『収 益認 識に 関す る会 計基 準 』(以 下 ,「収 益認 識基 準」という 。)は, IFRS 第 15 号の「基本的な原則」をすべて取り入れることを出発点 とし , そこ にわが国 の実務等に配慮すべき項 目を比較可能性を損な わ せな い 範囲 内で「代 替的な取扱い」として認 め,収益認識の包括的 な基準として定められた( 97 )。
目 次
1 収益認識基準の「基本となる原則」 と契約資産・契約負債
2 収益認識基準の適用対象となる契約の識別
( 1 ) 売 上高 ・営業収 益の認識とその対象とな る契約(ステップⅠ)
(2)収益の認識単位と履行義務の識別(ステップⅡ)
〈1〉 契約の区分による履行義務の識別
〈2〉 契約の結合による履行義務の識別
3 取引価格の算定と履行義務への配分(ステップⅢ・ Ⅳ)
(1)取引価格の算定とその配分の概要
(2)取引価格の算定時に考慮すべき要素(ステップⅢ )
〈1〉 変動対価と返品権付きの販売・ その他
〈2〉 重要な金融要素
〈3〉 現金以外の対価
〈4〉 顧客に支払われる対価
(3)履行義務への取引価格の配分(ステップⅣ )
〈1〉 独立販売価格に基づく配分
〈2〉 値引きの配分
( 4 )契約変更等が履行義務へ及ぼす影響と取引価格の配分
〈1 〉契約変更と履行義務・取引価格への影響
〈2 〉事後的な履行義務・取引価格の変動
〈3 〉契約変更後の取引価格の変動( 指針[ 設例 3 ] より)
4 履行義務の充足による収益の認識( ステップⅤ)
(1)売上高・ 営業収益の認識と顧客の会計処理
(2)一定の期間にわたり充足される履行義務と進捗度
(3)一時点で充足される履行義務
『収 益認 識に 関す る会 計基 準 』(以 下 ,「収 益認 識基 準」という 。)は, IFRS 第 15 号の「基本的な原則」をすべて取り入れることを出発点 とし , そこ にわが国 の実務等に配慮すべき項 目を比較可能性を損な わ せな い 範囲 内で「代 替的な取扱い」として認 め,収益認識の包括的 な基準として定められた( 97 )。
1 収益認識基準の「基本となる原則」 と契約資産・契約負債 問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
①
「 収益認識基準の基本となる原則は,約束した財又はサービ ス(本
②
書で は, まと めて 「給 付 」 と い う 。)の 換 に ( b) 企業が権利を得ると見込む
を当該給 付 と ( a) 交で描写するように,収益
を認識す る ことであ る( 16 )。 貨幣交 換経済に おいて ,企業へ の貨 幣の流れと給付の流れとは ,通常は対となって ,対流関係にあ る(x x 1(2) ( 4 ) )。 対 流関係 とは ,給 付と 貨幣と の交 換と いう 経済
事象のことであり,基準では交換に係る企業の収益認識を契約に基
えん よう
づく権利・ 義務という法的概念を 援 用 して定める。交換に伴う給付
①
の流出(
③
) という経済事象を
の充足という貨幣の流れ
の側面から描写しようとするのが, 収益認識基準なのである。交換 には給付流出の対流(対価)としての貨幣流入が伴うからである。
⑤
企業の収益及び顧客の資産・費用の測定額は,いずれも を
基礎とする。
基本となる原則に従って収益を認識・測定するために, 次のⅠか らⅤのステップを適用する( 17 )。
④
Ⅰ 顧客との
Ⅱ 契約における
を識別する。
③
を識別する。
⑤
Ⅲ を算定する。
⑥
⑤
③
Ⅳ 契約における に を する。
③
Ⅴ の充足により収益を認識する。
ステップⅤでの収益認識を最終目的とし,他のステップは,それ を 整 理 ・ 具 体 化 す る た め の 準 備 過 程 で あ る 。 ス テ ッ プ Ⅰ と Ⅱ と が
⑧
⑦
に 係 る 準 備 過 程 で あ り , ス テ ッ プ Ⅲ と Ⅳ と が に 係
る準備過程なのである。
顧 客 か ら の 対 価 受 取 時 又 は 対 価 受 取 期 限 到 来 時 と 給 付 移 転 時 とは , 同 じ タ イ ミ ン グ で 生 じ る と は 限 ら な い 。 後 者 が 前 者 に 先 行 し
⑨
た 場 合 は , 給 付 移 転 時 に 収 益 を 認 識 し , 対 価 を 又 は 債 権 と
⑨
し て 貸 借 対 照 表 に 計 上 す る 。 は , 金 銭 債 権 と し て x x 商 品
会計 基準 に従 って 処理 す る ( 7 7 ) 。 前者 が後 者に 先行した場 合 は ,
⑩
前 者 の い ず れ か 早 い 時 点 で , 対 価 を と し て 貸 借 対 照 表 に 計
③
上し(78),この時点 では,収益を認識しない。
⑪
同種の給付の移転については,
⑤
実質の属性を描写すべく収益認識及び
して 単位で,経済的 の配分を行う。また,
⑫
収益認識・測定全般について, の原則が適用される(10 1) 。」
問2 下線 ( a) の 「交換 」に関連 して ,2つ の企業の 間で ,異な る場所における顧客からの需要を適時に満たすために互いの棚卸資 産を交換する契約は, 収益・費用の認識対象となるか, その理由
とともに説明しなさい。
②
問3 下線 ( b) は ,「
で 描 写 す る 」 のに測 定の 原則 では なく
認識の基本原則としている理由を述べなさい。
問1
① 移 転 ② 対価の額 ③ 履行義務 ④ 契 約
⑤ 取引価格 ⑥ 配 分 ⑦ 認 識 ⑧ 測 定
⑨ 契約資産 ⑩ 契約負 債 ⑪ 継 続
⑫ 重要性
♪ 給 付 を 基 準 等 で は ,「 資 産 」 と 表 現 さ れ る こ と も あ る ( e x . 指 針 8 )。
問2
な お , 本 試 験 の 記 述 で は ,「 給 付 」 で は な く 「 財 又 は サ ー ビ ス 」 と い う 用 語 を 使 用 す る こ と 。
ならない( 3(4) )。
(理由)同業他社との棚卸資産の交換について収益を認識し, その後で再び最終顧客に対する棚卸資産の販売について収益を認
識すると,収益及び費用を二重に計上することになり, 財務諸表 利用者が企業による履行及び粗利益を評価することが困難となる ため( 106 )。
♪ このような取引の代表例がバータ ー( 物々交換 )取引である 。例えば,A社の製油所は北海道にあり,B社の製油所は九州に ある。北海道にあるB社の顧客にA社からレギュラーガソリン を供給し,九州にあるA 社の顧客にB社からそれを供給する契 約を結ぶ。この契約により両社は,運送費を節減でき,また顧 客からの注文にも適時に応じられる。両社から各顧客への供給 は同量とするのが原則である。 棚卸資産の物々交換の取引にお いて,交換量に差が生じたときは,その差についてのみ損益の 認識と決済がなされる。
問3
履行義務という概念は, 貨幣の流れに属する法的概念で, 測定概
念に属する。履行義務に配分される対価額としての取引価格も同じである。基本となる原則は,収益認識の基準を貨幣の流れの側面から「履行義務の充足」という概念を売上高・営業収益認識の統合概念とすることを前提に「対価の額で描写する」と表現しているのである。
♪ 収益認識基準において,認識という概念は,測定も含めて使用されている。従って,
「基本となる原則」は,履行義務への取引価格の配分における原則でもある(65)。 しかし,狭義の認識概念は, 測定とは区別して使用される。 解答では,狭義に認識と測定とを区別して説明している。 給付と貨幣との交換という経済事象をその経済的実質の属性に応じて描写するためには , 両 者 を 区 別 し て 理 論 構 成 す る の が 合 理 的 だ か ら で あ る 。
履 x x 務 と い う 用 語 は , 法 的 な 概 念 で は あ る が , 学 習 上 , 法 的 と い う 点 に あまりこ だ わ ら な い 方 が よ い 。「 履 x x 務 の 充 足 」 と い う 概 念 に は , 法 的 な 意 味 に 加 え て , 経 済 的 実 質 の 属 性 を 描 写 す る た め に , 会 計 的 な 意 味 が 付 加 されている。その結果, 収益認識基準には, 法的概念とは整合しない内容も散見されるからで あ る 。
2 収益認識基準の適用対象となる契約の識別
(1 )売上高・営業収益の認識 とその対象となる契 約(ステップⅠ) 問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
①
「 収益認識基準は, に係る顧客との契約から生じる取引又
②
は事象を対象として適用される。
③
契約とは,法的な当事者間 における
のある権利及び義務を生じさせる複数の をいう ( 5 , 20 )。契約 の効力 は,各当 事者
④
がその内容を
し ,義務の
を約束することにより生じる。
⑥
⑤
ⅰ契約の形式には,書面だけでなく, 口頭, 等があるが,基
準 で は, ( a ) こ れら いず れの形 式もその 対象と する。ま た, 契約が
締結される局面やその内容等は様々であるから,そこでは,必ずし も給付・ 貨幣の流れが生じるとは限らない。収益認識の対象となる 契約を貨幣の流れの側面からさらに要件づけるなら,ⅱ移転される
⑦
給付に関する各当事者の が識別でき,ⅲ給付と交換に受け取
る対価の が識別できなければならない。つまり,ⅳ契約には,
⑨
貨幣の流れを伴う がなければならない。さらに,それが企業
⑩
の便益となるためには, ⅴ対価は, が高くなければならない
(19 ) 。 ( b ) 回収に不確実 性がある場合 ,それが高 い と 見込まれる
部分だけを収益認識の対象とすることになるのである 。」
問2 問1 のⅰ からⅴの要件に関連して,次の設問に答えなさい。
① これらの要件をすべて満たした契約であっても,収益認識の 対象にならない場合を示しなさい。
② これらの要件をすべて満たさない契約であっても, 一定額を 収益として認識する場合を示しなさい。
⑥
問3 下 線 ( a ) に関 連し て, が契 約に含 められて いる 理由を
説明しなさい。
問4 下線( b)の「回収に不確実性がある場合」を例示しなさい。
問5 次の取引のうち収益認識基準の適用対象とならないものを記 号で答えなさい。
ⅰ 「 金融商品会計基準」 の範囲に含まれる金融商品に係る取引
ⅱ 「リース会計基準」の範囲に含まれるリース取引
ⅲ 代金引換販売による取引
ⅳ 金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料に係る取引
ⅴ 工事契約に基づく取引
ⅵ 受注制作のソフトウェアを提供する取引
ⅶ 使用目的だった固定資産を売却する取引
ⅷ 農産物を収穫時に収益として認識する取引( 収穫基準)
ⅸ 貴金属を採掘時に収益として認識する取引( 採掘基準)
ⅹ 継続的役務提供契約があるので営業収益を時間の経過に応じ て認識する取引(時間基準)
問1
① 売上高・ 営業収益 ② 強制力 ③ 取り決め
④ 承 認 ⑤ 履 行 ⑥ 取引慣行 ⑦ x x
支払条件 ⑨ 経済的実質 ⑩ 回収可能性
問2
① 給 付 の 移 転 が な く , 対 価 受 け 取 り の x x を 得 て い な い こ
とから契約が解約されても補償することがない未履行契約の 場合( 12)。
....
② 次のいずれかに該当するときは,受取済の対価を収益とし
て認識する(25) 。
ⅰ 給付を顧客に移転する残りの義務がなく,対価のほとん どすべてを受け取っており, 受取済対価の返金は不要であ ること。
ⅱ 解約によっても,受取済対価の返金は不要であること。
問3
取引慣行によることが当事者間で含意されている場合,取引
慣行を根拠に強制力のある権利及び義務が生じるから(127 )。
問4
深刻な不況下にある国の顧 客へ医薬品を 1 , 0 0 0 千円で販売
する契約を締結した。 当面はその全額を回収する見込みがなく, 回収可能な額は,400 千円と見積られる。しかし, その国の経済 は, 2 年から3 年で回復見込みであると予測され,将来の売上増 加を見込めば, 現時点で契約しておいた方が会社のためになると 想定される場合。 S ee.指針[ 設例2 ]
♪ 回収可能性が高い部分 400 千円が収益の認識対象となる。
問5
ⅰ ⅱ ⅳ ⅶ ⅷ ⅸ
♪ ⅲの代金引換時は, 現金受取時であると同時に, 履行義務 の充足時点でもある。 ⅴ又はⅵ の基準等は,廃止された。し かし,それらの新基準での取扱いは,細目を除いて基本的に は変更ないと解される 。ⅶは契約に 基づく収益認識であるが,基準は,その収益として,売上高又は営業収益を対象として いる。ⅷ及びⅸについては, 給付の移転に基づく収益認識で はない。ⅷ のうち,契約栽培の農産物は,契約に基づく栽培 ではあるが,従来の発生主義による収益認識時点は,出荷前
...
の収穫時であって履行義務の充足につれての認識ではない。
これら以外の解答の根拠は,基準の項番号3 によっている。
♪ x x的な 基準 である企 業会計x xでは ,「売 上高は, 実現主義 の x x に 従 い , 商 品 等 の 販 売 又 は 役 務 の 給 付 に よ っ て 実 現 し たも のに限る 。」( P / Lx x x B ) と さ れて きた。実現主義に基づく 収益認識は, 監査対象法人以外の企業には従来通り認められる。
(2)収益の認識単位と履行義務の識別(ステップⅡ )問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
②
①
「 履行義務とは,顧客との において,給付を顧客に
す る 約束 で ある ( 7 ) 。 収 益認識 基準では ,取引 又は事象 の経 済的実
③
質の属性に応じて識別された履行義務を収益の とし,またそ
④
れを取引 価格の と も す る(65) 。 履 行義務 は, 収益の認 識・
測定における統合概念であり,また,その基礎概念なのである。
(a) 履行義務と個々の契約と は,多くの場合に一致するので,収
①
③
益の は,個々の 毎とするのが通常である。しかし,経
③
済的実質の属性をxxに描写するために(b)通常とは異なる
⑤
の識別を必要とする場合がある。また,契約の が履行義務に
影響する場合もある。
ただし,契約全体からみて重要性の 乏しい場合には,(c) 契約を
識別しないことも容認される 。」
問2 下線( a)の「一致する」 場合を例示しなさい。
③
問3 下 線 ( b ) の「 通常 とは異 なる の識 別」とは ,ど のよう
なことをいっているのかを示しなさい。
問4 下線( c)の「容認される」場合を例示しなさい。
問1
① 契 約 ② 移 転 ③ 認識単位
④ 配分単位 ⑤ 変 更
問2 | ( 1 ) | 製造業者の製品販売 |
( 2 ) | 小売業者の商品販売 | |
( 3 ) | 企業が再販売するチケット | |
( 4 ) | 契約上合意した顧客のための作業の履行 |
その他(129)
問3
単一の契約を複数の履行義務に区分したり,複数の契約を1
つの履行義務に結合して,識別すること。
問4
♪ 次のいずれかを解答とすればよい(指針 93 ,94 )
ⅰ 重 要 性 が 乏 し い 場 合 に は , 履 x x 務 で あ る か に つ い て 評価しないことができる。
ⅱ 顧 客 が 商 品 又 は 製 品 に 対 す る 支 配 を 獲 得 し た 後 に 行 う 出荷 及 び 配 送 活 動 に つ い て は , 商 品 又 は 製 品 を 移 転 す る 約 束を 履 行 す る た め の 活 動 と し て 処 理 し , 履 x x 務 と し て 識 別しないことができる。
〈1〉契約の区分による履行義務の識別
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 単一の契約の内容に経済的実質の属性が異なる複数の履行義務
①
が混在している場合には,それぞれの 毎に履行義務を識別す
ることが原則となる(32 ~ 3 4)。例えば,契約内容が標準的な商品 の販売と複数年にわたるその商品に対する保守サービスの提供とか
②
らなる場合には ,商品の販売と保守サービ スの提供とは して,
③
別個の
となるように履行義務の 識別をするのである。(a) 所
....
定の要件をいずれも満たす場合には, 契約を区分して,履行義務を
識別する 。」
問2 下線( a)の「所定の要件」を2つ示しなさい。
問1
① 属 性 ② 区 分 ③ 認識単位
問2
① 給付から単独で顧客が便益を享受することができること,あ xxは,その給付と顧客が容易に利用できる他の資源を組み合 わせて顧客が便益を享受することができること。すなわち,当 該給付が別個のものとなる可能性があること。
♪ 単独で便益享受
② 給付を顧客に移転する約束が, 契約に含まれる他の約束と区 分して識別できること。 すなわち,当該給付を顧客に移転する 約束が契約の観点において別個のものとなること。
♪ 別個に識別可能
〈2〉契約の結合による履行義務の識別
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 複数の契約を組み合わせて単一の履行義務となる場合には,複
①
数契約を
②
して,1 つの
とみなす履行義務の識別をする
....
ことが原則となる。原則での識別は, (a) 所定の要件のいずれかに
該当する場合である。
....
ただし,代替的な取扱いとして,(b) 2つの要件をいずれも満た
③
す場合には, 個々の 毎に識別することも容認される 。」
問2 下線( a)の「所定の要件」を3つ示しなさい。
問3 下線( b) の「 2 つの要件」を示しなさい。
問1
① 結 合 ② 認識単位 ③ 契 約
問2
① 複数の契約が同一の商業的目的を有すること。
② 契約における対価の額が ,他の契約 により影響を受けること。
③ 複数の契約が単一の履行義務と判断されること。
問3
① 顧 客と の個 々の 契約 が当 事者間 で合 意さ れた 取引 の実 態
を反映する実質的な取引の単位であること。
② 顧客との個々の契約における給付の金額が合理的に定めら れていることにより, 当該金額が独立販売価格と著しく異な らないこと。
3 取引価格の算定と履行義務への配分(ステップⅢ ・ Ⅳ)
(1)取引価格の算定とその配分の概要
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
①
「 収益の額は, xx価値ではなく, に基づいて測定する。
②
①
とは,給付の顧客への移転と に企業が権利を得ると見
③
込む の 額を いう(8 ,4 7) 。ただ し,企業 が顧客 から受け 取 る
金 額 であ っ ても , ( a) 第 三者の ために回 収する 部分は, 収益 として
⑥
⑤
④
認識しない( 8,47 )。
顧客により約束された対価の
, 及び
は,取引
価格の見積りに影響を与える。取引価 格の算定時には,(b) 考慮す
べき要素があるのである(48) 。
取引価格を算定する際には ,給付が契約 に従って顧客に移転され,契約の取消, 更新又は変更はないものと仮定する( 49)。
⑦
取引価格は ,識 別し た を 単 位 と し , そ こ に x x を 得 る と
⑦
見 込 む 対 価の額を描写するように配分する(66)。 配分時点又は 事後 的 に 対 価 が 変 動 す る 場 合 に お い て も , 配分 の単位となる
には,影響させない 。」
問2 下線( a)を消費税等を例にとって,説明しなさい。
問3 下線( b) の「考慮すべき要素」を4 つ 示しなさい。
問1
① 取 引 価 格 ② 交 換 ③ 対 価 ④ 性 質
⑤ 時 期 ⑥ 金 額 ⑦ 履行義務
問2
課 税 取 引 に か か る 消 費 税 等 は,企 業が 国等 とい う三者に支
払うために顧客から預かった金額に該当するから,取引価格に含 めず,収益として認識しない。
♪ 顧 客 か ら 預 か っ た 仮 受 消 費 税 等 と 支 払 先 へ 預 け た 仮 払 消 費 税等との差額を納付(借受けより仮払いの方が多い場合は,還付)
す る こ と に な る 。 つ x x , 消 費 税 等 は , 税 抜 処 理 し な け れ ば な
ら な い 。 酒 税 , た ば こ 税 , 発 揮 湯 税 等 の 間 接 税 も 消 費 税 等 と 同様に取引価格に含めてはならない。 Se e.適用指針[設例 2 7 ]
問3
...
♪ 次 の 要 素 は す べ て 考 慮 し , ( ) 内 は 参 考 と し て の 記 載 で あ る 。
ⅰ 変動対価( 第 47 項から第 52 項)
ⅱ 契約における重要な金融要素(第 53 項から第 55 項)
ⅲ 現金以外の対価(第 56 項から第 59 項)
ⅳ 顧客に支払われる対価(第 60 項及び第 61 項)
(2)取引価格の算定時に考慮すべき要素(ステップⅢ )
〈1〉変動対価と返品権付きの販売・その他
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
の 対 価 額 を 見 積 っ て ,
を 算 定 す る
①
「 変 動 対 価 と は , 顧 客 と 約 束 し た 対 価 の う ち , 変 動 す る 可 能 性の ある部分 をいう 。変 動対価を 含む取 引に おいては , ( a) 変動部分
( 50 ) 。 見 積 り 方 法 に は , ( b-1 ) 最 頻値によ る 方法 と ( b-2 ) 期待値 によ る方法 とが あり ,い ずれ か 対 価 の 額 を よ り 適 切 に 予 測 で き る 方 法 を 選 択 す る ( 51 ) 。 見 積 方
②
法は,
して適用する( 51,52 )。
給 付 を 販 売 ( 移 転 ) す る に 際 し て , 給 付 を 返 品 し て , 対 価 の 一 部 又 は 全 部 の 返 金 を 受 け る x x を 顧 客 に 付 与 す る 場 合 が あ る 。
こ れを返品 権付き 販売 といい, この販 売に よる受取 対価 は, ( c) 変 動 対 価 の 代 表 例 の 1 つ で あ る 。 返 品 等 の 見 積 額 は , 企 業 が x x を
③
得る と見 込ま ない 額で あ り , と い う 科 目 で 処 理 する ( 5 3 ) 。
③
受 取 対 価 か ら を 控 除 し た 部 分 は , 著 し い 減 額 が 発 生 し な い
④
可 能 性 が 高 け れ ば ,
と し て 認 識 す る 。
③
に 対 応 す る 給
⑤
付 の 返 品 額 は , 顧 客 か ら 給 付 を 回 収 す る x x で あ り 原 価 で
⑤
と い う 科 目 で 処 理 す る 。 顧 客 へ 提 供 し た 給 付 の 原 価 か ら を
⑥
控除した部分を として認識 する( 指針 85 )。
⑦
見 積 っ た 取 引 価 格 又 は 返 金 見 込 額 は , 各 決 算 期 に を 行 う
( 53,55 ) 。 こ の 結 果 , 見 積 り が 変 更 と な っ た と き は , 会 計 上 の 見 積
りの変更に該当し,変更以後の期 間で処理す る 。」
問2 下線 ( a) の見積り時に不確実性のあ った変動対価が事後的に
解 消 さ れ た 。 そ の 場 合 ,さい。
①
に 影 響 を 取 込 む 対 価 額 を 示 し な
問3 下線( b- ) の各方法を説 明しなさい。
問4 下線 ( c) に 関 連して ,「 返品 権x xx 販 売 」 以 外 の 変 動対価 の具体例を示しなさい。
問5 A社は ,〈条件 〉に基づき製品Xを複数の顧客へ 100 個販売 し , 現 金 を 受 け 取 っ た 。 販 売 時 の 仕 訳 を 売 上 ・ 原 価 対 立 法 に より行いなさい。 金額単位は, 省 略している 。
〈条件〉
① 製品Xの販売単価は, @100 で, その原価は, @ 60 である。
② 取引慣行では,顧客が未使 用の製品X を 30 日以内に返品す る場合,全額返金に応じるこ とにしてい る。
③ 見 積 っ た 返 品 数 は , 3 個 と 適 切 に 予 測 で き , 返 品 さ れ た 製品Xは,原価以上の価格で再 販売できる と予想した。
④ 製品Xの回収コストには重 要性がない 。
( 指針[設例 11 ]より)
問6 A社 (( 12 月 決 算 ))は ,〈条件 〉に 基 づき顧客B社と製品 Xの希 望販売価格 1個当た り 1 0 0 で掛け 売りする 契約を X 1/1/ 1に締結した。契約によりB社の製品Xの購入数量が X 1 / 1 2 / 3 1 までに 1,000 個を超える場合は,1個当たりの価格を 遡及的に 9 0に減額される。 A社の次の日に おける仕訳 を行いなさい。
金額単位は, 省略している 。(指針[ 設例 13 ]より)
ⅰ 第1四半期( X 1/3/31 決算 )
ⅱ 第2四半期( X 1/6/30 決算 )
〈 条件〉
① 第1四半期にA社は 75 個をB 社 に販売した 。 A社の見込み では ,X1/ 12/3 1 までのB社の購入個数は 1 , 000 個を超えない。 A 社 は , 変 動 対 価 の 額 に 関 す る 不 確 実 性 が 事 後 的 に 解 消 さ れ
る 時 点 ま で に 計 上 さ れ た 収 益 の 著 し い 減 額 が 発 生 し な い 可 能性が高いと判断した。
② X1/5 に B 社 は 他 企 業 を 買 収 し , 第2四半期に, A社は追 加的に 500 個 をB社に販売した。A社は, X 1 /12/31 までのB社 の購入個数を見直した結果, 1,000 個を超える見込みである。
問1
① 取引価格 ② 首尾一貫 ③ 返金負 債
④ 収 益 ⑤ 返品資産 ⑥ 売上原価 ⑦ 見直し
問2
不 確 実 性 が 解 消 さ れ る 時 点 ま で に 計 上 さ れ た 収 益 の 取 引 価
問3
格 に は , 著 し い 減 額 が 発 生 し な い 可 能 性 が 高 い 対 価 額 を 含 め て処理する( 54 )。
( b-1 ) 最頻値に よる方法 … 発生しう ると考えられる 対価の額 に
おける最も可能性の高い単一の金額のことをいう。
(b-2) 期待値に よる方法 … 発生しう る と 考えられる 対価の額を 確率で加重平均した金額のことをいう。
問4
値 引 き , リ ベ ー ト , 返 金 , イ ン セ ン テ ィ ブ , 業 績 に 基 づ く
割増金,ペナルティー(指針 23)
問5
♪ 受取対価と提供給付とは,個別対応している。
交換
受取対価の処理 提供給付の処理(原価)
対価変動 (現 金) 10,000 | 返 金負債 30 0 |
売上高 ( 収益) 9,70 0 |
返品資産 180 | 提供給付 ( 棚卸資産) 6,00 0 |
売上原価 5,820 |
∴ 仕訳 | 現金預金 | 10, 000 | 売 上 高 | 9,700 |
返金負債 | 300 | |||
売上原価 | 5,82 0 | 棚卸資産 | 6 ,000 | |
返品資産 | 180 | ( 製品) |
問6
第1四半期 第2 四半期
△ 750 | @10 | |||||
@ 90 | (値引) | |||||
7 ,500 (@100 × 75 個) | 4 5,000 (@90 × 500 個) |
@ 100 @ 100 75 個
@ 90
0 75 個 0 50 0 個
∴仕訳:
ⅰ | 第1四半期 | 売 掛 金 | 7,500 | ∥ | 売 上 高 | 7, 500 |
ⅱ | 第2四半期 | 売 掛 金 | 4 4,250 | ∥ | 売 上 高 | 44,25 0 |
〈2〉重要な金融要素
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 ( a) 顧 客 と の 契 約 に 重 要 な x x 要 素 が 含 ま れ る と き は , ( b) 原
①
則 と し て , 対 価 額 か ら 相 当 分 を 控 除 し た 額 で 収 益 を 計 上 す
②
る 。 取 引 価 格 は , 給 付 の 移 転 状 況 に 応 じ て金額となるのである( 57 ,指針 29 ) 。」
問2 下線( a) について,次の設問 に答えなさい。
ⅰ 下線の例を示しなさい。
ⅱ 売上収益額の算定方法を説 明しなさい 。
価 格 を 反 映 す る
ⅲ 割引率の見直しは行うのか 。
問3 下線( b )の例外となる処理を説明しなさい。
問4 X1 / 03 / 3 1 に 3 37,0 80 円で割賦販 売し,代金 は,契約日を含む3 回年賦で受け取ることにし た。割引率 は, 6.0 %である。
次の日の仕訳を行いなさい。 金額単位は , 省略している。ア X1/ 03/31 イ X2/3 /31 ウ X 3 /3/31
問1
① 金 利 ② 現金販売
問2
ⅰ 引 き 渡 し か ら 対 価 の 全 額 回 収 ま で の 期 間 が 1 年 を 超 え る
割賦販売で,金利相当額に 重要性があ る場合
ⅱ 入 金 時 期 毎 の 対 価 額 を 給 付 移 転 日 の 現 金 販 売 価 格 と 等 しくなるような割引率で割 り引いた価値の合計額 ( 指 針 2 9 )
♪ 割引現在価値=収益額 = 対価額- 金利相当額
ⅲ 行わない。 ♪ 取引x x後は, 見 直さない(指針 29 )。
問3
給 付の移 転 時 点 か ら 対価回 収時点 ま で の 期間が 1年以 内で
あれば,金利分を調整しないこ とができる (58)。
問4
仕訳:
ア | X 1/03/31 | 現金預金 | 112,36 0 | 売 上 高 | 31 8,360 |
売 掛 金 | 206,00 0 | ||||
イ | X 2/03/31 | 現金預金 | 112,36 0 | 売 掛 金 | 1 00,000 |
受取利息 | 12,3 60 | ||||
ウ | X 3/03/31 | 現金預金 | 112,36 0 | 売 掛 金 | 1 06,000 |
受取利息 | 6,36 0 |
♪ 計算過程 | X1/ 03/31 | X2/3/31 | X3/3/ 31 | 合 | 計 | 備 考 | ||
金利相当額 | 0 | 6,360 | 12,3 60 | 18,72 0 | 注 | 3 | ||
売 | 上 | 高 | 11 2,360 | 106,000 | 100,0 00 | 3 18,36 0 | 注 | 1 |
入金合計 | 11 2,360 | 112,360 | 112,3 60 | 3 37,08 0 | ||||
割 | 引 | 率 | 1.0 | 1. 06 | 1 .123 6 | - | 注 | 2 |
受取利息額 | 0 | 12,360 | 6,36 0 | 18,72 0 | 注 | 3 |
注 1 ・売上 高=(各時点の)入金合計÷割引率 2・ X3/3/31 の割引率= 1.06 × 1.06 = 1.1236
3 ・ 売掛金 回収 額は ,入 金額 から 受取 利 息 額 を 控 除 し た額に な る 。 現 金 回 収 時 毎 の 現 在 価 値 計 算 に お け る 金 利 相 当 額と 受 取 利 息 額 と は , 認 識 時 点 が 同 じ で は な い 。 各 期 の 受取利息及び売掛金回収額 は,次の通 りである。
X 2/3/31 :受取利息 206, 000 × 6 % = 12 ,360
売掛金回収額 112 ,360 - 12,3 60 = 1 00,00 0
X 3/3/31 :受取利息 106, 000 × 6 % = 6, 360
売掛金回収額 112 ,360 - 6,36 0 = 106 ,000
〈3〉現金以外の対価
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 受 取 対 価 が 現 金 以 外 の 場 合 ,
②
①
対 価 の
を 合 理 的 に
見積 って ,取 引価 格と す る ( 5 9 ) 。 合理 的な 見積 りができな い 場 合
に は , 企 業 が 移 転 す る 給 付 の
③
を 基 礎 と し て
②
を 算 定 す
る ( 6 0 )。 現金以外の対価 が変動し ,それが ( a ) 株価の変 動等,対価
⑤
④
の によ るもの だけでないと きは, ( b ) 変動対価の 額に
があ る場 合に 該当 する ( 6 1 ) 。 企業 が顧 客か ら給 付の提供を 受 け て
給 付 を 移 転 す る と き で , 企 業 が 顧 客 と の 契 約 に お け る x x を 履 行
⑥
す る に つ れ て 時 価 が 変 動 す る 場 合 に は , の 対 価 に 該 当 す る
ものと判定される( 62) 。」
問2 下線( a) の具体例を示しなさい。
問3 下線( b) に該当する場合 ,取引価格の算 定 方法を示し なさい。
問1
① 受 取 ② 時 価 ③ 独 立販売価格
④ 種 類 ⑤ 不確実性 ⑥ 現金 以外
問2
企 業 が 顧 客 と の 契 約 に お け る x x を 履 行 す る に つ れ て 時 価
が変動する場合
問3
不 確 実 性 が 解 消 さ れ る 時 点 ま で に 計 上 さ れ た 収 益 の 取 引 価
格 に は , 著 し い 減 額 が 発 生 し な い 可 能 性 が 高 い 対 価 額 を 含 め て処理する(54 )。 See . 本節3 (2 )〈1〉問2
〈4〉顧客に支払われる対価
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 (a) 顧 客に支払 われる対価 には,企 業が顧客に対し て,支払 う
②
①
又 は 支 払 う と 見 込 ま れ る の 額 や 顧 客 が 企 業 に 対 す る
額に充当できるものの額が含まれる。この支 払対価は, ( b ) 顧客か
ら の 受 領 す る 別 個 の 給 付 と 交 換 に 支 払 わ れ る も の で あ る 場 合 を 除
③
き , (c)収益 の から減額 する。支 払対価に変動対 価が含ま れ
ているときは, ( d ) 変動対価の見積りを必要とする場合と同様の方
法により取引価格を見積る(63) 。」
問2 下線( a) の「顧客に支払われる対価」の具体例を示しなさい。
問3 下線(b) の「顧客から 受領する別 個の給付 」の処理を示しな さい。
問4 下線(c )の「 減額」 をどの時点で行うかを示しなさい。
問5 下線( d ) の「 同様の方法」 をその名称で2 つ示しなさい。
問6 次の〈条件〉 に従って, A社の次の日の仕訳を行いなさい。
ⅰ 取引開始日( X1/5/ 1) ⅱ 販売日( X 1 /6/1)
〈 条件〉
消 費 者 向け製 品X を製造 してい るA 社は, 大手 の小 売チ ェー ンであるB社(顧客)に製品Xを取引開始日である X 1 / 5 / 1 から 1 年 間販売する契約を締結した。契約では,B社が 1 年間に少なくとも 1 5,00 0 分の製品X を 掛で購入す ること及びA社 が契約における取引開始日に B 社に対し て返金が不要な 1 , 500の現金 支払を 行う ことが定 めら れてい る。この 1 , 5 0 0 の支 払は , B 社 が A 社 の 製 品 X を 収 容 す る た め に 棚 に 変 更 を 加 え るこ と に つ い て の 補 償 で あ る が , A 社 が B 社 の 棚 へ の 何 ら か の
権利に対する支配を獲得する ものではな い。
A社は, X1/6 /1 に製品X を 2,00 0 販売した。
金額単位は,省略している 。(指針 [設例 1 4 ]より)
問1
① 現 金 ② 債 務 ③ 取引価格
問2
企 業 が 販 売 業 者 に 商 品 を 販 売 し , そ の 後 に そ の 業 者 の 顧 客
に企業が対価を支払う場合(145 )
問3
給付を仕入先からの購入と同様の方法で処理する。 ただし,
顧 客 に 支 払 わ れ る 対 価 が 顧 客 か ら 受 領 す る 別 個 の 給 付 の 時 価 を超 え る と き に は , 当 該 超 過 額 を 取 引 価 格 か ら 減 額 す る 。 な お ,顧 客 か ら 受 領 す る 給 付 の 時 価 を 合 理 的 に 見 積 る こ と が で き な い場 合 に は , 顧 客 に 支 払 わ れ る 対 価 の 全 額 を 取 引 価 格 か ら 減 額 する( 指針 30) 。
問4
次の 2 つのいずれか遅い方の状況が生じた 時点又は期間
ⅰ 関連する給付の移転に対す る収益を認 識する時
ⅱ 企業が対価を支払うか又は 支払を約束 する時
問5 ① | 最頻値による方法 | ② | 期待値による方法 | |
問6 | ||||
ⅰ | X 1 /5/1 前 払 金 | 1,500 | ∥ 現金預金 | 1,500 |
ⅱ | X1/6/1 売 掛 金 | 2,00 0 | 前 払 金 | 200 |
売 上 高 | 1,800 |
♪ 1 ,500 の支払いは, 取引価格か ら減額する。A 社は,製品 XをB社に販売するにつれ て,販売額 が 1 5,00 0 に達するま で製品Xについての取引価 格を 1 0 %減額する。
(3)履行義務への取引価格の配分(ステップⅣ)
〈1〉独立販売価格に基づく配分
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 それぞれの履行義務に対する取引価格の配分は,給付の顧客へ
①
の移転と
②
に企業が権利を得ると見込む
の額を描写する
③
ように行う( 65) 。配分は,
④
の配分及び
の配分を除き,
⑤
契約における取引開始日の の比率に基づいて行う(66 ,6 8 ) 。
その価格を直接観察できない場合には,合理的に入手できるすべて
の情報を考慮して,その価格を見積る。類似の状況においては,見
⑥
積方法を して適用する(69 ) 。」
⑤
問2 下線の場合, を見積る方法3つを説明しなさい。
問1
① 交 換 ② 対 価 ③ 値引き
④ 変動対価 ⑤ 独立販売価格 ⑥ 首尾一貫
問2
① 調整した市場価格アプローチ…給付が販売される市場を評
価して, 顧客が支払うと見込まれる価格を見積る方法
② 予想コストに利益相当額を加算するアプローチ… 履行義務 を充足するために発生するコストを見積り,当該給付の適切 な利益相当額を加算する方法
③ 残余アプローチ…取引価格の総額から他の給付について観 察可能 な独立販 売価格の 合計額 を控除し て見積る 方法( 指針 31 )
〈2〉値引きの配分
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「( a ) 値引 き は,( b ) 原則 として , 契約にお けるす べての履 行 義
務に対して に配分する(70 ) 。」
問2 下線( a )の「 値引き」となる場合を説明しなさい。
問3 下線( b )の原則のように配分しない場合を説明しなさい。
問4 次の各〈 ケース〉 毎に製品毎の取引価格を示しなさい。金額単位 は,省略し ている 。( 指針[ 設例 15 - ] より )
〈ケース1 〉
( 1 ) A社は, 通常, 製品X, Y及びZを独立して販売しており ,次の独立販売価格を設定して いる。
製 品 独立販売価格
製品X 40
製品Y 55
製品Z 45
合 計 140
( 2 ) また, A社は,通常,製品YとZを組み合わせ て 60 で販売 している。
( 3 ) A社は,製品X,Y 及びZを 10 0 で販売する契約をB社(顧 客 ) と 締 結 し た 。 A 社 は , そ れ ぞ れ の 製 品 に 係 る 履 x x 務 を異なる時点で充足する。
〈ケース2 〉
( 1 ) 〈 ケー ス 1 〉 の条件に 加え て,契約に は製品W の販売も含 まれており, その取引価格は 製 品X, 製品Y, 製品 Z及び製 品W 合計で 1 3 0 である。
( 2 ) A社は,製品Wを 15 から 45 の価格帯で販売している。
〈ケース3 〉
上記 〈 ケース 2〉 の 条件に 変 え て,各製品の取引価格合計 は, 130 ではなく 1 0 5 とする。その他の条件は ,〈ケー ス2 〉と同様である。
問1
比例的
問2
契 約 に お け る 約 束 し た 給 付 の 独 立 販 売 価 格 の 合 計 額 が 当 該
契約の取引価格を超える場合
問3
( ♪ 解答を具体的にイメージして理解しておくこと 。)
...
次 の ⅰ か ら ⅲ の 要 件 の す べ て を 満 た す 場 合 に は , 契 約 に お け
る履 行義務 のう ち1つ又 は複数( ただし ,すべて ではない 。) に値引きを配分する。
ⅰ 契約における別個の給付あるいは給付の束の それぞれを ,通常,単独で販売している こと
ⅱ 当該別個の給付のうちの一部を束にしたもの についても ,通 常 , そ れ ぞ れ の 束 に 含 ま れ る 給 付 の 独 立 販 売 価 格 か ら 値引きして販売していること
ⅲ ⅱ に お け る 給 付 の 束 の そ れ ぞ れ に 対 す る 値 引 き が , 当 該契 約 の 値 引 き と ほ ぼ 同 額 で あ り , そ れ ぞ れ の 束 に 含 ま れ る給 付 を 評 価 す る こ と に よ り , 当 該 契 約 の 値 引 き 全 体 が ど の履 x x 務 に 対 す る も の か に つ い て 観 察 可 能 な 証 拠 が あ る こと( 71)
問4
取 引 価 格 | ||||
区 分 | 独販価格 | 値引き | 履行義務別 | 製品別 |
製品X | 4 0 | - | 40 | 40 |
製品Y | 55 | △ 40 | 60 | 3 3 |
製品Z | 4 5 | 27 | ||
計 | 1 40 | △ 40 | 100 | 1 00 |
備 考 | 問3 | 基準 6 6 |
♪ 計算過程と考え方
〈ケース1 〉
〈ケース2 〉
製 品 W の 独 立 販 売 価 格 は , 大 き く 変 動 す る た め , 残 余 ア プローチにより製品W の取引価格を算定する。
製品Wの取引価格 30 =
取引価格合計 1 30 - 製品X から製品Zの価格合計 100
〈ケース3 〉
区 分 | 製品X | 製品Y | 製品Z | 製品W | 計 |
ケース1 | 40 | 3 3 | 27 | - | 100 |
ケース2 | 40 | 3 3 | 27 | 30 | 130 |
ケース3 | ? | ? | ? | ? | 105 |
製 品 W の 取 引 価 格 を 残 余 ア プ ロ ー チ に よ り 算 定 す る と ,そ の価格は 5 と な る。こ の価 格は, 製品Wの 独立 販売価 格と 近 似 し て い な い の で , 対 価 の 額 を x x に 描 写 す る こ と にな ら な い 。 そ こ で , 各 製 品 の 取 引 価 格 は , x x に 戻 っ て ,各製品の独立販売価格の比 率に基づき 算定することになる。
∴ 答
注・ケース3の解答につ いては, 指 針にも記載がない。
( 4 ) 契約変更等が履行義務へ及ぼす影響と取引価格の配分
〈1 〉契約変更と履行義務・ 取 引価格への 影響問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
②
①
「 契 約 変 更 と は , す で に 締 結 済 み の 契 約 の 又 は あ
①
x x は そ の 両 方 が 変 わ る こ と で あ る 。 契 約 の の 変 更 は , 履
行 x x に 影 響 す る と み な せ ば , 契 約 の 変 更 は , 一 方 で 履 x x 務 又は取 引価 格あ xx はそ の 両 方 に 影 響し, 他方 で契 約 変 更 時 ま で の給付移転( 履行 義務充足) 状況に応じて , 会計処理にも影響する 。
履行義務,取引価格への影響は,次のように区別できる。 Aⅰ 履行義務のみに直接に影響する場合
Aⅱ 履行義務への直接の影響が取引価格にも及ぶ場合 Aⅲ 履行義務と取引価格の双方に直接に影響する場合
これらのうち, A ⅰ は,変更後の契約内容となる経済的実質の属 性に応じて履行義務を見直せばよ い。 契約変更に伴う 会計処理は,
③
変更 時 に は で ある 。 A ⅱ は,変更 された履行義務 に対応す る
価 格 の 変 更 を し て い な い が , い ず れ 取 引 価 格 に も 影 響 す る こ と になる場合を想定している( 122 )。
他 方 , 契 約 変 更 時 ま で の 給 付 移 転 ( 履 x x 務 充 足 ) の 進 行 状 況
に よ っ て も 会 計 処 理 は 影 響 を 受 け る 。 給 付 移 転 ( 履 x x 務 充 足 )の進行状況は,次のように区別で きる。
Bⅰ 契 約変更時までに給付移転をまったく行っていない場合
B ⅱ 契 約 変 更 時 に は,一部 の給付移 転が終了してお り,未移 転の給 付が残っている場合
Bⅲ 契 約変更時には, すべての給付移転が終了している場合
これらのうち, B ⅰ は,変更後の契約内容に応じて,履行義務の 識別,取引価格の算定・配分を行 えばよい。 B ⅲは,契約変更に伴 う 履 x x 務 の 拡 x x 分 及 び 取 引 価 格 の 増 額 部 分 を 独 立 し た 契 約 とみなして処理すればよい。
以 上 か ら 契 約 変 更 に 伴 っ て , 会 計 処 理 が 問 題 と な る A - と B - と の組み合わせは,次の2つとなる。
① Aⅱ - Bⅱ ② Aⅲ - B ⅱ
①( Aⅱ - Bⅱ ) これは,次の3つのケースに区別 される。
④
ケ ー ス 1
移 転 済 給 付 と 未 移 転 の 給 付 と が の も の で あ る
場 合 , 契 約 変 更 を 既 存 の 契 約 を 解 約 し て 新 し い 契 約 を 締 結 し た も
のと仮定して処理する。
ケ ー ス 2
移 転 済 給 付 と 未 移 転 の 給 付 と が 単 一 の 履 x x 務 に 属
⑤
す る 場 合 , 契 約 変 更 を 既 存 の 契 約 の で あ る と 仮 定 し , 履 x
x 務 の 充 足 に 係 る x x 度 及 び 取 引 価 格 の 算 定 ・ 配 分 を 見 直 す 。 この 場 合 , 期 末 ま で に 充 足 し た 履 x x 務 へ x x 度 に 基 づ い て 配 分 した 取 引 価 格 ( 累 積 的 影 響 額 ) か ら 経 過 済 期 間 に 配 分 し た 取 引 価 格を控除した額を当期以降の損益と して処理す る( 31(2), 12 5)。
ケ ー ス 3
上 記 ケ ー ス の 1 と 2 の 両 方 を 含 む 場 合 , 契 約 変 更 が
変 更 後 の 契 約 に お け る 未 充 足 の 履 x x 務 と 取 引 価 格 に 及 ぼ す 影 響とを, それぞれケース1又はケー ス2の方法 により処理する。
②( A ⅲ- B ⅱ) これ は, 次の ⅰ及びⅱ の 要 件 を い ず れ も満た
⑥
す場合には,契約変更を し た契約とし て処理する。
⑦
④
ⅰ の給付の追加により 契約の範囲 が されること
ⅱ 変 更され る契 約の 価格 が, 追加 的に 約 束 し た 給 付 に 対する
独 立 販 売 価 格 に 特定の契 約の状況 に基づく適切な 調整を加 え
た金 額分だけ されること
x 約変更 が上 記の 要件を 満た さな い場 合には ,契 約変 更日 にお い て 未 だ 移 転 し て い な い 給 付 に つ い て , そ れ ぞ れ 上 記 ① に お け る
....
3つのケースのいずれかの方法により処理する( 31, 125) 。
⑨
①
契 約 の と な る 契 約 変 更 の 場 合 に は , 認 識 単 位 と な
る履行義務の識別に影響しない 。」
問2 下 線 の 「 仮 定 」 に 基 づ い て , 残 存 履 x x 務 に 配 分 す べ き 対価額の内容を2 つに分けて示し なさい。
問1 | ① | 範 | 囲 | ② | 価 | 格 | ③ | 不 | 要 | ④ | 別 | 個 | |
⑤ ⑨ | 一縮 | 部小 | ⑥ | 独 | 立 | ⑦ | 拡 | 大 | 増 | 額 |
問2
次の①と② の合計額となる 。
① 顧客が 約束 した対価 (顧客か ら既に 受け取っ た額を含 む 。)の う ち , 取 引 価 格 の 見 積 り に 含 ま れ て い る が 収 益 と し て 認 識されていない額
② 契約 変更の一部として約束された対価
〈2 〉事後的な履行義務・取引 価格の変動
問 次の文章の空欄に適切な用語又は文章を示しなさい。
①
「 契 約 に お け る 日 後 に お い て も , さ ま ざ ま な 理 由 で 取 引
②
価 格 が 変 動 す る 。 こ れ に は , な 事 象 が 確 定 す る こ と や 他 の
状況 の変 化により, 対価の額 を 変 動させるも のが含ま れる ( 1 4 9 )。係 る 事 後 的 な 対 価 額 の 変 動 に は , そ れ が 認 識 ・ 配 分 単 位 と し て の履行義務に,影響しない場合と影 響する場合 とがある。
履 x x 務 に 影 響 し な い 場 合 , 事 後 的 な 独 立 販 売 価 格 の 変 動 を 考
③
慮 す る こ と な く , 対 価 の 変 動 額 は , 取 引 x x 日 と 同 じ に よ
り 履 x x 務 に 配 分 す る 。 こ の 結 果 , 既 に 経 過 し た 期 間 に お い て 充足 し た 履 x x 務 に 遡 及 し て 配 分 す べ き 額 に つ い て は , そ の 対 価 が
④
期の収益として認識する( 74)。
⑤
事 後 的 な 対 価 額 の 変 動 が 履 x x 務 に 影 響 す る 場 合 は , 時
と 同 じ 判 断 要 素 に よ り 履 x x 務 を 識 別 す る 。 そ の 上 で , 変 動 額 を当該履行義務へ配分する 。」
答
① 取引開始 ② 不確実 ③ 基 礎
④ 変動した ⑤ 契約変更
〈3 〉契約変更後の取引価格の 変動(指針 [ 設例 3 ]より)
問 A 社は, X 1 年 10 月 1 日に顧客B 社 と製品を掛にて販売する契 約を締 結した 。〈 条件〉に基づ きA社( 3 月 決 算)の次 の日の仕 訳を行いなさい。金額単位は, 省略してい る。
ⅰ | X 1/10/1 | ⅱ | X1/1 1/30 | ⅲ | X2/3/ 31 |
ⅳ | X 2/4/30 | ⅴ | X2/6 /30 |
〈条件〉
① X1 /10/1 締結の契約:
ⅰ 製品XをX 1/10 /1 に, 製品Y をX2/4 /30 に 引き渡す。2つ の製品の独立販売価格は, 同額である 。
ⅱ 契約の価格は, 1,00 0 の固定対価に加えて, 200 増額され る 可 能 性 が あ る 変 動 対 価 か ら な る 。 変 動 対 価 は , 減 額 が 発生しない可能性が高いと判 断される。
② X 1 /11/30 契約の範囲を変更:
製品ZをX2/6 /30 に引き渡すことを追加し,固定価格を 3 00増 額 し た ( 製 品 3 つ の固定価 格 合 計 は , 1 , 3 0 0 とな る 。)。 製品Zの独立販売価格は 30 0 ではなく , 他の製品と同額である。
③ X 2 / 3 / 3 1 (決 算日)に変 動対価の 額 の 見積りを見 直した。そ の結果,変動対価の額は, 2 00 から 240 に変更になった。製品 X と そ の 他 2 つ の 製 品 と は 別 個 の も の で あ る が , 変 動 対 価 の額は,当初契約の範囲も考慮 して決めら れている。
答
♪ 履行義務の識別とそこへの取引価格の配分 状況
変 動対価 と固定対 価とを 分け て説明す る。契 約変 更後の変動対価 増額分 40 は,先ず取引開始日と同じ基礎で配分するので,その額は Xへ 20 , Yへ 20 となる。 次にYへの配分額 20 にY の変更前の変動対価配分額 100 を加えた 120 をY とZ へ均等に配分する。 X とY ・
Zと は,別 個のもの であり ,固 定対価は ,新し い契 約と仮定して配 分 する か らであ る。 変更 前の Yへ の固 定対価配分額 50 0 とY ・ Z の固定対価増額分 300 の合計 800 をY とZ へ均等に配分することにな るのである。 収益は, 給付引渡し時を基礎として認識する。
X1/ 10/1 X1 /11/30
製品X
変 20
固
0
見 直 し た 期
固 50 0
変 10 0
で処理
製品Y | 変 | 10 0 | 変 | 60 | |
固 | 50 0 | 固 | 400 |
均等に配分
固 400
変 60
製品Z
∴仕訳:
ⅰ X 1/10/1 売 掛 金 60 0 売 上 高 600
ⅱ | X 1/11/30 | (仕訳なし) | |||||
ⅲ | X 2/3/31 | 売 掛 金 | 2 0 | 売 | 上 | 高 | 20 |
ⅳ | X 2/4/30 | 売 掛 金 | 46 0 | 売 | 上 | 高 | 460 |
ⅴ | X 2/6/30 | 売 掛 金 | 46 0 | 売 | 上 | 高 | 460 |
4 履行義務の充足による収益の認識(ステップⅤ )
(1)売上高・ 営業収益の認識と顧客の会計処理 問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 企 業 の 履 x x 務 とは ,顧 客と の契 約に おい て,給付を顧客に
②
①
することをいう(7)。この概念は,履行義務という の
③
流れに属する概念を の流れの側面から定義したものである。
履行義務は,給付に対する
⑤
④
を企業が
し,同時に顧客が
⑥
それを することでもある(35 ,132 )。
⑥
顧客は ,給付に対する支配 により給付が費消されるのなら,
⑦
と し , そ こ に (a) 将来の 便益があ るのな ら の増 加とす
る。 貸借対照表能力有無の判断に用いられる概念としての に
④
対する とは,その資産の使用を指図し,その資産から残りの
便益のほとんどすべてを享受する能力(他の企業から資産の使用を 指図し て資産 から便益 を享受す ること をを防げ る能力を 含む 。) であると定義される(37,1 33)。
企 業 は , 企 業 の 履 x x 務 の 充 足 状 況 に 応 じ て 収 益 を 認 識 す る 。 充 足状況は ,「充足するにつれて」と「充足 した時」とに類型化さ
⑨
れる。前者が となる収益の認識であるが,前者によることが
できない時には, 後者によって認識される。
なお, これまで企業会計原則により容認されてきた現金主義とい う(b) 伝統的な収益認識基準 の 1つである割賦基準は,収益認識基
準では認められなくなった。 割賦販売においても給付を企業外部へ
①
した時に収益が認識されることになるのである 。」
問2 下線( a )の「 将来の便益」を享受する例を3 つ示しなさい。
問3 下線( b )の「 伝統的な 収益認 識基準」 の発 生主義,実 現主 義
と 「 収 益 認 識 基 準 」 の 履 x x 務 の 充 足 と を 比 較 し て , 両 者 に 本質的な異同があるか否かの見解を述べなさい。
問1 | ① | 移 | 転 | ② | 貨 | 幣 | ③ | 給 | 付 | ④ | 支 | 配 | ||
⑤ ⑨ | 喪原 | 失則 | ⑥ | 獲 | 得 | ⑦ | 費 | 用 | 資 | 産 |
問2
( ♪ 次から3つを答えればよい 。 他からの 選択も可。)
( 1 ) 財 の製造又はサービスの提供のための資産の使用 ( 2 ) 他 の資産の価値を増大させるための資産の使用 ( 3 ) 負 債の決済又は費用の低減のための資産の使用 ( 4 ) 資 産の売却又は交換
( 5 ) 借 入金の担保とするための資産の差入れ
(6) 資 産の保有(133 )
問3
収益認 識基準を 伝統的 な収益認 識の基準 と対比 すれば, 顧客
への給付移転という履行義務を充足(給付を支配)するにつれて の認識は,伝統的な概念としての発生主義による認識であり,履
行義務を充足した時の認識は,伝統的な概念としての実現主義に よる認識であるといえる。 よって, 基準の収益認識に対する考え 方と伝統的なそれとには, 給付の移転状況をその経済的実質の属 性に応じて,xxに描写するために収益を認識しようとする点に おいて,本質的な差異はないのである。異なるのは論理構成につ いて ,xx 準では ,「履行 義務の充 足」とい う概念 を収益認 識の 統合概念としている点である 。また ,それらの位置づけについて,伝統的な収益認識では,実現主義が原則で発生主義はその例外で あったが,新基準では,その原則と例外とが逆になっている点で ある。
(2)一定の期間にわたり充足される履行義務と進捗度問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 収益は,原則として,履行義務を充足するにつれて認識する。 (a) 所定の要件 のいずれかを満 たす場合は,一定の期間にわたり履
行義務が充足され,その経済的実質の属性に応じて収益を認識する (38)。ただし,所 定の要件を満た し て い ても, 履行 義務を充 足し た時に収益を認識できる(b) 2 つの代替的な取扱いも認められる。
①
財務情報の を確保した上で, 一定期間にわたり収益を認識
できるのは,履行義務充足の程度をxxに描写するために必須のx x度によ って合理的に見 積 る ことができる場合であ る( 44 )。 進捗 度 の 見積 方 法に は , (c) アウト プット法 とイン プット法 とが ある。
これらの見積方法のうち,後者の代表的な方法として,原価比例法 がある。原価比例法の適用において, (d) 発生したコストが履行義
務の充足に係る進捗度に寄与又は比例しない場合,進捗度の見積り
を修正しなければならない(指針 22) 。
②
進捗度は,類似の履行義務及び状況に した方法を適用する
(42 ) 。 ( e ) 進捗度は,各 決算日に見直し ,進捗度 の 見 積りを変更
③
する場合は, 会計上の の変更として処理する(43) 。
④
進捗度を合理的に見積ることができなくて発生する費用を
することが見込まれる場合には,進捗度を合理的に見積ることがで
基準により処理する
⑤
きる時まで, (f) ( 45 ) 。」
問2 下線( a )の「 所定の要件」を3つ示しなさい。
問3 下線( b) の「2つの代替的な取扱い」を示しなさい。
問4 下線( c )について, 次のⅰとⅱ とを説明するとともに,それ ぞれで使用される指標の具体例を示しなさい。
ⅰ アウトプット法 ⅱ インプット法
問5 下線( d )の場合を次の2つに区別して,例示しなさい。
ⅰ 進捗度に寄与しない場合
ⅱ 進捗度に比例しない場合
⑤
問6 下線( e )の「見直し」の結果, 工事契約について,事後的な 状 況 の 変 化 に よ り そ の 工 事 の x x 度 を 合 理 的 に 見 積 も る こ と がで き な く な っ た 。 履 x x 務 を 充 足 す る 際 に 発 生 す る 費 用 は 回 収できると見込まれる。 この場合の処理を説明しなさい。
問7 下線( f ) の「
基準」に関して,次の設問に答えなさい。
ⅰ 次の命題の誤りを指摘しなさい。
⑤
「 基 準 は , 収 益 認 識 と し て , 現 金 主 義 に よ る こ と を
要請したものである 。」
⑤
ⅱ 基 準 に よ る 収 益 認 識 に お い て , 粗 利 益 は い く ら と 算
定されるか, を示しなさい。
問8 累 積 的 な 影 響 に 基 づ き 収 益 を x x す る 契 約 変 更 ( 指 針 [ 設例 4 ]より)に関 係して ,〈 条件〉に基づ きA社の① X 1 年末日と
② X 2 年第一四半期末の工事収益に係る仕訳を行いなさい 。金額単位は,省略している。
〈条件〉
① A 社は , B 社 よ り B社所有 の土地に商 業ビル建設工 事を X 年に 受 注 し た 。 そ の 後 , X 2 年 第 一 四 半 期 末 に 契 約 変 更により その範囲, 価 格が変更になった。 その状況は, 次の通りである 。
X 年 X 2 年 第一四半期x
x 定 対 価 1, 000,000 1 ,150,000
割増金(変動対価) 2 00,000 200,000
合 計 1,20 0,000 1,350 ,000
見積工事原価 | 700,000 | 820,000 |
見積工事利益 | 50 0,000 | 530 ,000 |
本 工 事 は , x x 期 間 に わ た り 充 足 さ れ る 単 一 の 履 x x 務 として処理する。進捗度は, 原 価比例法に より見積る。
② 割増金は ,建物 が 24 ヶ月以内に完成することが条件である。 本 工 事 は , 天 候 や 規 制上の承 認等の影響 を受けやすく , X 年 末日 に お い て , 変 動 対 価 の 額 に 関 す る 不 確 実 性 が 事 後 的 に 解 消さ れ る 時 点 ま で に , 計 上 さ れ た 収 益 の 著 し い 減 額 が 発 生 し ない 可 能 性 が 高 い と は 判断でき なかった。 X 年末日ま でに発生 した原価は 4 20,000 であっ た。
③ 契 約変更により割 増 金を受け 取る条 件と なる期間 が 6 ヶ 月延 長 さ れ , 契 約 変 更 日 に お い て , 残 り の 作 業 も 主 と し て 建 物内 部 に 係 る も の な の で , 変 動 対 価 の 額 に 関 す る 不 確 実 性 が 事後 的 に 解 消 さ れ る 時 点 ま で に , 計 上 さ れ た 収 益 の 著 し い 減 額が発生しない可能性が高い と判断された。 X 2 年 度の期首から 契約変更時までに原価は, 発 生していな い。
問9 進捗度の見積り(指針[設例 9 ] より) に関連して ,〈条件〉
に基づきA社のX 1 年 1 2 月 3 1 日の仕訳を行いなさい 。金額単 位は,省略している。
〈条件〉 A社( 1 2 月決算)は, B社の建物を改装して,新し いエレベ ーター を設 置する契 約を 5,000 の対価で 請け 負う工 事をB 社から受注した。
① 取引価格と予想原価
取引価格( 受注額) 5,000 予想原価( 未払い)
エレベーター 1 ,500
その他の原価 2 ,500 4 ,000
予想粗利益 1,000
② A社は,進捗度の見積りを 原価比例法 で行う。
③ 設 置 を 含 む 改 装 工 事 契 約 は , x x 期 間 に わ た り 充 足 さ れ る単 一 の 履 x x 務 で あ る と 判 断 し た 。 エ レ ベ ー タ ー の x x 原 価は , 予 想 原 価 に 対 し て 重 要 で あ る 。 し か し , x x 原 価 は , 履行 義務の 充足 に比例し ないと判 断し, エレベー ターの移 転(X 1 年 6 月に現地に搬送済み) に係る収益は, 調達原価 1 ,500 と同額であると認識する。
④ X 1 年 12 月 31 日までに発生したその他の原価 500
問1
① 信頼性 ② 首尾一貫 ③ 見積り
④ 回 収 ⑤ 原価回収
問2
ⅰ 履行義務の充足につれて,顧客が便益を享受すること。
ⅱ 履 x x 務 の 充 足 に つ れ て , 資 産 が 生 じ た り 資 産 価 値 が 増加し,それらにつれて顧客がその資産を支配すること。
ⅲ 資産を別の用途に転用できず,かつ履行義務の完了部分に ついては, 対価収受の強制力のある権利を有していること。
問3
ⅰ 工 事 契 約 及 び 受 注 制 作 の ソ フ ト ウ エ ア に つ い て は , 契 約
における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込ま れる時点までの期間がごく短い場合には,完全に履行義務を 充足した時点で収益を認識することができる。
ⅱ 船舶による運送サービスについては,一航海の船舶が発港 地を出発してから帰港地に到着するまでの期間が海運におけ る通常の期間である場合には, 複数の顧客の貨物を積載する 船舶の一航海を単一の履行義務としたうえで,当該期間にわ たり収益を認識することができる。
問4
ⅰ アウトプット法 … 現 在 ま で に 移 転 し た 給 付 の 顧 客 に と っ
て の 価 値 を 直 接 的 に 見 積 る も の で あ り , 現 在 ま で に 移 転 した 給 付 と 契 約 に お い て 約 束 し た 残 り の 給 付 と の 比 率 に 基 づき,収益を認識するもので ある。
ア ウ ト プ ッ ト 法 に 使 用 さ れ る 指 標 に は , 現 在 ま で に 履 行を 完 了 し た 部 分 の 調 査 , 達 成 し た 成 果 の 評 価 , 達 成 し た マ
イ ル ス ト ー ン , 経 過 期 間 , 生 産 単 位 数 , 引 渡 単 位 数 等 が ある( 指針 17)。
ⅱ イン プッ ト 法 … 履 x x 務 の 充 足 に 使 用 さ れ た イ ン プ ッ ト
が 契 約 に お け る 取 引 x x 日 か ら 履 x x 務 を 完 全 に 充 足 す るま で に 予 想 さ れ る イ ン プ ッ ト 合 計 に 占 め る 割 合 に 基 づ き ,収益を認識するものである 。
イ ン プ ッ ト 法 に 使 用 さ れ る 指 標 に は , 消 費 し た 資 源 , 発生 し た 労 働 時 間 , 発 生 し た コ ス ト , 経 過 期 間 , 機 械 使 用 時間等がある( 指針 20)。
♪ 企 業 の イ ン プ ッ ト が 履 行 期 間 を 通 じ て 均 等 に 費 消 さ れ る場合には,収益を定額 で認識する ことが適切である( 同 20 )。
問5
ⅰ 契 約 の 価 格 に 反 映 さ れ て い な い 著 し く 非 効 率 な 履 行 に 起
因して発生したコスト( 指針 22 ( 1 ))
ⅱ 金 額 的 重 要 性 の 高 い 部 品 を 購 入 し , そ れ を 仕 掛 中 の 給 付に組み込むことなく,在庫としている場合のコスト
問6
見直し時点から原価回収基準により処理する(1 54)。
問7
ⅰ 原 価 回 収 基 準 は , 測 定 基 準 の 一 つ で , 認 識 基 準としての
現 金 主 義 の 適 用 で は な い 。 原 価 回 収 基 準 の 適 用 に よ り 履 xx 務 の 充 足 が x x し て い る 事 実 を 反 映 さ せ て い る の で あ る (1 53)。
ⅱ 粗利益額は,常に0と算定される。
問8
∴仕訳
① 契約資産 6 00,000 工事収益 6 00,00 0
② 契約資産 91 ,200 工事収益 91 ,200
♪ 契 約 資産は ,企業が 給付と 交換 に受け取 る対価 に対 する企業の権利 を意味 し,契 約の支払 期日が 到来 した時点 で,工 事未 収金などの法的 な請求権を表す勘定科目に振り返られることになる。
① 契約時の見積工事原価 700, 000 ②変更時の見積工事原価 820 ,000
③ 契約時の取引価格 1,000 , 000 ④変更時の取引価格 1,350, 000
⑤X 1 / 末ま での発生工事原価 4 20 , 000 ⑥ X 2 / 第一四 半期 末までの発生 工事原価
420,000 ⑦ X1/末までの工事収益 600,000 = ×進捗度⑤/ ①
X 2 / 第一四半 期末までの工事収 益 691,200 = ④×進捗度⑥ /②←累積的影響額
④
③
②
①
⑥
⑨
∴ ⑨第一四半期の工事収益 91 ,200 = - ⑦金
額
↑
⑦
⑤
0 x 1 / 末 X 2 / 第一四半期末 →進捗度
問9
請 負 工 事 売 上 高 工事原価
エレヘ ゙ーター調達工事 1,500 1,50 0
改装・設置工 事 700 500
X1 /12/31(決算)
200
進捗度分子
500
収益
金
( 売上高合計 5, 000)
額
粗利益
1 ,000
↑
700
進捗度分母 3 , 500
500
その他の原価 2 ,500
0
エ レ ヘ ゙ ー タ ー x x 原 価 1,500
その他の原価に対応する
合 計 2,200 2,000
∴ 仕訳 | 契約資産 | 2,20 0 | 売 | 上 高 | 2,200 |
売上原価 | 2,00 0 | 未 | 払 金 | 2 ,000 |
→進捗度% 20 % 100 %
(3)一時点で充足される履行義務
問1 次の文章の空欄に適切な用語を示しなさい。
「 x x 期 間 に わ た り 充 足 さ れ る 履 x x 務 の 要 件 の い ず れ も 満 た
①
さ れ な い 場 合 に は , 履 x x 務 が 充 足 さ れ る で 収 益 を 認 識
する( 39 )。この場合の( a ) 具 体 的 な 指 標 は ,給付移転に伴う 経済 的 実 質 の 属 性 に 応 じ て x x と な る が , そ の 移 転 は , 最 終 的 に
②
に 確 定 す る 。 た だ し , こ の 確 定 時 以 外 の 時 点 で 収 益 認 識
が認められる( b) 代替的な取扱いも認められている 。」
②
問2 下線( a ) について, 示しなさい。
以 外の「具体的な指標」を3つ例
問3 下線( b) の「 代替的な取扱い」 を示しなさい。
問1
① 一時点 ② 検収時
問2
(♪ 次の4つから3 つを解答す ればよい 。他の 例でも可 。)
ⅰ 企業が対価を収受する権利を有した時。
ⅱ 顧客が資産に対する法的所有権を有するようになった時。
ⅲ 資産の物理的占有が顧客に移転した時。
ⅳ 顧客が資産の所有に伴い経済的便益を享受し,重大なリスク を負うようになった時(40 )。
問3
給 付 の 出 荷 時 か ら 給 付 の 支 配が顧 客に 移転 され る時までの
期間が通常の期間である場合は, 出荷時や着荷時に収益を認識す ることも認められる。
♪ ここで,通常の期間とは,国内販売で取引慣行ごとに合理的 と考えられる日数をいい,具体的には数日間程度の取引である ことが多い。