Common use of 判決の要旨 Clause in Contracts

判決の要旨. 略)原判決は、以上の事実関係からすれば、本件各労働契約においては、Yとしても景気変動等の原因による労働力の過剰状態を生じないかぎり契約が継続することを予定していたものであつて、実質において、当事者双方とも、期間は一応2か月と定められてはいるが、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意 思であつたものと解するのが相当であり、したがつて、本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたる、とするのであり、また、そうである以上、本件各傭止めの効力の判断にあたつては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理を類推すべきであるとするものであることが明らかであつて、上記の事実関係のもとにおけるその認定判断は、正当として首肯することができ、その過程に所論の違法はない。 そこで考えるに、就業規則に解雇事由が明示されている場合には、解雇は就業規則の適用として行われるものであり、したがつてその効力も右解雇事由の存否のいかんによつて決せらるべきであるが、右事由に形式的に該当する場合でも、それを理由とする解雇が著しく苛酷にわたる等相当でないときは解雇権を行使することができないものと解すべきである。ところで、本件臨就規8条はYにおける基幹臨時工の解雇事由を列記しており、そのうち同条3号は契約期間の満了を解雇事由として掲げているが、上記のように本件各労働 契約が期間の満了毎に当然更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態にあつたこと、及び上記のようなYにおける基幹臨時工の採用、傭止めの実態、その作業内容、Xらの採用時及びその後におけるXらに対するY側の言動等にかんがみるときは、本

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Samples: 日立メディコ事件, 日立メディコ事件

判決の要旨. 略)原判決は、以上の事実関係からすれば、本件各労働契約においては、Yとしても景気変動等の原因による労働力の過剰状態を生じないかぎり契約が継続することを予定していたものであつて、実質において、当事者双方とも、期間は一応2か月と定められてはいるが、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意 思であつたものと解するのが相当であり、したがつて、本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたる、とするのであり、また、そうである以上、本件各傭止めの効力の判断にあたつては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理を類推すべきであるとするものであることが明らかであつて、上記の事実関係のもとにおけるその認定判断は、正当として首肯することができ、その過程に所論の違法はない略)原判決は、以上の事実関係からすれば、本件各労働契約においては、Yとしても景気変動等の原因による労働力の過剰状態を生じないかぎり契約が継続することを予定していたものであつて、実質において、当事者双方とも、期間は一応2か月と定められてはいるが、い ずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であつたものと解するのが相当であり、したがつて、本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたる、とするのであり、また、そうである以上、本件各傭止めの効力の判断にあたつては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理を類推すべきであるとするものであることが明らかであつて、上記の事実関係のもとにおけるその認定判断は、正当として首肯することができ、その過程に所論の違法はないそこで考えるに、就業規則に解雇事由が明示されている場合には、解雇は就業規則の適用として行われるものであり、したがつてその効力も右解雇事由の存否のいかんによつて決せらるべきであるが、右事由に形式的に該当する場合でも、それを理由とする解雇が著しく苛酷にわたる等相当でないときは解雇権を行使することができないものと解すべきである。ところで、本件臨就規8条はYにおける基幹臨時工の解雇事由を列記しており、そのうち同条3号は契約期間の満了を解雇事由として掲げているが、上記のように本件各労働 契約が期間の満了毎に当然更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態にあつたこと、及び上記のようなYにおける基幹臨時工の採用、傭止めの実態、その作業内容、Xらの採用時及びその後におけるXらに対するY側の言動等にかんがみるときは、本そこで考えるに、就業規則に解雇事由が明示されている場合には、解雇は就業規則の適用として行われるものであり、したがつてその効力も右解雇事由の存否のいかんによつて決せらるべきであるが、右事由に形式的に該当する場合でも、それを理由とする解雇が著しく苛酷にわたる等相当でないときは解雇権を行使することができないものと解すべきである。ところで、本件臨就規8条はYにおける基幹臨時工の解雇事由を列記しており、そのうち同条3号は契約期間の満了を解雇事由として掲げているが、上記のように本件各労働契約が期間の満了毎に当 然更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態にあつたこと、及び上記のようなYにおける基幹臨時工の採用、傭止めの実態、その作業内容、Xらの採用時及びその後におけるXらに対するY側の言動等にかんがみるときは、本件労働契約においては、単に期間が満了したという理由だけではYにおいて傭止めを行わず、Xらもまたこれを期待、信頼し、このような相互関係のもとに労働契約関係が存続、維持されてきたものというべきである。そして、このような場合には、経済事情の変動により剰員を生じる等Yにおいて従来の取扱いを変更し て右条項を発動してもやむをえないと認められる特段の事情の存しないかぎり、期間満了を理由として傭止めをすることは、信義則上からも許されないものといわなければならない。しかるに、この点につきYはなんら主張立証するところがないのである。もつとも、前記のように臨就規8条は、期間中における解雇事由を列記しているから、これらの事由に該当する場合には傭止めをすることも許されるというべきであるが、この点につき原判決はYの主張する本件各傭止めの理由がこれらの事由に該当するものでないとしており、右判断はその適法に確定した事実関係に照らしていずれも相当というべきであつて、その過程にも所論の違法はない。そうすると、YのしたXらに対する本件傭止めは臨就規8条に基づく解雇としての効力を有するものではなく、これと同趣旨に出た原判決に所論の違法はない。(以下略)

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Samples: ユニオン・ショップ協定に基づき労働者を解雇した事例で、使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当であるとし、本件解雇を無効とした, ユニオン・ショップ協定に基づき労働者を解雇した事例で、使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当であるとし、本件解雇を無効とした