義務的・儀礼的贈与. 道徳上の義務や儀礼として行われる贈与は，534条で特別な事例群として規定されている34)。この種の贈与は，奉仕に対する謝礼（僅少なときは， 立命館法学 2015 年 5・6 号（363・364号) 侵害自体が認められない）・（法律上扶養義務が存在しなくても）困窮する近親者への扶助といった道徳的義務や，誕生日，結婚式，クリスマスなど慣例的な贈り物といった儀礼的配慮を動機としてなされる。この特徴を備えた贈与しか，（BGB）第一草案は，相続契約の拘束に服する被相続人に許容していなかった（ただ，許容された贈与の範囲があまりに狭すぎるという理由か ら受け入れられなかったが）。 • • • • • • • 契約被相続人が理想目的（いわゆる ドレスデン聖母教 会（Dresdner Frauenkirche）への寄付）や個人的配慮から贈与をすることを妨げてはいけないと，第二草案は言及していた。ただ実際上，この事例群を正確に限定づけることは容易でなく，上記a)と重複することもある。
