Contract
質疑応答事例(関税評価) 輸入貨物の取引価格による方法(関税定率法第 4 条第 1 項関係)
・現実支払価格(現実支払価格に含まれない費用)
5.仕入書価格に前回輸入した貨物の遡及値上げ額が含まれている場合の現実支払価格
売買契約(値上げ後単価、前回輸入分の遡及値上げ)
買
手
(本邦)
売
手
(E国)
化学調味料、仕入書(前回輸入分の遡及値上げ額を含む)
貨物代金
(前回輸入分の遡及値上げ額を含む)
【照会要旨】
当社(買手)は、売手から化学調味料を購入(輸入)しています。
輸入貨物の売買価格(1 キログラム当たりの単価)は、売買契約において取り決められています。
当社は、売手から原材料価格の高騰を理由に 10%の取引単価の値上げを要請され、今回の輸入分から値上げ後の単価により取引を行うことで合意し、さらに売手から前回輸入した貨物についても遡及して値上げしたいとの要請があり、その要請を受け入れることとしました。
今般、当社は前回輸入した貨物と同数量の貨物を輸入しますが、売手から当社宛てに送付された仕入書には、今回輸入する貨物の売買単価(値上げ後の単価)に、前回輸入した貨物に係る遡及値上げ額(値上げ前の売買単価の 10%)を加えた単価により計算された価格が表示されており、当社はこれを支払います。
輸入貨物の課税価格を計算するにあたって、当社が売手に支払う前回輸入した貨物の遡及値上げ額は、今回輸入する貨物の現実支払価格に含まれますか。
なお、関税定率法第 4 条第 2 項各号に掲げる特別な事情はありません。
【回答要旨】
上記の取引において、貴社が売手に支払う前回輸入した貨物に係る遡及値上げ額は、今回輸入する貨物と関係のない支払であると認められますので、今回輸入する貨物の現実支払価格には含まれません。
(理由)
「現実支払価格」とは、買手が売手に対して又は売手のために、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った又は支払うべき総額をいい、売手の債務の弁済等の間接的な支払の額を含みます。
ただし、買手による売手への支払であっても輸入貨物と関係のないものは、その輸入貨物の課税価格に算入しないこととされています。
上記の取引において、貴社(買手)が売手に支払う前回輸入した貨物に係る遡及値上げ額は、今回輸入される貨物の仕入書において、今回輸入される貨物の価格に含めて請
求されていますが、今回輸入される貨物と関係のない支払であると認められます。
なお、この遡及値上げ額は、前回輸入した貨物に係る取引の状況その他の事情からみてこの輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った又は支払うべき総額に含まれることから、前回輸入した貨物の現実支払価格には含まれます。
【関係法令通達】
関税定率法第 4 条第 1 項
関税定率法施行令第 1 条の 4
関税定率法基本通達 4-2(1)、(4)、4-2 の 2(1)
注記
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんので、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
(具体的な貨物の関税評価上の取扱いについて輸入申告時の審査の際に尊重される回答を希望される場合には、文書による事前教示をご利用下さい。)