労働協約とは. (1)労働協約は労働組合活動の結晶 労働者が会社に就職するとき、希望どおりの労働条件で採用されることは少なく、多くの場合、使用者によってあらかじめ決められた労働条件、つまりこういう労働条件ならば雇いましょう、ということで採用されるのが普通です。労働者と使用者との1 対1 の関係で取り決める労働契約では、どうしても使用者の力が強いため、労働者が「今までよりも高いレベルの生活がしたい」「職場環境のよい安心して働くことのできる職場で働きたい」と望んでも、そのとおり希望がかなえられることはなかなか困難です。また、 ようやく合意に達しても口頭の約束では後でその履行をめぐってトラブルが生じることもあります。 そこで労働者は、自らの希望する労働条件を得、それを維持向上させるために団結して労働組合という組織をつくり、その集団の力を背景に使用者と団体交渉をすることになります。そうすることによって初めて使用者と対等の立場に立つことができ、労働条件を改善していくことができるのです。 こうして労働組合が結成されますと、その活動を通して労使間で合意に達した事項を書面で取りかわすようになります。そして、労使双方が約束したある一定期間、たとえば 1 年間とか 2 年間はお互いに合意したことを遵守することになります。 これが労働協約といわれるもので、それは労働組合活動の中から必然的に生まれたものであり、労働協約の歴史はそのまま労働組合活動の歴史といっても過言ではありません。