第 4 節 電子メールを前提とした CI-NET による電子データ交換
第 4 節 電子メールを前提とした CI-NET による電子データ交換
(EDI)に関するデータ交換協定書(参考例)
標準ビジネスプロトコルを用いて EDI を行うユーザーは、EDI を行うユーザー間においてなんらかの EDI に関する協定書(データ交換協定書)を取り交わすことが望ましい。その協定書に盛り込む項目、内容については、ユーザー間で十分協議の上決定する必要があるが、本データ交換協定書(参考例)はその際の参考となるものである。ただし、本協定書第 3 条に定めているように、本協定書の適用はあくまでも標準ビ ジネスプロトコルによる EDI の範囲内であり、一般的な業務基本契約や関連法規の内
容については記述していない。
■インターネットの電子メールを前提とした CI-NET による電子データ交換
(EDI)に関するデータ交換協定書(参考例)
(以下「甲」という。)と (以下「乙」という。)とは、甲を発注者、乙を受注者とする甲乙間における平成 年 月 日締結の工事下請基本契約書および平成 年 月 日締結の物品等売買基本契約書(以下
「基本契約書」という)にもとづく取引に関し、第 4 条(1)に規定するCI-NET 標準
ビジネスプロトコルにもとづく第 4 条(2)に規定の電子データの交換(以下「CI-NETによる EDI」という。)をインターネットの電子メールを利用して行うにあたり、次のとおり協定(以下「本協定」という。)を締結する。
【留意点】
・使用するシステムの名称(取引当事者間で取り決めた固有もの)を明記することもあり得る。
第 1 条(目的)
本協定は、甲乙が CI-NET による EDI を利用することにより、甲乙間の取引を円滑 かつ合理的に推進するために締結するものとし、両者は誠意をもってこれを履行する。
第 2 条(基本契約書との関係)
甲乙間で締結した基本契約書に定めた事項と本協定に定めた事項との間に相違がある場合には、本協定の定めが優先的効力を有するものとする。
【留意点】
・基本契約書と本協定との内容が整合しない場合、一般的には、CI-NET による EDI に関しては本協定が優先する。ユーザーはこの点に留意してデータ交換協定書の内容を検討する必要がある。
第 3 条(適用範囲)
1.本協定は、CI-NET による EDI を利用して行う個別契約の申込およびその承諾、または個別契約内容の変更、解除もしくは打切の申込および当該申込に対する承諾、その他見積依頼および回答、出来高報告および確認、請求等の付帯業務について適用する。
2.CI-NET による EDI を利用して行う業務の内容は、第 5 条に規定する運用マニュア
ルに定める。
【留意点】
・CI-NET を導入する企業は、CI-NET の適用業務を運用マニュアルに定める。
第 4 条(用語の定義)
本協定における用語の定義は、次の各号に定めるところによる。
(1)CI-NET 標準ビジネスプロトコル
取引関係情報を相手方に提供する場合に使われるビジネスプロトコルであり(財)建設業振興基金 建設産業情報化推進センター発行の「CI-NET 標準ビジネスプロトコル」で規定するものをいう。
(2)CI-NET によるEDI
甲および乙が相手方に提供する取引関係情報を CI-NET 標準ビジネスプロトコルの状態でメールアドレスに送信し、相手方が当該取引関係情報を受信し、利用するシステムをいう。
(3)取引関係情報
甲乙間の継続的取引において、個別契約の申込およびその承諾、または個別契約内容の変更、解除もしくは打切の申込および当該申込に対する承諾、その他見積依頼および回答、出来高報告および確認、請求等相手方に対する意思表示または通知のうち、CI-NET による EDI により甲乙間で相互に提供される諸情報を総称する。このうち本協定が対象とする取引関係情報は、第 5 条に規定する運用マニュアルに定める。
(4)個別契約
甲から乙に対する注文の申込の意思表示(確定注文メッセージ)と、当該申込に対する乙の承諾の意思表示(注文請けメッセージ)によって成立する取引契約をいう。
(5)メールアドレス
CI-NET による EDI の利用に際し、甲および乙が相手方に提供する取引関係情報等を送信するインターネットの電子メールアドレスをいう。
以下、甲が乙に対して提供する取引関係情報等を送信するメールアドレスを「乙のメールアドレス」といい、乙が甲に対して提供する取引情報等を送信するメールアドレスを「甲のメールアドレス」という。なお、甲または乙は、それぞれ甲のメールアドレスまたは乙のメールアドレスとして、インターネット・サービス・プロバイダ等の第三者が提供するものを利用することができる。
(6)取引用設備
甲および乙が、CI-NET による EDI を利用するために、自らが準備・使用する電子計算機、端末機器および周辺機器など(以下「ハードウェア」という。)、並びに
当該ハードウェアに使用されるソフトウェアを総称していう(以下「装置」という。)。
(7)取引用電気通信回線
甲および乙が、CI-NET による EDI を利用するために準備する甲の装置と乙の装置が利用する電気通信回線である(以下「通信回線」という。)。
【留意点】
・(3)取引関係情報は、CI-NET を導入する企業が、CI-NET を適用する範囲の標準メッセージを運用マニュアルに定める。
第 5 条(運用マニュアル)
1.本協定にもとづく CI-NET による EDI について、その実施に必要なシステム、送信手順、データ書式、運用時間その他の細目は、甲乙間で別に定める「CI-NET による電子データ交換(EDI)に関する運用マニュアル(以下「運用マニュアル」という。)」に定める。
2.甲および乙は、運用マニュアルが本協定と一体をなし、本協定と同一の効力を有することを相互に確認する。
3.システムの変更その他の事由により運用マニュアルを変更する必要が生じた場合には、必要に応じ、甲乙間で協議を行い変更する。
第 6 条(CI-NET 標準ビジネスプロトコルおよび CII シンタックスルールの遵守)
甲乙は、CI-NET によるEDI を利用するにあたり CI-NET 標準ビジネスプロトコルおよびCII シンタックスルールを遵守する。
第 7 条(実施手順)
甲乙は、以下の各号に定める要領および運用マニュアルに定める要領にしたがい、相互に取引関係情報を提供、利用する。
(1)甲乙は CI-NET による EDI の利用に際し、メールアドレスを定め、相手方に通
知する。
(2)甲が乙に取引関係情報を提供しようとするときは、甲は当該取引関係情報を作成し、CI-NET 標準ビジネスプロトコルの状態で運用マニュアルに定めるセキュリティ措置を施し、乙のメールアドレスに送信する。
(3)乙は、前号により乙のメールアドレスに送信された取引関係情報を乙の装置内に受信し、利用する。乙は、受信後遅滞なく、受信した取引関係情報に対する受信確認メッセージを作成し、CI-NET 標準ビジネスプロトコルの状態で運用マニュアルに定めるセキュリティ措置を施し、甲のメールアドレスに送信する。
(4)乙が甲に取引関係情報を提供しようとするときは、乙は当該取引関係情報を作成し、CI-NET 標準ビジネスプロトコルの状態で運用マニュアルに定めるセキュリティ措置を施し、甲のメールアドレスに送信する。
(5)甲は、前号により甲のメールアドレスに送信された取引関係情報を甲の装置内に受信し、利用する。xは、受信後遅滞なく、受信した取引関係情報に対する受信確認メッセージを作成し、CI-NET 標準ビジネスプロトコルの状態で運用マニュアルに定めるセキュリティ措置を施し、乙のメールアドレスに送信する。
(6)甲および乙は、相手方に提供する取引関係情報等を CI-NET 標準ビジネスプロトコルの状態に変換する業務、運用マニュアルに定めるセキュリティ措置を施した状
態に変換する業務および運用マニュアルに定めるセキュリティ措置を施した状態の取引関係情報等を自己の要求する形式に変換する業務を相手方または第三者に委託することができる。
【留意点】
(2)~(5)のセキュリティ処理方式は運用マニュアルに定める。
第 8 条(意思表示等の時期)
CI-NET による EDI による甲乙間の意思表示あるいは通知は、甲および乙が提供すべき取引関係情報を相手方のメールアドレスに記録させた時に、相手方に到達したものとする。
【留意点】
・下図の例の(2)の時点で見積回答の意思表示が到達したものとする。
・データが相手方に到達することにより、その意思表示は効力を発生する(民法 97 条
1 項:隔地者に対する意思表示はその通知の相手方に到達したる時よりその効力を生じる)。
見積回答メッセージの場合の例
(1)メッセージを送信
見積回答msg
(2)メールアドレスに着信
(5)メールアドレスに
着信
(3)読み込み
受信確認msg
(4)受信確認を送信
(6)読み込み
msg:メッセージ
受信者
(見積依頼者)
送信者
(見積回答者)
第 9 条(取引関係情報の効力)
1.CI-NET による EDI により伝送された取引関係情報は、正当な権限を有する者が適切な手段、手続きに則って行い、発信したものとする。
2.取引関係情報が、CI-NET による EDI により提供される場合の他、書面によっても提供される場合には、送信者は当該情報の相互間に相違・矛盾を生じさせないようにする。なお、相違・矛盾が生じた場合は、原則としてCI-NET によるEDI により提供される取引関係情報が優先する。ただし、甲または乙が別段の通知をしたときはこの限りではない。
第 10 条(取引関係情報の変更)
1.CI-NET によるXXX による取引関係情報の内容を変更する必要が生じた場合は、甲乙協議の上変更する。この場合、取引関係情報の内容を変更する者は、新たな取引関係情報を CI-NET による XXX により相手方に通知する。
2.甲乙間の合意によりCI-NET によるEDI による個別契約の内容を変更する必要が生じた場合は、甲は鑑項目合意変更申込メッセージによって当該個別契約内容の変更を乙に申し込み、乙は遅滞なく鑑項目合意変更承諾メッセージにより当該申込に対する承諾を行う。
3.甲乙間の合意によりCI-NET によるEDI による個別契約を解除する必要が生じた場
合は、甲は合意解除申込メッセージによって当該個別契約の解除を乙に申し込み、乙は遅滞なく合意解除承諾メッセージにより当該申込に対する承諾を行う。
4.甲乙間の合意によりCI-NET によるEDI による個別契約を打ち切る必要が生じた場
合は、甲は合意打切申込メッセージによって当該個別契約の打切を乙に申し込み、乙は遅滞なく合意打切承諾メッセージにより当該申込に対する承諾を行う。
【留意点】
・業務データの不整合が生じないよう、変更を生じた場合も変更後のデータを CI-NET
で送信する。
・見積、入出荷、出来高、立替、請求等のデータを変更する必要が生じた場合は、既に送信したデータと同一種類のメッセージを変更データとして送信する(第 1 項)。
・確定注文および注文請けメッセージの取り交わしによって既に成立している個別契約を変更、解除、打切する場合は、確定注文あるいは注文請けメッセージの再送ではなく、鑑項目合意変更申込/承諾、合意解除申込/承諾、合意打切申込/承諾メッセージによって行う(第 2~4 項)。
第 11 条(個別契約の成立)
1.本協定に係わる個別契約は、甲の乙に対する個別契約申込の意思表示(確定注文メッセージ)が乙に到達した後、当該申込に対する乙の承諾の意思表示(注文請メッセージ)が甲に到達した時に成立する。ここで、乙の承諾の意思表示が甲に到達した時とは、乙の承諾の意思表示が甲のメールアドレスに着信した時をいう。
2.本協定に係わる個別契約の内容の変更は、甲の乙に対する個別契約変更申込の意思
表示(鑑項目合意変更申込メッセージ)が乙に到達した後、当該申込に対する乙の承諾の意思表示(鑑項目合意変更承諾メッセージ)が甲に到達した時に成立する。 3.本協定に係わる個別契約の解除は、甲の乙に対する個別契約解除申込の意思表示(合
意解除申込メッセージ)が乙に到達した後、当該申込に対する乙の承諾の意思表示
(合意解除承諾メッセージ)が甲に到達した時に成立する。
4.本協定に係わる個別契約の打切は、甲の乙に対する個別契約打切申込の意思表示(合意打切申込メッセージ)が乙に到達した後、当該申込に対する乙の承諾の意思表示
(合意打切承諾メッセージ)が甲に到達した時に成立する。
【留意点】
・次図の(3)が乙のメールアドレスに着信した時に個別契約が成立する。
・受信者が(2)の受信確認メッセージを送信することは、確定注文メッセージが着信したことを通知するものであり、注文の承諾を通知するものではない。注文の申込を吟味のうえ(3)の注文請メッセージを送信し発注者に着信した時点で、注文の承諾の意思表示が成立する。
(1)確定注文msg
(個別注文の申込)
(2)受信確認msg
(確定注文msgを受信したことの通知)
(3)注文請msg
(注文の申込を承諾することの通知)
(4)受信確認msg
(注文請msgを受信したことの通知)
Msg:メッセージ
受注者乙
発注者甲
第 12 条(CI-NET による EDI 障害時の措置)
1.装置、通信回線の故障またはその他の理由により、CI-NET による EDI に障害が発生したときは、相手方に直ちにその旨通知し、速やかに対応を図る。
2.前項の障害が発生したときのデータ授受方法は、原則として障害回復後のデータ伝送により行う。ただし障害が復旧するまでの間、甲および乙は、協議のうえ必要に応じ、別途の方法により対応する。
3.障害が復旧するまでの間に書面の交付あるいはそれに代わる方法によってなされた意思表示あるいは通知の効力については、甲乙協議のうえ決定する。
4.第 1 項の障害などに基づく損害については、甲乙のうち当該障害の発生について責任を有する側が負担し、その負担額および負担方法は甲乙協議のうえ決定する。
【留意点】
出来高・請求業務のように、期限・締切が重要な要素を占める業務のデータ交換については、何らかの障害が起きた場合への対応が特に求められることとなる。
2.にある「別途の方法」について、XXX を行うに際し予め責任分界点を運用マニュア
ル等に記載して明確化し、自社の責任範囲において障害が発生した場合どのような運用とするか、取り決めておくことが望ましい。
障害発生時の具体的な運用上の対応としては、
①従来形式の紙での提出を許可する
②締めの期日を変更して提出することを許可する
③別のメールアドレスにデータを送信するなどが考えられる。
また障害発生に備え、以下のような対策を講じておくことも有効である。
①定期的なバックアップを実施し、障害発生時に復旧が容易となるように備える
②非常時の対応についてマニュアル化しておく
(例えば、本社で協議の上対処方法を決定し、現場・支店・取引先等の当事者間にて連絡をとり必要な処置を実施する、など)
第 13 条(取引関係情報の未着、読み出し不能時の措置)
1.甲および乙は、相手方が発信した取引関係情報が着信しない場合、あるいは伝達された取引関係情報の読み出しができない場合、この事情を知った後直ちにその旨を相手方に通知する。この通知がある場合、発信者は当該の取引関係情報を再送信する。
2.前項により発信者が再送を行った場合、甲および乙は、先の取引関係情報を発信者
が撤回したものとする。
【留意点】
2.未着信だった確定注文メッセージが後日着信した場合等を想定し、この場合にも二重注文とならないよう、未着信のデータは撤回されたものとする。
第 14 条(費用負担)
CI-NET によるEDI に係わる費用の負担は、以下の各号の定めによる。
(1)甲が乙のメールアドレスに取引関係情報等を送信する費用は甲の負担とし、乙が甲のメールアドレスに取引関係情報等を送信する費用は乙の負担とする。
(2)乙が甲に送信した取引関係情報等を受信するために甲が甲のメールアドレスを利用する費用は甲の負担とし、甲が乙に送信した取引関係情報等を受信するために乙が乙のメールアドレスを利用する費用は乙の負担とする。
第 15 条(装置および通信回線の整備)
甲および乙は、CI-NET による EDI を利用するために必要な装置および通信回線の整備、保守および管理を、善良なる管理者の注意をもって行う。
第 16 条(取引関係情報の保存)
1.甲および乙は、CI-NET による EDI により相手方から提供された取引関係情報および相手方に提供した取引関係情報の内容を電子ファイル、書面等の記録媒体で必要とされる期間保存するものとし、相手方の請求がある場合はこれを相手方に交付しなければならない。ただし、印刷、複製その他によりこの交付に費用が発生する場合には、その費用は請求者の負担とする。
2.相手方の請求がある場合はこれを相手方に交付しなければならない。ただし、印刷、
複製その他によりこの交付に費用が発生する場合には、その費用は請求者の負担とする。
3.甲および乙は、前項の取引関係情報の内容を改竄してはならない。
4.甲および乙は、取引関係情報等の適切な保存に際して発生しうるリスクに対し、防御措置を採るものとする。
【留意点】
・甲および乙は、取引関係情報の未達、読み出し不能等に備えるために、取引関係情報を適当な期間保存しなければならない。
・この条項は CI-NET による EDI の運用において未達、読み出し不能等に備えるために
定めたものであるが、取引情報の保存に関しては、「4.7.2 データ保存期間」の※関連法規を参照のこと。
・取引関係情報等の適切な保存に際して発生しうるリスクとその防御措置としては以下のようなものがある。これらは、運用での防御の観点から「社内電子契約運用規則」
等別途整備し、適切な運用が必要である。
①管理責任者の設置:
管理責任者等を定め、保管の責任、権限を明確にする。
②アクセスの管理:
保管された電磁的記録等にアクセスできる担当者を定め、アクセス履歴の記録、担当以外の者のアクセスに対する防御等の管理を行う。
③操作担当者の教育:
操作マニュアル等を用意し、担当者に正しい操作を教育する。
④保管場所の管理:
複数の電子記録媒体等に保管する場合は、どの電子記録媒体等にどの電磁的記録等が保管されているか、またディスク自体が正しく管理されていることの確認を行う。
⑤バックアップ:
電磁的記録等のバックアップを定期的に行い、バックアップした電子データを適切に保管する。
⑥ウィルス対策:
コンピュータ・ウィルス等に対する定期的な診断を行い、xxxxが発見されたらただちに対処する。
⑦システム移行等への対応:
保管システム自体をバージョン・アップする時には、旧システムで保管していた電磁的記録等が新しいシステムで処理できなくなる不都合が生じないよう配慮する。
・以降の「5.」は、インターネットの電子メールを採用して取引関係情報を長期保存する場合に関する条文参考例である。これを追加する場合は上記 4 項に追記することを想定している。
なお、本項は建設業法施行規則第 13 条の 2 第 2 項に規定する「技術的基準」に係るガイドラインに沿う形での電子契約を前提としている。
5.甲および乙は、電子署名が施された取引関係情報を長期保存する場合、その取引関係情報に付いている電子署名が正しいものかを検証する時刻について、「時刻」そのものの誤差を生じたり、甲乙互いのシステムの時刻の誤差が、業務的に双方に支障を来たさないよう、定期的に確認するなどの運用管理を行う。
【留意点】
なおここで使用している言葉について以下で説明する。
(a)電子署名とは、公開鍵暗号方式を利用することで、文書の作成者を証明し、かつその文書が改竄されていないことを保証する署名方式を指し、これにより作成された文書を電子署名文書という。
(b)電子署名文書の長期保存の対象期間について、商取引に関連する法規(民法、商法、法人税法等)では各書類、文書に対し、5~10 年程度の保存が義務付けられており、CI-NET においても電子署名文書をこれらの期間保存することを想定する。
(c)ここで触れている「時刻」とは、取引関係情報の作成時だけでなく電子署名文書を保存する際の署名検証時刻としても利用するため、より正確な時刻の運用が求められる。
「時刻」を確認するための時刻源としては、情報通信研究機構(JJY・NICT)の標準電波、日本電信電話(NTT)の 117 時報サービスあるいは日本放送協会(NHK)の時報等を利用する方法が考えられる。
取引関係情報の保存に際し、時刻に関わる処理についてより精度の高い厳密な運用を可能とするため、以下のような規定をデータ交換協定書に盛り込むことも可能である。
-CI-NET において送受信する情報には、契約時に相互に受け渡し保管される注文情報及び注文請情報といった取引業務の情報(メッセージ)以外に、システム運用上の「受信確認情報」がある。また契約前の見積情報や契約後の出来高・請求情報等や取引情報の送受信時の処理(通信、暗号化・復号、署名検証等)、電磁的記録等の保存の処理等に関する一部あるいは全てのログを保存し、内容や時刻を検証できる管理を行うこととする。
またこれらの情報の取得や保存については、これらの処理が容易にできるようシステム的に対応を組み込んでおくとともに、ユーザは必要なときにそれらを参照できるようにしておくこととする。
第 17 条(秘密保持)
甲および乙は、本協定期間中はもとより、本協定完了後においても CI-NET による EDI の実施により知り得た情報を第三者に漏洩してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するものは、この限りではない。
(1)相手方から開示を受けた際、既に自ら所有していたもの。
(2)相手方から開示を受けた際、既に公知公用であったもの。
(3)相手方から開示を受けた後に、甲乙それぞれの責によらないで公知または公用となったもの。
(4)正当な権限を有する第三者から秘密保持の義務を伴わず入手したもの。
【留意点】
・EDI に固有の問題ではなく、通常取引基本契約で定められている事項であるが、本協
定単体で読んだ場合にも理解しやすいように記載した。ただし取引基本契約との整合が必要であり、また各社の事情によっては削除しても構わないと考えられる。
第 18 条(予告による本協定の打切)
甲および乙は、互いに 3 カ月の文書による予告期間をもって、本協定を打切ることができる。
第 19 条(その他の事由による本協定の打切並びに個別契約の解除又は打切)
1.甲および乙は、相手方に次の各号の一に該当する事由が生じたときは、催告なくして直ちに一方的に本協定の打切並びに個別契約の解除又は打切を行なうことができる。
(1)本協定および個別契約に違反したとき。
(2)正当な理由なく期間内に契約を履行する見込みがないと認められるとき。
(3)重大な損害または危害をおよぼしたとき。
(4)監督官庁より営業の取消し、停止などの処分を受けたとき。
(5)仮差押え、仮処分、強制執行、担保権の実行としての競売などの申し立て、または破産、民事再生手続、会社更生、会社整理の申し立てがあったとき、もしくは清算に入ったとき、あるいは支払停止、支払不能の事由が生じたとき。
(6)解散、分割、あるいは他の会社と合併したとき。
(7)財産状態が著しく悪化し、またはそのおそれがあると認められる相当の事由があるとき。
(8)災害その他やむを得ない事由により、契約の履行が困難と認められるとき。
2. 前項の本協定の打切並びに個別契約の解除又は打切は、甲又は乙が蒙った損害について相手方に損害賠償請求をすることを妨げない。ただし、前項第 8 号の場合はこの限りではない。
【留意点】
・第 17 条と同様。
第 20 条(協議事項)
本協定および個別契約に定めのない事項については、既に甲乙間で取り交わし済みの取引上の基本契約書による。また、いずれの契約にも定めのない事項および疑義を生じた場合は、甲乙協議のうえ解決する。
第 21 条(管轄裁判所)
甲および乙は、本協定および個別契約に関する紛糾の管轄裁判所を○○○○裁判所とする。
【留意点】
・第 17 条と同様。
第 22 条(有効期間)
本協定の有効期間は、締結日より 1 年間とする。ただし、期間満了の 1 カ月前までに、甲または乙から書面による打切の申し出のないときは、本協定と同一条件で更に 1 カ年間更新するものとし、以降も同様とする。
ただし、個別契約の期間が本協定の終了後にわたるときは、当該個別契約の終了までの間、本協定は、効力を有するものとする。
本協定の成立を証するため、本書 2 通を作成し、甲乙記名捺印のうえ、各 1 通を保有する。
平成 年 月 日
甲:名 称所 在 地
代表者氏名 印
乙:名 称所 在 地
代表者氏名 印