利益の調和 のサンプル条項

利益の調和. 契約自由の利益と資産の譲渡性の利益は、様々な方法で調和させることができる。ユニドロワ原則において採用され(第 9.1.9 条)、より限定的にではあるが PECL においても採用されている(第 11:301 条)1 つの方法は、金銭債権(あるいは一定の金銭債権)とそれ以外の債権とを区別し、かつ、契約上の禁止にもかかわらず前者に後者よりも自由な譲渡性を認めるというものである。しかし、そのような区別は、とりわけ一定の類型の金銭債権に限 定されるならば(例えば PECL の「将来の金銭債権」のように)、譲渡性の利益を軽視するとい う危険を冒している。譲渡性の利益は、一定の類型の金銭債権に限定されるものではなく、それどころか金銭債権のみに限定されるものでもないからである。 本条は、利益を調和させるために 2 つの手法を採用している。その一方は債権譲渡一般 に適用され、他方は取引上の債権にのみ適用される(本条 3 項 c 号及び後述コメント C を参照)。一般的手法は、債権が移転可能であることを認める(したがって譲渡性の利益を完全に承認する)一方で、(譲渡人はもはや債権者ではないにもかかわらず)債務者は譲渡人に履行することによ り有効な免責を得ることができると規定するというものである。債務者はまた、あたかも 債権が譲渡されなかったかのように、譲渡人に対する完全な相殺権を保持する。このこと は、債務者が譲渡人ではなく譲受人に支払うことを選択したときに、譲受人に対して一定 の抗弁及び相殺権を援用する、Ⅲ. -5:116 条(抗弁及び相殺権に対する効果)による債務者の権 利に影響を及ぼさない。さらに、債務者は、[譲渡の]禁止又は制限の違反により引き起こ された損害につき、譲渡人から賠償を受けることができる。もっとも、実際には、債務者 が引き続き譲渡人のために履行することが許されるならば、そのような損害は最低限のも のとなるであろう。したがって、債務者の利益は保護されており、契約自由の原則は譲渡 性を制限しないことと調和する限りで尊重される。債務者保護の規定は、債務者が望むの であれば、(明示又は黙示に)譲渡を承諾すること、[p.1035]及び、譲受人に弁済することを 妨げない。債務者は、譲渡人への弁済を許されているが、それを義務付けられてはいない。債権者でない者に弁済することによって債務者が有効な免責を得ることができるという考 えは、一見すると奇妙であるかもしれない。しかし、そのような考えは、ここでの文脈に おいて馴染みのないものではない。例えば、譲渡について知らされておらず、譲渡を知ら ない債務者が、譲渡人への弁済によって有効な免責を得ることができることは、広く承認 されている。これは、このモデル準則の立場でもある(Ⅲ. -5:119 条(債権者でない者に対する 履行))。 本条で採用された解決の実際上の利点は、債権譲渡が効力を生じると直ちに譲受人が債 権者となり、その結果、債権が存在し続ける間は、譲受人は譲渡人の債権者から保護され るということである。債務者が譲渡人に支払うことによって免責されたときは、譲受人は、不当利得を根拠として譲渡人から弁済金(プロシーズ)を取り戻すことができる。譲渡人は 債務者が免責される支払いの受領により利得し、その結果、譲受人に対応する損失を被ら せた。債権が履行により消滅した後の弁済金(プロシーズ)に対する優先権の問題は、後の 条文において(Ⅲ. -5:122 条(譲受人と利益を受領した譲渡人の競合))、国際取引における債権 譲渡に関する国際連合条約 24 条で採用されたのと類似した方法で処理される。弁済金(プロシーズ)に対する譲受人の請求権は、弁済金(プロシーズ)が譲渡人の資産において分離されて識別可能である間は、譲渡人の債権者の請求権のような競合する請求権に対して優先する。この状況においては、特に譲受人を保護する必要性が認められる。なぜなら、譲受人は、債務者に通知するという通常の方法では、保護を得ることができないからである。 譲受人は、債務者が譲渡人に対して支払うことを防止することができない。債務者が譲渡人に支払うことを許されており、それゆえ契約上の[債権譲渡の]禁止から一定の利益を得るという事実は、譲渡人及び譲渡人の債権者との関係での譲受人の地位を必要以上に害するべきではない。 本条 2 項で述べられている一般準則は、債務者保護のためのものである。したがって、債務者が債権譲渡に同意したときはそのような保護の必要性が存在せず、また、債務者が (債権譲渡の)禁止又は制限は存在しないと譲受人に誤信させたときはそのような保護は正当化されない。本条 3 項a 号及び b 号は、これらの状況に関する例外を規定する。 本条 3 項 c 号は、さらに例外を規定する。これは、「取引上の債権 trade receivables」に 関して特則を適用するものである。このような特則は、構成国の法律では見られないもの であるが、しかし、幾つかの国際条約及び北アメリカの多くの国々で採用されている。こ の特則は、[本条 3 項の他の例外とは]異なる考慮 ――「取引上の債権」を資金調達の源と して利用できるようにすることの利益 ―― によって、正当化される。このような場面に おいても、債権譲渡は完全に有効であり、債権譲渡の通知を受けた債務者は譲受人に支払 わなければならない。例えば、ファクタリングの合意に基づく供給業者からファクターへ の債権譲渡のように、債権譲渡が継続的に生じる多数の将来債権を対象とする場合には、 とくにこの例外が必要となる。この種の合意において、債権譲渡を禁止する条項が含まれ ているか否かを確認するため、数百に及ぶかもしれない個々の契約を調査することをファ クターに期待することは、明らかに不可能である。[譲渡人の締結する]契約がそのような 条項[譲渡禁止条項]を含まない標準的条件による契約[つまり...

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  • 会員保障制度 1.前条第1項の規定にかかわらず、当社は、会員が紛失・盗難により他人にカードもしくはカード情報またはチケット等を不正利用された場合であって、前条第2項に従い警察および当社への届出がなされたときは、これによって本会員が被るカードまたはチケット等の不正利用による損害をてん補します。

  • 損害の負担 第15条 受注者は、 受注者の責めに帰すべき事由により発注者に損害を与えたときは、直ちに発注者に報告し、損害を賠償しなければならない。

  • 同意事項 > ・需給契約に係る全ての個人情報(需給契約名義、住所、電話番号、契約番号、供給地点特定番号等)を経済産業省「電気利用効率化促進対策事業」の事務業務に必要な範囲で電気利用効率化促進対策事務局へ提供すること。 ・不正に特典を取得した可能性があると電気利用効率化促進対策事務局が判断した場合に、本プログラムの主催者である当社を通じて参加状況等の確認依頼に速やかに応じること。 ・不正に特典を取得したことが発覚した場合、当社から特典相当額の返還要請を受けた際は速やかに返還に応じること。

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  • 特約条項 2.前項の会社所定の為替レートは、会社が指標として指定する金融機関が公示する受領日における対顧客電信売相場(TTS)(1日のうちに公示の変更があった場合には、その日の最初の公示値とします。)を上回ることはありません。