被告の主張. (1) 争点1(原告らの労働契約における勤務地又は職種の限定の有無)について ア 原告らは,旧電電公社に採用された者であるが,旧電電公社は,全国各地に支店を有し,その業務内容も,事務系業務,営業・各種サービス業務,配線や保守等の現業業務など,多岐にわたっていた。したがって,旧電電公社は,正社員については,職種,職務内容,勤務地,勤務場所等の限定を付さずに採用しており,従業員の職種や勤務地を決定する権限は,人事権の一内容として,当然に旧電電公社に帰属していた。前提事実(4)ア(ア)の旧電電公社の就業規則の定めは,このことを明らかにしたものであった。 そして,組織改編などを経た後の現在の被告においても変わることはなく,被告の就業規則においても前提事実(4)ア(イ)aのとおり規定されている。 以上のことから,原告らは勤務地や職種の変更について,包括的な同意をしているものと解すべきである。 イ 原告らが本件配転命令前の勤務地及びその近辺で勤務し,一定の職種の範囲内の業務に従事していたのは,偶然,遠隔地への配転がなく,職種を変更することがなかったからにすぎず,このことによって,勤務地や職種を限定する旨の合意が生じるものではない。 実際にも,被告においては,勤務地や職種の変更が数多くあった。 また,旧電電公社の募集においては,最初の配属場所が示されてい たにすぎない。
(2) 争点2(本件計画の必要性の有無)について 本件計画は,構造改革の中心となるものであり,また,構造改革には,次のとおり必要性があった。
被告の主張. 本件被告解除権付与条項が,原契約の解除権を,原契約賃借人の受託保証人となる被告に付与していることは認める。 しかし,本件被告解除権付与条項については,信頼関係破壊に関する従前の判例法理に基づき解釈すべきである。すなわち,不動産賃貸借では,賃借
被告の主張. 被告は,3年以上も前から本件新契約書を使用しており,原告も当然そのことを認識していたのだから,原告としては本件新契約書の内容を検討した上で,問題点があれば書面によって指摘すべきである。本件事前請求は本件旧契約書の問題点のみを指摘したにすぎず,法41条1項の事前請求に該当しない。
被告の主張. 被告代表者は,平成21年6月4日,原告事務所に赴いた際,原告担当者から年会費が記載された加入登録書を示され,原告団体への加入を勧誘され た。さらに,原告担当者から「Dさんくらいの規模の会社からは30万円はいただいています。」と言われた。このような原告の財産上の利益の要求は法 また,原告は,被告が3年以上も前に本件新契約書を採用したことを,本件事前請求の時点で認識していた。本件新契約書の採用を知りつつ,本件旧契約書の問題点のみを指摘した本件事前請求を基に行われている本訴は,被告に不必要な応訴の負担を強いるものである。 したがって,本訴の提起は,原告の不正な利益を図り,相手方である被告に損害を与える目的によりなされた著しく不適切な権利行使であるから,法 12条の2第1項1号及び23条2項に該当する差止請求の濫用的行使に当たる。
被告の主張. 本件旧契約書の特約事項については,本件新契約書に印字されていない。被告において,本件旧契約書特約事項7項,8項及び12項と同内容の特約を定めることは想定されていない。
被告の主張. 本件解除条項に定められた各事由は,賃料支払という賃借人の基本的かつ重要な義務の履行に大きな懸念を示す事情であり,かかる事由の発生は当事者間の信頼関係が破壊されたことを基礎づけるものである。そして,信頼関係の破壊が認められない事案については,個別に信頼関係不破壊を理由として解除の効力を制限すれば足りるのであって,本件解除条項そのものが信頼関係破壊の法理が適用される場合に比して,賃借人の権利を制限する条項とはいえない。
被告の主張. 本条項に基づく解除も,個別具体的事情に照らし当事者間の信頼関係破壊が認められないと判断されれば解除の効力は認められないこととなり,賃借人の立場・状況は十分に考慮され得る。それゆえ,同条項が信義則に違反して消費者の利益を一方的に害するとまでは到底いえない。 イ 本件損害金条項について
被告の主張. 賠償額の予定を行うことは,民法420条に規定されており,民法の 規定を適用する場合と比較して,賃借人の義務を加重するとまではいえない。
被告の主張. 賃借人が任意に履行しなければ,訴訟手続や強制執行などに相当の費 用が要し,これらの費用全部を必ずしも確実に回収できるとは限らない。そのため,明渡遅延に伴う損害金として賃料の2倍相当額を請求することは合理的である。さらに,賃貸人が現入居者との契約終了を見越して次の賃借人と賃貸借契約を締結したが,現入居者が退去しなかった場合,賃貸人は次の賃借人に賃料と同額程度の違約金支払義務が生じることとなる。被告が損害金の額を賃料の2倍と定めたのは,かかる違約金と賃料相当損害金の合計額を請求する趣旨も含まれており,合理的である。他方で,賃借人は任意に明渡しさえすれば損害賠償義務を免れること が可能であり,かつ,このような対応も容易である。
被告の主張. 本件損害金条項は,あくまで賃貸借契約終了後に明渡しを完了しなかった場合の損害金を定めた規定であるから,消費者契約の「解除」に伴う損害賠償の予定又は違約金を定める条項に関する規定である法9条1号が適用される余地はない。 ウ 本件旧契約書特約事項6項(催告手数料)について