Contract
おきなわイノベーション創出ファンド(仮称)に関する要件第1 組成するファンドについて
1 基本スキームについて
(1)本ファンドの法的形式は、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成 10 年
法律第 90 号)に基づく投資事業有限責任組合(以下「組合」という。)とすること。
(2)本ファンドの全組合員の出資約束金額の総額(以下「出資約束金額総額」という。)は、5億円以上を目標とすること。
(3)本ファンドにおいて投資した企業すべてが、事業を通じて「関連課題の解決」に向けた取組を行うこと。
(4)契約書は、投資事業有限責任組合モデル契約(平成 22 年 11 月経済産業省委託調査)を参考にすること。
2 本ファンドに係る組合の組成時期及び存続期間などについて
(1)令和2年 12 月末までに組合を組成することを目指し、必要に応じてファーストクロージングを図ること。
(2)組合の存続期間は 10 年間とする。ただし、組合員間の合意の上で、この存続期間を延長又は短縮することも可能とする。
(3)組合の投資期間(新規投資を決定または実行できる期間をいう。以下同じ。)は
5年間とする。ただし、組合員間の合意の上で前述の投資期間を延長又は短縮することも可能とする。
3 分配金及び余剰資金の取扱いについて
(1)定期的に、追加投資及び管理報酬その他の費用として使用する予定のない余剰資金を見積り、余剰資金は有限責任組合員に返還すること。
(2)投資期間の終了後において投資総額が組合契約に定める水準を超えない場合には、組合員間の合意の上で、当該投資総額、当該事業年度末までの新規投資予定額(投資実行及び投資金額が決定している案件に係るものに限る。)、追加投資予定額及び管理報酬その他の費用の合計金額まで出資約束金額を引き下げることができるものとする。
(3)出資約束金額を引き下げた場合には、その引き下げ修正までの間に支払った管理報酬額のうち、半期ごとに計算した修正差額を無限責任組合員から返還させることを基本とする。
(4)投資期間終了後における追加投資は、組合員間の合意の上で、行えるものとす
る。
第2 投資方針
1 投資対象者は、沖縄県内の関連課題をイノベーション(新しいソリューション 等)により解決するビジネスモデルを有する県内スタートアップ等を含む中小企業者とする。
2 投資対象者の事業分野は、情報通信・バイオ・環境等の関連分野で本県における新産業創出の核となり得るものとする。
3 1社あたりの投資上限額は、出資約束金額総額の 20%以内(例:出資約束金額総額6億円の場合は、1件あたりの投資上限 1.2 億円)とし、投資社数は 10 社以上を目標とすること。
4 県内スタートアップ等を含む中小企業者とは、沖縄県内に所在(注1)する中小企業者(注2)でなければならない。
なお、本組合による投資対象者が県内スタートアップ等を含む中小企業者に該当するかについては、当該投資の初回投資の時点において判断する。
(注1)現在又は将来的に、次のいずれかに合致することが事業計画等で確認できる中小企業者とする。
・すでに沖縄県内に事務所等を有している。
・沖縄県内での起業を予定している。
・沖縄県内において事業を実施するための拠点(研究開発拠点・営業拠点等)を有する。
(注2)独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成 14 年法律第 147 号)第2条第1項各号に定義される「中小企業者」をいう。
5 組合は、金融商品取引所にその株式が上場されている企業に投資してはならない。
6 組合は、県内スタートアップ等を含む中小企業者の「財務的評価」、「関連課題の解決に向けた取組に対する評価」を踏まえた投資を行わなければならない。
第3 投資形態
「投資事業有限責任組合契約に関する法律」第3条第1項各号(第9号を除く)に規定する投資形態による。
第4 投資先企業の育成
無限責任組合員は、投資後における投資先企業の業況や事業(関連課題の解決に向けた取組を含む)の進捗状況等を継続的に把握するとともに、事業運営にあたっての助言等の支援を行うものとする。
第5 出資金の払込方法
出資約束金額を確定した上での「一括払い」もしくは「キャピタルコールを含む分割払い」の方式であること。
第6 報告義務
1 無限責任組合員は、有限責任組合員に対し、第6の2(3)に伴う投資先企業への対応等を記載した報告書を半期ごとに提出する。
2 無限責任組合員は、有限責任組合員に対し、下記の事項に関し報告するととも に、有限責任組合員から要請があった場合には、投資活動に関する情報の開示を行うものとする。
なお、(1)については投資実行の翌月末まで、(2)については発生後遅滞なく、(4)については処分収入を得た翌月末までに報告を行うものとする。
(1)投資実行した場合の投資先企業の概要、投資額等
(2)投資先企業に発生した次に掲げる重要な事情の内容等
①投資時点で予定されていなかった、合併、株式交換、株式移転、会社分割、事業譲渡、事業の休止又は廃止、破産、会社更生又は民事再生の手続き申立等
②上場承認
(3)投資先企業に対する助言等の支援内容
(4)売却・償還等による処分収入を得た場合の当該投資先企業の概要、売却額等
3 無限責任組合員は、投資先企業の1年ごとの経営状況等を有限責任組合員に対して報告する運用報告会を年1回以上開催する。
第7 アンケート協力義務
無限責任組合員は、公社が投資先企業に対してアンケートを行う場合、そのアンケートの発送及び回収に協力すること。
第8 無限責任組合員に対する報酬
無限責任組合員に対する報酬は、組合の主な投資対象や投資形態を勘案し、組合運営等のための管理報酬及び成功報酬とし、本ファンド規模からそれぞれ適切な設定を行う。管理報酬により賄われるべき費用の範囲は、投資先の発掘・審査、投資先に対する支援及び組合事務の運営に要する費用(注3)を基本とする。
(注3)本組合事業に関連して発生する次に掲げる費用
①本組合の組成に関する費用(本契約の作成費用、登記費用、弁護士、公認会計士、税理士その他の専門家に対する報酬を含む。)
②組合財産の取得、投資先事業者等における合併、株式交換、株式移転、会社分割、事業提携その他の組織再編行為、並びに、組合財産の処分等に要する費用(事業調査に係る弁護士、公認会計士、税理士その他の専門家に対する報酬を含む。)
③組合財産に関する権利行使に係る費用(サービサーその他の第三者に対する委託費用を含む。)
④組合員集会等の開催に係る費用
⑤次の(ⅰ)から(ⅲ)までに規定する費用 (ⅰ)帳簿その他会計記録の作成費用 (ⅱ)財務諸表等の作成・送付費用
(ⅲ)半期財務諸表等の作成・送付費用
⑥監査人の監査及び意見書作成並びに意見聴取に係る費用
⑦組合財産の名義変更その他の対抗要件具備のための費用その他組合財産の管理に係る費用
⑧本組合の事業に合理的に必要な、弁護士、公認会計士、税理士、鑑定人、アドバイザーその他の専門家の費用
⑨投資先企業への助言等の支援及び育成に要する費用
⑩本組合の事業に関連する法令等を遵守するための費用又は本組合の事業に係る法的手続に要する費用(訴訟その他の裁判手続及び行政機関による検査・調査に要する費用を含む。)
⑪本組合の事業に関する保険の保険料(無限責任組合員の取締役又は従業員が投資先事業者である会社の取締役その他の役員に就任した場合における当該取締役又は従業員の役員賠償責任保険の保険料を含む。)
⑫本組合の事業に関して発生する公租公課(消費税及び地方消費税を含む。)
⑬本組合の解散及び清算に要する費用
⑭本組合に関し、又は本組合の業務執行に際し、合理的に発生したその他の費用
第9 無限責任組合員の出資額
無限責任組合員は、出資約束金額総額の1%以上を自ら出資すること。
第10 善管注意義務、利益相反、秘密保持
1 無限責任組合員は、本ファンドの目的に従い、善良なる管理者の注意をもってその業務を執行すること。
2 無限責任組合員は、本ファンドに不利益が生じないよう利益相反に配慮するこ と。なお、無限責任組合員は、組合存続期間の2分の1を経過した日又は出資約束
金額総額に占める投資総額の割合が 60%を超える日のいずれか早い日までの間は、組合員の事前の承認を得ることなく、本ファンドの事業と同種又は類似の事業を沖縄県内において行うことはできない。
3 無限責任組合員は、組合員の事前の承認を得ることなく、組合との取引を行わないこと。
4 無限責任組合員は、投資先に関する情報をはじめ、組合に関する情報を、合理的な範囲を超えて開示又は漏洩してはならないものとし、組合運営に際しては、万全の秘密保持体制をとること。
第11 公益財団法人沖縄県産業振興公社の関与
1 公社は、公社職員の中からオブザーバーを選任して、無限責任組合員が実施する投資委員会等の投資決定プロセスにオブザーバー参加させることができる。
2 公社は、投資先企業の経営状況や組合の運営状況の把握を行うなどのモニタリングを実施し、無限責任組合員との意見交換を行うことができる。
3 公社は、投資先企業に対する助言等の支援状況及び財務状況やコンプライアンス体制などについて、無限責任組合員に報告を求めることができる。
4 公社は、無限責任組合員に対し、投資先候補に関する情報提供を行うことができる。
第12 反社会的勢力への対応
1 すべての組合員が、契約時点において反社会的勢力でないこと及び組合員である全期間において反社会的勢力に該当しないことを、表明及び保証すること。
2 上記1に虚偽又は違反があることが判明した場合には組合員の除名事由に該当するものとすること。
3 組合の投資対象から反社会的勢力を除外すること。
第13 その他
1 組合は、原則として資金の借入を行わないものとする。
2 公社に対する組合財産の分配(清算人による分配を含む。)については、公社が投資先企業の株式等の現物による分配を了承する場合を除き、金銭により行うこと。
3 無限責任組合員は、本組合が匿名組合契約の出資の持ち分又は信託の受益権を取得する場合にあっては、当該契約等の内容について公社へ事前に通知することと し、公社は当該契約等の内容に対して意見を述べることができる。また、その場合
においては、当該出資額又は当該取得額を超えて損失を負担することのないことを匿名組合契約、信託契約等において規定すること。
4 無限責任組合員は、公社が行う中小企業向け支援施策との連携を要請した際には、合理的に可能な範囲において協力を行うこと。
5 無限責任組合員が、公社の名称を用いる場合は、公社の社会的信用を低下させないよう努めるとともに、募集活動や投資活動その他本ファンドの運営に関して投資先、有限責任組合員その他の第三者に対し、公社が本ファンドの運営主体であるとの誤解を生じさせないようにしなければならない。
無限責任組合員がこれらに違反した場合、公社は名称の使用を禁止することができる。