考え方 のサンプル条項

考え方. 契約不適合責任の権利の行使期間については、当該契約内容の特性等により任意規定と異なる定めをすることは許容されるべきであるが、正当な理由なく行使期間を法定の場合よりも不当に短く設定する契約条項は、民法第 566 条(権利の行使期間は事実を知ったときから1年以内)に比べ、消費者の義務を加重するものとして、無効となり得る。 〔事例 10-5〕 消費者が有する解除権の行使を制限する契約条項 〔考え方〕 例えば、電気通信回線の利用契約において、消費者による解除権の行使の方法を電話や店舗の手続に限定する契約条項や、予備校の利用規約等において、消費者の解除事由を限定するとともに、中途解約権の行使の際には解除事由が存在することを明らかにする診断書等の書類の提出を要求する契約条項の使用例が見られる。 民法第 541 条第1項は、解除の意思表示について法律上一定の方式によらねばらないとするものではないため(谷口知平ほか編『新版注釈民法(13)[補訂版]』 (有斐閣、2010)802 頁)、このような契約条項は本条の第一要件に該当する。このような契約条項が使用され、消費者が解除権を容易に行使できない状態が 生じる場合には、消費者に解除権が認められた趣旨が没却されかねない。他方で、事業者は、消費者が消費者契約を解除する際、本人確認や契約関係の確認を行うため、解除を書面や対面によるものに限る必要性が生じる場面も考えられる。また、解除権の行使方法をあらかじめ定めておくことで、消費者からの解除の意思表示を見逃さずに対応できることや、大量の契約について統一的な手法・手続によることで迅速な事務作業が可能になり、それによって多くの消費者に一定の品質でサービスを提供できるといった、消費者にとってのメリットもあり得ると考えられる。 これらの事情を総合考量した結果、本条の第二要件にも該当すると判断された場合には、消費者の解除権の行使を制限する契約条項は無効となり得る。 〔事例 10-6〕 消費者の生命又は身体の侵害による事業者の損害賠償責任を免除する契約条項
考え方. 保安業務規程変更認可は、申請後の業務内容が監督部の管轄区域を超えるため、認可は本省で行う。
考え方. 本基準は、商第4条第1項第11号の例外的な取扱いを定めたものであり、従来の商標及び商品又は役務の類否判断には一切影響を及ぼすものではなく、いわゆるコンセント制度の導入を認めたものでもない(「産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会」第2回資料3参照)。また、本基準の対象となる出願人と引用商標権者の関係は、以下のとおり親子会社の関係にある場合に限るものであり、その他出願人と引用商標権者が一定の関係(例えば、兄弟会社、孫会社、グループ会社、フランチャイザー・フランチャイジー)にある場合であっても、本基準の対象となるものではない。 出願人と引用商標権者に支配関係がある場合及びその判断方法は、次のとおりとする。
考え方. 弊社は、資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)、その他の各種法令等に基づき、以下の商品およびサービスについて LINE Pay による決済を利用することを禁止しています。
考え方. 事例8-1から8-3は、債務不履行や不法行為による損害賠償責任の「全部を免除」する契約条項であるため、本項第1号や第3号に該当し無効となる。 契約条項が無効となった結果、損害賠償責任については、何の特約もなかったこととなり、事業者は民法等の原則どおり損害賠償責任を負うこととなる。当然のことながら、「いかなる理由があっても一切損害賠償責任を負わない」という特約が無効となっても事業者は、「いかなる理由があっても一切損害賠償責任を負う」ことになるわけではない。民法第 415 条、第 709 条等の規定に照らし、そもそも損害賠償責任を負わないようなケースであれば、損害賠償責任を負うことはない。 〔事例8-4〕 事業者は、天災等事業者の責に帰すべき事由によらない損害については賠償責任を負わない。
考え方. 事業者の責めに帰すべき事由がない場合には、事業者はそもそも債務不履行や不法行為に基づく損害賠償責任を負うことはない。この事例は、本来負うことがない責任を負わないということを確認的に定めたものと考えられるが、このような契約条項は無効とはならない(ただし、事業者が金銭債務を負っている場合には不可抗力による抗弁はできない。)。 〔事例8-5〕 いかなる理由があっても事業者の損害賠償責任は○○円を限度とする。 〔事例8-6〕 事業者は通常損害については責任を負うが、特別損害については責任を負わない。
考え方. これらの契約条項は、損害賠償責任が事業者の故意又は重過失によるものであっても、損害賠償責任の限度を制限(事例8-5)したり、上限を通常損害の額とすることで(事例8-6)、「責任の一部を免除」する契約条項に該当し、本項第2号及び第4号に該当し無効となる。 また、損害賠償責任の一部を免除する契約条項としては、損害賠償責任の 90%を免除するような契約条項も考えられるが、これも全部を免除する契約条項ではないため、本項第1号や第3号には該当しない。しかし、事業者が損害賠償責任の 90%を免除する旨の契約条項は、民法第 416 条の適用による場合よりも消費者の権利を制限することによって、民法の信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害すると考えられるものについては、第 10 条に該当し無効となり得る。 なお、契約条項が無効となった結果、損害賠償額の限度については最初から何の特約もなかったこととなり、事業者は民法第 416 条の規定に従い責任を負うこととなる。 民法においては、債務不履行についての損害賠償の範囲は第 416 条(判例では、不法行為にも類推適用される。)により規定された相当因果関係の法理によって定められている。その趣旨は一般に、現実に生じた損害のうち、当該事案の場合に特有の損害を除いた、当該債務不履行により通常生ずべき損害である「通常損害」を原則とし、特別の事情を予見し得た場合のみ、その特別の事情により生じた「特別損害」をも対象とする、と解されている。 〔事例8-7〕 事業者に故意又は重大な過失がある場合を除き、損害賠償責任は○○円を限度とする。
考え方. この契約条項は、「一部を免除」する契約条項であるが、事業者に故意又は重大な過失がある場合を除外しているため、本項第2号や第4号には該当せず、無効とはならない。また、事業者に故意又は重大な過失がある場合を除いており、当該事業者の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていることから、本条第3項にも該当せず、無効とはならない。 〔事例8-8〕 宿泊客がフロントにお預けになった物品又は現金並びに貴重品について滅失、毀損等の損害が生じたときは、それが不可抗力である場合を除き、当ホテルは、その損害を賠償します。ただし、現金及び貴重品について、当ホテルがその種類及び価額の明告を求めた場合であって、宿泊客がそれを行わなかったときは、当ホテルは○○円を限度としてその損害を賠償します。(ホテル宿泊契約の例) 〔考え方〕 この契約条項は、事業者の賠償の限度を定めているが、商法第 597 条では、「貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類及び価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失又は損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない。」とされており、事業者の損害賠償責任を制限しているとはいえないため、本項第2号や第4号には該当せず、無効とはな らない。 〔事例8-9〕 事業者は、人的損害については責任を負うが、物的な損害については一切損害賠償責任を負わない。
考え方. 人的損害については責任を負うが、物的損害については責任を負わないとする契約条項は、物的損害のみが生じた場合には、一切損害賠償しないこととなるため、「全部を免除」する契約条項に当たる。したがって、本項第1号や第3号に該当し無効となる。 〔事例8-10〕 消費者が事業者に故意又は過失があることを証明した場合には損害賠償責任を負う。
考え方. 証明責任を転換する契約条項は、本項には該当しない。ただし、証明責任を法定の場合よりも消費者に不利に定める契約条項(例えば民法 415 条の債務不履行責任に関し、事業者の責に帰することができる事由を消費者に証明させる契約条項)は、第 10 条に該当し無効となり得る。 〔事例8-11〕 会社は一切損害賠償の責を負いません。ただし、会社の調査により会社に過失があると認めた場合には、会社は一定の補償をするものとします。