第1項. 借主は本物件を契約の範囲内で自由に使用する権利を有しており、貸主は原則として本物件内に立ち入ることはできないが、本物件の防火、本物件の構造の保全その他の本物件の管理上特に必要な場合は、あらかじめ借主の承諾を得て本物件内に立ち入ることができることとしている。 【第2項】 前項の場合、借主は正当な理由がある場合を除き、立入りを拒否できないこととしている。
第1項. 賃借権の譲渡、転貸は、貸主の書面による承諾を条件とすることとしている。なお、賃借権の譲渡が行われた時は、貸主に敷金返還義務が生じる( 民法第 622 条の2第1項)。
第1項. 借主の「~しなければならない」という作為義務違反を規定しており、民法第 541 条の趣旨を踏まえ「催告」を要件とし、催告にも係わらず借主が義務を履行しないときに解除することができるとしている。 【第2 項】 借主の「~してはならない」という不作為義務違反を規定しており、第1 項と同様 「催告」を要件とし、催告にも係わらず借主が義務を履行せず、本契約を継続することが困難であると認められるときに解除することができるとしている。
第1項. 契約期間を頭書( 2) に定める始期から終期までの期間とすることとしており、原則として両当事者は、この期間中は相手方に対して本契約に基づく債権を有し、債務を負うこととなる。 【第2 項】 賃貸借契約は契約期間の満了により必ず終了するものではなく、当事者間の合意により契約が更新( 合意更新) できることを確認的に記述している。
第1項. 借主は、頭書( 3) に記載するとおりに賃料を支払うこととしている。 【第2 項】 日割計算により実際の契約期間に応じた賃料を支払う方法を記述している。なお、日割計算の際の分母については、「各月の実際の日数とすること」と「一律に一定の日数とすること」の2 つの方法が考えられるが、計算がある程度簡便であることから、 「一律に一定の日数とすること( 1か月 30 日)」としている。
第1項. 住宅の賃貸借契約から生じる借主の債務の担保として、借主は敷金を貸主に交付することとしている。平成 29 年民法改正で、敷金について「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」という定義が規定された( 民法第 622 条の2第1項)。 【第2 項】 敷金は、借主の債務の担保であることから、明け渡すまでの間、貸主からは借主の債務の不履行について敷金を債務の弁済に充てることができるが、借主からは敷金を賃料、共益費その他の支払い債務の弁済に充てることを請求できないこととしている。
第1項. 借主が賃貸借契約を終了させるための期間( 解約申入れ期間) が 30 日以上の場合について規定している。 なお、解約申入れ期間を 30 日としたのは、第4 条及び第5条の賃料及び共益費の日割計算の分母を 30 日としていることにあわせるためである。
第1項. 本物件の一部が滅失等により使用できなくなった場合に、それが借主の帰責事由によるものでないときは、使用不可の部分の割合に応じて賃料が減額されるものとし、その内容は貸主と借主の間で協議することとしている。平成 29 年民法改正で、賃借物の一部が賃借人の帰責事由によらずに滅失等をした場合の賃料の減額について、従来は「請求することができる」とされていたところ、「( 賃料は) 減額される」と当然に減額するものとされた( 民法第 611 条第1項)。 ただし、一部滅失の程度や減額割合については、判例等の蓄積による明確な基準がないことから、紛争防止の観点からも、一部滅失があった場合は、借主が貸主に通知し、賃料について協議し、適正な減額割合や減額期間、減額の方法( 賃料設定は変えずに一定の期間一部免除とするのか、賃料設定そのものの変更とするのか) 等を合意の上、決定することが望ましいと考えられる。 【第2項】 本物件の一部が滅失等により使用できなくなった場合に、残存する部分のみでは賃借の目的が達成できないときは、借主の解除権を認めるものである。借主に帰責事由がある場合でも解除は認められる( 民法第 611 条第2項)。
第1項. 期間満了及び借主からの解約(
第1項. 賃貸借契約上の借主の債務を担保するため、人的保証として連帯保証人を立てることとしている。また、賃貸借契約更新があった場合にも特段の事情が無い限り連帯保証契約の効力が及ぶと解されている( 最判平成9年 11 月 13 日集民第 186 号 105 頁)ため、保証契約の効果は更新後も及ぶこととしている。この点に関して、紛争防止の観点から、賃貸借契約が更新された場合には、貸主は連帯保証人への通知に努めることが望ましいと考えられる。 【第2 項】 連帯保証人が負担する限度額を極度額として定め、頭書及び記名押印欄に記載することにより、契約の一覧性を確保しつつ、連帯保証人が極度額を契約時に認識できるようにしている。平成 29 年民法改正で、個人の保証人は極度額を限度として責任を負うこと( 民法第 465 条の2第1項)、また極度額の定めのない保証契約は無効となること( 民法第 465 条の2第2項) が規定された。極度額とは保証の限度額をいう。