の祝日の代替に関する申請書
› 雇用主が同意していない年次有給休暇の現金化に関する申請書
› 賃金からの控除に関する承諾書記録すべき内容の詳細については、
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xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「keeping records」と検
索してご覧ください。
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休憩と食事時間
被雇用者には、所定の休憩と食事時間を得る権利があります。 休憩や食事時間の回数や長さは就業時間に応じて決まります。例として、
› 1 日の就業時間が 8 時間の場合は、最低でも有
給の 10 分間の休憩を 2 回、さらに、無給の 30
分間の食事時間を 1 回、取らなければなりません。
› 1 日の就業時間が 6 時間の場合は、有給の 10 分
間の休憩を 1 回、さらに、無給の 30 分間の食
事時間を 1 回取らなければなりません。
休憩や食事時間は、休憩や飲食、また個人的な所用を行うためにあり、 被雇用者が安全で生産的に働く上で職場に欠かせません。
休憩や食事の時間は、雇用契約上雇用主と被雇用者間で合意するものとしますが、 もし合意できない場合は、実情に則して妥当と考えられる範囲で、 2020年雇用関係法(Employment Relations Act 2020) に定める時間に取るよう義務付けられています。
また、雇用主は、実情に則して妥当と考えられる範囲で、被雇用者が授乳や搾乳を行えるよう追加の休憩時間や施設も提供する義務があります。 この場合の休憩時間は、雇用主が有給にしたくない場合は無給にできます。
詳細については、xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「rests and breaks」と検索してご覧ください。
雇用契約には、以下のすべての条件を満たさない限り、業務提供条項(就労は雇用主が被雇用者に業務を提供する場合のみ可能であり、被雇用者は雇用主が提供するいかなる業務にも従事しなければならない、という条項) を含めることはできません。
› 雇用契約に最低保証時間数を含む合意済みの就業時間数が規定されており、業務提供条項による就業時間数はその最低保証時間数に加算されるものである。
› 雇用主には、業務提供条項とそれにより規定される就業時間数を雇用契約に含めるに当たり、妥当な根拠に基づいた正当な理由がある。
› 業務提供条項により労働に従事した被雇用者に妥当な報酬が与えられる。
被雇用者は、妥当な報酬を提供する正当な業務提供条項が雇用契約に含まれていない場合、その雇用契約で最低保証されている就業時間数に入らない労働を拒否することができます。雇用主は、労働を拒否した被雇用者を不利に扱うことはできません。
xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Hours of work」と検索してご覧ください。
年次休暇
同一の雇用主の下で 1 年間の継続雇用期間が経過す
る毎に、被雇用者は 4 週間の年次有給休暇が取得できます。
また、被雇用者は、毎年の年次有給休暇のうち最大 1 週間分までの現金化を書面で要請できます。 ただし、雇用主は年次休暇を現金化するよう被雇用者に強要してはならず、雇用契約においても現金化の要請を義務付けることはできません。
年次有給休暇は、
› その被雇用者の休暇開始時における通常の週単位の給与レート、あるいは
› 休暇開始直前の最後の給与期間の終了時から遡って 12 か月間の、週平均賃金のいずれかの、より高いレートにより支払われます。
レートの計算には雇用契約上被雇用者が受給する歩合も含めなければなりません。
被雇用者が 1 年未満で退職する場合、年次休暇を現金化した金額は、総収入の 8%に当たる金額から既に支給した分を差し引いた額となります。
断続的に働く完全に臨時採用の被雇用者や、就労期間が 12 か月未満の期間契約の被雇用者は、特定の
条件を満たせば、年次休暇の現金支給を上記の 8%で受けられます。 詳細はxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xxで「pay as you go」と検索してご覧ください。
雇用主は、最低 14 日前に通知する場合に限り、被
雇用者にクリスマスなどの年 1 回の休業時期に年次休暇を取らせることができます。 ただし、雇用主の定める休業期間に公共の祝日が含まれる場合は、その祝日が通常の就業日に当たる場合と同様に、被雇用者は有給の休日が取得できます。
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xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Annual holidays」と検索してご覧ください。
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公共の祝日
被雇用者は毎年、11 日ある公共の祝日には、それが通常の就業日に当たる場合であっても、有給で休日を取得できなければなりません。
雇用主は、公共の祝日についても、被雇用者に日 給、または平均日給(適用される場合) を支払わなければなりません。
また、もし被雇用者が公共の祝日に就業した場合には、就業時間の 1.5 倍分以上を支払わなければなりません。 さらにその公共の祝日が通常の就業日に当たる場合、被雇用者は代替の有給休日も取得できます。
被雇用者は、雇用契約に別途記載のない限り、公共の祝日の就労を拒否することができます。
xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Public holidays」と検索してご覧ください。
病気休暇
いかなる被雇用者も、継続雇用開始から 6 か月を経
過すると、病気有給休暇が 5 日間取得できます。
最初の 5 日間の取得後は、12 か月毎にさらに 5 日間の病気休暇を取得でき、 その後は未使用の病気休暇を 15 日分繰り越して、年間最高 20 日間の病気休暇を取得できます。
病気休暇は以下のいずれかの場合に取得できます。
› 被雇用者が病気やけがをした場合
› 被雇用者の配偶者、xxxxx、子が病気やけがをした場合
› 被雇用者の扶養者が病気やけがをした場合
雇用主は、病気休暇に対して被雇用者に日給、または平均日給(適用される場合) を支払わなければなりません。
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その際に雇用主は、医師の診断書など病気の証明となるものを求めることができます。 ただし、その証明を病気になった日やけがをした日から 3 日以内に求める場合は、受診費用を負担しなければなりません。 また、雇用主は被雇用者に特定の医療従事者を受診するよう強要してはなりません。 病気になった日やけがをした日から 3 日以上経過した際 は、被雇用者が受信費用を負担しなければなりません。
xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Sick leave」と検索してご覧ください。
忌引休暇
いかなる被雇用者も、継続雇用開始から 6 か月を経過すると、忌引有給休暇を以下の日数取得できま す。
› 配偶者またはxxxxx、父母、x、兄弟、祖父母、x、配偶者またはxxxxxの父母が死亡した場合:3 日
› 上記以外の人が死亡し、雇用主が被雇用者に忌引が必要であると判断した場合:1 日
xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Bereavement leave」と検索してご覧ください。
ドメスティックバイオレンスの被害者である被雇用者
法により、ドメスティックバイオレンスの被害者は職場において、一層手厚く保護されています。
この権利は家庭内や同居関係にあって暴力を振るったり暴言を吐く人には適用されません。 これは具体的には、現在あるいは元のパートナー、家族やファナウ、フラットメート、さらには同居していない人も指します。
ここでの「バイオレンス」は身体的、性的、精神的暴力を指します。 また、いじめや脅し、人の行動や考えを支配しようとする行為も含まれます。 例えば、
› 脅迫
› ハラスメント
› 人の所有物を破損すること
› 暴力を振るうと言って人を脅すこと
› 経済的暴力
› 精神的暴力
法律では、ドメスティックバイオレンスの被害を受けている被雇用者を救済するため、こうした被雇用者には以下の権利が与えられています。
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› 年次休暇、病気休暇、忌引休暇とは別に、毎年 10 日間の有給のドメスティックバイオレンス休暇を取得できます。
› 短期(最大 2 か月)のフレックスタイム制労働を申請できます。
› ドメスティックバイオレンスに遭った恐れがある、という理由で不当な扱いを受けることは許されません。
以上の権利は、過去にドメスティックバイオレンスの被害を受けた被雇用者にも適用されます。
ドメスティックバイオレンスの被害を受けた被雇用者は、書面で休暇を申請し、雇用主はそれに対し最大でも10日以内に対応しなければなりません。 被雇用者がフレックスタイム制労働を申請した場合、雇用主はそれに対し2か月以内に対応しなければなりません。
各言語の翻訳版パンフレットおよび詳細については、xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xxで「domestic violence」と検索してご覧ください。
育児休暇および育児休暇中の給与支給
育児休暇は、雇用中に育児のため取得する休暇です。
特定の条件を満たす被雇用者は、以下の両方を取得できる場合があります。
› 無給育児休暇
› 育児休暇中の給与支給(有給育児休暇)
以下の 6 か月、あるいは 12 か月の雇用期間に対する条件を満たす被雇用者は、無給育児休暇 (パートナー向け休暇、主たる育児者向け休暇、延長休暇)が取得できます。
6 か月の雇用期間に対する育児休暇取得資格
出産予定日または 6 歳未満の子の永続的育児開始日
に先立つ 6 か月間、同一の雇用主の下で毎週平均
10 時間以上就業した場合。
上記の 6 か月の雇用期間に対する条件を満たす被雇
用者は、主たる育児者向けの休暇を含む、合計 26
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週間の無給休暇を取得できます。
12 か月の雇用期間に対する育児休暇取得資格
出産予定日または 6 歳未満の子の永続的育児開始日
に先立つ 12 か月間、同一の雇用主の下で毎週平均
10 時間以上就業した場合。
上記の 12 か月の雇用期間に対する条件を満たす被雇用者は、主たる育児者向けの休暇を含む、合計 52 週間の無給休暇を取得できます。
被雇用者は、xxxxxが上記の 6 か月あるいは
12 か月の雇用期間に対する条件を満たす場合、そのパートナーと延長休暇を共有できる場合があります。
また、妊婦の被雇用者は育児休暇の開始に先立ち、妊娠に関連した理由なら最大 10 日間の特別無給休暇を取得できます。
育児休暇の取得資格に関する詳細は、 xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で 「parental leave」と検索してご覧ください。
育児休暇中の給与支給 (有給育児休暇) は、政府が実施しInland Revenue (国税庁) が管轄する制度で す。 雇用中の育児休暇の取得資格を満たさない人も、育児休暇中の給与支給を受けられる場合があります。
通常、育児休暇中の給与は、出産した母親か特定の主たる育児者が永続的に 6 歳未満の子の主たる育児者となる場合に支給されます。
育児休暇中の給与支給についての詳細は、Inland Revenue ウェブページ xxx.xxx.xxxx.xx で「parental leave」と検索してご覧ください。
その他の休暇
被雇用者は、労災によるけがや兵役訓練などの際 に、他の種類の休暇が取得できる場合もあります。
その他の休暇の取得権については xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xxで「Other types of leave」と検索してご覧ください。
フレックスタイム制
すべての被雇用者は、就業時間や就業日、就業場所の変更を申請できる法令上の権利があります。 雇用主はこうした申請を考慮し、特定の理由がない限り拒否してはなりません。
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xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「flexible working」と検索してご覧ください。
差別
雇用主は、人種、肌の色、国籍、出自、性別、性的指向、婚姻・家庭状況、雇用状況、年齢、宗教、政治信条、障がい、組合活動への参加の有無により、採用や解雇、給与支払、トレーニング、昇進において被雇用者を差別してはなりません。 これには求職中の人も含まれます。
これらの人々には全員に等しい労働基準があり、同様の経験を持ち同一の業務に従事する人と等しい支払を受ける権利があります。
詳細はxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xxで「Discrimination」と検索してご覧ください。
期間契約の被雇用者
雇用主は、以下の場合にのみ、期間契約での雇用を提示できます。
› 季節労働、プロジェクト・ワーク、休暇中の正社員の代行など、正当な理由がある場合
› 期間契約となる理由、契約終了の方法や期日を雇用主が被雇用者に告知し、被雇用者が雇用契約書でそれに同意する場合
他の雇用契約同様に、期間契約による雇用の場合も、書面による雇用契約を結ばなければなりません。
詳細は xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Types of employee」と検索してご覧ください。
臨時採用者
「臨時採用者」には法律上の定義はありませんが、通常は就業時間数の最低保証や特定の業務形態がなく、継続的な雇用が想定されていない被雇用者を指します。 雇用主はこうした被雇用者に対して就労の機会を提供する必要はなく、被雇用者も提供された就労の機会を受け入れる必要はありません。 被雇用者は両者間の都合が一致した場合に就労しま す。
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こうした形態の雇用は、雇用主が業務の(迅速な) 遂行時期を見通せない場合に発生することがありま
す。 被雇用者が就労の機会を受け入れる度に、新規の雇用と見なされます。
被雇用者を臨時の業務遂行のため雇用する際は、その取り決めを雇用契約中に明記しなければなりません。
労働基準と雇用者の義務は臨時採用者にも適用されますが、年次休暇、病気休暇、忌引休暇の適用方法は異なる場合があります。
詳細は xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Types of employee」と検索してご覧ください。
請負者と被雇用者の違い
被雇用者と請負者とでは権利や義務に違いがあり、法令上のチェックを行うことで両者の違いが確認できます。 例えば通常、就労時間や就労形態に関し請負者は被雇用者より大きな裁量権があります。 両者の相違を理解することは、処罰を避ける上で大切です。
詳細は xxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Contractor versus employee」と検索してご覧ください。
試用期間
従業員が 19 名以下の雇用主に限っては、最長 90 日間の試用期間を含む雇用を被雇用者に提示できます。
試用期間の設定は任意ですが、 その被雇用者の雇用開始に先立ち、雇用契約の一部として書面による合意が必要であり、誠意ある協議の対象でなければなりません。
試用期間の終了前に解雇された被雇用者は、不当な解雇を理由に個人的な苦情を申し立てることはできません。
ただし、雇用主による差別、ハラスメント、不当な行為など、その他の理由により個人的な苦情を申し立てることは可能です。
なお、試用期間中の被雇用者には、労働基準に基づくその他すべての権利があります。
xxxxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xx で「Trial periods」と検索してご覧ください。
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組合
組合とは、職場において被雇用者を支え、その声を雇用主に届ける組織です。 被雇用者には、組合に加盟するかどうか、そしてどの組合に加盟するかを決定できる権利があります。 雇用主をはじめいかなる人も、被雇用者の組合加入・非加入に関し理不尽な強要を行うことは禁止されています。
雇用主には以下が義務付けられています。
› 雇用開始から 10 日以内に、組合加入の意志を表明できる用紙を新規採用の被雇用者に渡すこと。
› その被雇用者が個人情報の伝達を望まない場合を除き、その用紙を組合に返却すること。
› 採用予定者に組合の役割と機能についての情報を伝達すること。
資料の配布を望む組合は、その印刷代を負担しなければなりません。
被雇用者には加入希望用紙を雇用主に提出するまでに30日の期間があり、 その間に組合の代表に話を聞いて加入するかどうかを決定することができま す。 被雇用者が組合に加入すると雇用契約は団体契約に変更され、 加入しない場合は個別雇用契約のままとなります。
雇用主は、組合員が就業時間中に組合活動を行えるようにし、それに対しても通常の時間給を支払わなければなりません。 組合活動には、一例として団体交渉が含まれます。
組合加入者の被雇用者は、組合活動の実施日時について雇用主の同意を得るか、少なくとも雇用主に予め通知しておかなければなりません。 雇用主は、業務の不当な支障となったり、被雇用者の任務遂行に影響したりする組合活動に対しては、同意しなくてもよいものとします。
組合の代表者は、その組織の被雇用者が団体契約下にある場合や団体契約を交渉中の場合は、承諾なしに職場に立ち入ることができます。 ただし、職場へは特定の目的に限って立ち入ることができ、通常の就業時間となるよう配慮し、安全衛生やセキュリティ対策を順守しなければなりません。
詳細はxxx.xxxxxxxxxx.xxxx.xxで「Unions」および
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「Employment Relations Amendment Act」と検索してご覧ください。
安全衛生
雇用主は、適切なトレーニング、監督、整備を行い、職場の安全を確保する義務があります。
雇用主の義務には、リスクや危険物の特定、評価、排除(または低減) と、安全衛生上の事故の調査が含まれます。 また雇用主は、職場で発生した重篤な けがをWorkSafe New Zealand (労働安全衛生局) に届け出る義務があります。
被雇用者にも自らの安全衛生に対する責任があります。 被雇用者は安全衛生に関するすべての指針や手順を守り、自分の業務により他者を危険にさらすことのないようにしなければなりません。 被雇用者は、自分または他の被雇用者が安全衛生上の深刻な危険を被ると思われるような業務を拒否することができます。 また、雇用主には、安全衛生上の指針について被雇用者との協議が義務付けられています。
詳細はwww.worksafe.govt.nz をご覧ください。
リストラと職務変更
雇用主は、被雇用者の雇用状況に支障が予想されるような提案を行う場合、それに関し被雇用者と誠意を尽くして協議しなければなりません。 こうした提案には、就業時間数・日数の低減など、現在の雇用契約の変更も含まれます。
雇用主は決定を下す前に、支障を受ける被雇用者に関連情報を提供し、十分な時間を取ったうえでその意見を聞かなければなりません。
そして誠意を持ってその意見を聞き、必要な変更を行ったうえでその被雇用者に最終決定を伝える必要があります。 また、雇用主は被雇用者の再配置や既存のスタッフの研修を検討しなければなりませ ん。
事業が売却・外部委託・外部譲渡される際は、それが「公正」なプロセスで行われ、被雇用者が保護されるよう、どの雇用契約にも必ず「被雇用者保護条項」を含めなければなりません。
ただし、ケータリング・清掃・介護・ランドリー業務や用務に従事する被雇用者には、その雇用主の事業が売却されたり、その業務が外部委託や別の請負者のものとなったりした場合、特別な規則が適用されます。 詳細は www.employment.govt.nz で
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「Restructuring when a business is sold or transferred」を検索してご覧ください。
このトピックに関する詳細は www.employment.govt.nzで「Workplace change」を検索してご覧ください。
雇用関係上の問題
職場で雇用問題が起きた場合、雇用主と被雇用者はまず事実関係を明確化し、自ら問題解決に努める必要があります。 その際は両者が協議する必要がありますが、被雇用者は支援者や組合・協会代表に協議に参加してもらうことも可能です。 問題解決に役立つ情報は、www.employment.govt.nz で「Steps to resolve」を検索してご覧ください。
両者の協議によっても解決しない場合、被雇用者または雇用主は Employment New Zealand の仲裁サービスを無料で利用できます。 サービスの詳細や仲裁の依頼方法は、www.employment.govt.nz で
「mediation」と検索してご覧ください。
自己解決や仲裁による解決が不可能な問題は、発生後 90 日以内の場合は Employment Relations Authority (雇用関係局) の、その後は Employment Court (雇用裁判所) の管轄となります。
雇用主と被雇用者の権利と義務に関する情報は
Employment New Zealandで取得できます。 www.employment.govt.nzをご覧になるか、
フリーダイヤル 0800 20 90 20 までお問い合わせください。
罰則
雇用主が雇用関連の各種法令に違反した場合は、罰金が科せられます。 この罰金は、個人の場合最高
$50,000 です。企業の場合は、$100,000 または、その違反により生じる企業収益の 3 倍に相当する金額の、いずれか高額な方となります。
また、職場の安全衛生に関連する法令違反の場合 も、雇用主は罰金を科せられたり、起訴されたりすることがあります。
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詳細はwww.employment.govt.nz で「Employers who have breached minimum employment standards」と検索するか、www.worksafe.govt.nzで「enforcement」と検索してご覧ください。
雇用法に関する詳細は
ビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE) 所属機関のEmployment New Zealand (ニュージーランド雇用庁) では、簡単なステップで雇用に関する基本的な情報を学べる無料の雇用Eラーニングコースを開発しました。 雇用主と被雇用者の双方が利用できるこのコースでは、全モジュールを約15分で修了でき、 雇用主と被雇用者が各自の権利と義務を理解し、ニュージーランドの雇用関係法令を順守する上で役立つ情報を得られます。
今すぐwww.employment.elearning.ac.nzでご登録ください。または、www.employment.govt.nzで
「modules」と検索してください。
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