譲受人の権利 のサンプル条項

譲受人の権利. 1 項 d 号は、ヨーロッパ契約法原則で未回答のまま残されていた問題に回答するものである。この規定は、有体動産の移転に関してⅧ編が採用したのと同じ解決を採用する。譲受人は、譲渡人に対して、契約その他の法律行為、裁判所の命令又は法規定に基づき、問題の債権の移転を求める権利を有していなければならない。このことが特に重要であるのは、そのような権利を付与する契約(例えば、債権の売買契約)が無効であり、又は取り消さ れた場合である。この場合には、譲渡(債権の移転)は生じない。Ⅲ.-5:118 条(無効、取消し、撤回、及び贈与の撤回の効果)を参照せよ。 [譲受人の]権利だけでは、十分でない。ある者は、将来、例えば契約又は裁判所の命令に基づき、譲渡を求める権利を有するに至るかもしれない。しかし、それだけでは移転は生じない。そのような状況の下で、移転をもたらす独立の譲渡行為が存在していなければならない。もちろん、既に指摘したように、[譲受人の]権利を付与する法律行為それ自体が、即時の譲渡行為として働くこともある。この場合、別個の譲渡行為を行う必要はなくなる。 [p.1020] ほとんどの場合、譲渡は、それを行う原因関係上の債務を根拠として行われるだろう。しかし、このことは本条における不可欠の要件ではない。たとえ債務を負っていなかったとしても、債権を他人に移転することは可能である。また、債務が全く存在しなかったのか、それとも存在した債務が譲渡前に消滅したのかも、重要ではない。2 項は、同じ考えを別の観点 ―― 権利の観点 ―― から表現することで、このことを明確にしている [注:譲受人の権利が譲渡行為以前に存在している必要がないということは、当該権利に対応する譲渡人の義務も譲渡行為以前に存在している必要がないことを意味する]。譲受人は[債権の]移転を求める権利を有していなければならないが、この権利は譲渡行為自体からも生じ得る:すなわち、先行する権利である必要はない。 原因関係上の債務関係(それが存在しているならば)の無効又は解消の効果は、Ⅲ.-5:118 条 (無効、取消し、撤回、及び贈与の撤回の効果)により規律される。 3 項は、独立の譲渡行為 ―― すなわち、譲渡行為が、譲受人の権利を生じさせる契約 その他の法律行為から分離していること ―― は不要であることを明確にしている。移転 を求める権利を創出する契約その他の法律行為そのものが、譲渡行為として働いてもよく、実際そのように働くことが非常に多いであろう。この方針は、Ⅷ編に基づく商品の移転に 関するのと同じである。例えば売買契約について、その債務関係上の側面と移転に関する 側面とを明確に区別する「無因」制度は、採用されていない。譲渡の約束を含んだ契約が、譲渡行為として働くものとして解釈され得るか、それとも事後の独立の譲渡行為を要求す るものとして解釈され得るかは、解釈問題となるだろう。 4 項は、譲渡人から譲受人への債権の移転をもたらすために債務者への通知は要求され ないことを、明確にしている。しかし、後に見るように、債務者への通知は、債務者が譲渡人への支払いによっては免責されなくなる時点を特定する際に、重要な役割を果たす。 法体系によっては、債務者への債権譲渡の通知が行われ、又は、例えば譲渡人の会計帳簿への債権譲渡の記入のような、その他何らかの公示行為が履践されるまでは、債権譲渡は有効に成立しないとするものがある。そのような通知又はそれと同等の行為を怠ると、債権譲渡(すなわち、債権の移転)は効力を生じない。債権の譲渡を試みた者が、債権者のままである。 本条が採用した問題解決方法に関しては、それを支持する 2 つの理由がある。第一の理 由は、通知要件が何か有用な目的に役立つのかという疑問に関係する。債務者への通知は、 (例えば、登記による)公示と同等ではない。なぜなら、それは債務者しか認識できないからである。通知要件は、例えば偏頗行為を規律する倒産法上の規定を潜脱するために行われる、共謀による債権譲渡の日付の遡及を防止するのに役立つかもしれない一方で、[p.1021]債権譲渡の日付が問題となることは稀であり、しかも通常は他の手段により証明することができる。成立要件としての通知を省く第二のより重要な理由は、現在及び将来の契約から継続的に生じる一連の債権を対象とする債権譲渡行為を含む現代の債権ファイナンス [注:債権を利用した資金調達]にとって、そのような通知は有害であることである。事の性質上、将来の債務者は、普通は譲渡行為の時点で特定することができない。さらに、近年は、特にファクタリング取引において、供給者(譲渡人)とその顧客(債務者)との間の関係を攪乱することを回避し、かつ、譲受人に代わってする債権の取立てを譲渡人に許すため、通知型ファイナンスから非通知型ファイナンス(これはインボイスディスカウント invoice discounting としても知られている)へと向かう急激な動きが存在している。非通知型ファイナンスの利用は、譲渡人から譲受人への債権の移転の有効性に大きく左右される。したがって、債権譲渡の成立要件として債務者への通知を要求するとすれば、債権ファイナンス一般を、また、とりわけ非通知型ファイナンスを深刻に阻害しかねない。 4 項は、債権譲渡に債務者の同意が要求されないことも、明確にしている。しかし、債務者の同意が債権譲渡の結果に影響を及ぼす幾つかの場面が存在する。一つの例は、債権譲渡が契約上禁止されている場面である。これにより、債権の譲渡が不可能となるわけではない。しかし、債務者が同意しない限り、譲渡人に支払うことにより免責を得る債務者の権利が維持される(Ⅲ-5:108 条(債権の譲渡可能性と契約による譲渡禁止の効果)2 項及び 3 項 a号4を参照せよ)。

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