山本座長. ありがとうございました。それでは、平尾委員、お願いいたします。
山本座長. ありがとうございました。それでは、坪田委員、お願いいたします。
山本座長. ありがとうございました。
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山本座長. ありがとうございました。それでは、この「立証責任の負担を軽減する特則における営業秘密の保護」について、意見交換を行いたいと思います。 今回も前回と同様に、各論点について全委員に一通り意見を述べていただくと いうだけではなく、それぞれの意見に対する御質問、御意見を充実させるという ことで、議論を深めるために、各論点についての御意見を事前に御提出いただい た上で、ほかの委員に共有してお目通しをいただいています。したがいまして、 順番に御発言をいただいていた部分はこの資料4で代えさせていただき、これを もとに各意見に対する御意見や御質問等を交換していただくという形で議論を進 めたいと思います。1回当たりの御発言は2分程度をめどに簡潔にしていただき、他の委員の御意見を踏まえたさらなる御発言等も積極的にしていただければとい ますので、御協力よろしくお願いいたします。 それでは、御発言を希望される委員の方は挙手機能を用いてお申し出ください。山本和彦委員、お願いします。 ○山本和彦委員 私は意見を出していないのですけれども、この論点で若干お話をさせていただきます。基本的な方向性はこの事務局の提案というか、最後のところのお話に賛成ということです。今回の規定はこれまでも繰り返し言われていますように、あくまでも民事訴訟の一般的な規律である積極否認について、この特有の場面について一定の特則というか明確化を図ったものということであろうと思っております。そういう意味では、この積極否認の規律に反した場合の効果については学説上はいろいろ議論のあるところでありますけれども、基本的には明示的な制裁はないようなものとして位置づけられておりますので、これに対応するものとして秘密保持命令を導入するというのは、ややバランスとしてどうかという印象は否めないところがあります。そこまでやるのであればこの積極否認をより強化するような、例えばそれを履行しない場合には自白を擬制してしまうとか、非常に強いものとして入れるか、あるいは事務局が言われるように文書提出命令についてより強化したものを考えていくことになっていくのだろうと思います。その方向もないとは思いませんけれども、今回の改正でそこまで行くのかというと、ややラジカルかと。特許等の知財のほうでの改正の経緯もありますように、基本的には徐々に状況を見ながら改正をしていったということだと思いますので、今回や るとすれば前回の提案の辺りが穏当なところかとは思っております。 ただ、その点、この積極否認をやるにしても、個別消費者との関係でこれを認める場合の懸念が示されているように思いまして、私自身も前回やや観点は違いますけれども、個別消費者に対して説明する場合と適格消費者団体に対して説明する場合とでは段差があるのではないかということは申し上げまして、低いほうに合わせることになるのは問題であろうということを申し上げたと思います。その部分の懸念が強いとすれば、今回の改正は、これは前にも申し上げたところですけれども、適格消費者団体を相手方にした場合に限定をし、個別消費者については一般的な民事訴訟法の規律、現在の積極否認の規律に委ねる方向性も考えられるのではないかと思っております。いずれにしても、個別消費者に対してかなり数字が入った事柄を説明するというのは、これは後藤委員の意見にもありましたとおり、いろいろな局面を考えるとなかなか難しいところはあるのだろうとは思っているところであります。 いずれにしても重要な点は、こういう解約金条項を定める際に、事業者側が周りの業者、同じ業者もそうやっているからという話ではなくて、自分たちの平均的損害の額を意識してそれとの比較で解約金条項を定める、その際、理由を説明された場合にはそれがきっちり説明できるだけの資料を整えておく、それができないならばもう解約金条項を諦めると。そういう行為規範を打ち立てるところに大きな意味があるのだろうと思っておりまして、そうだとすれば、仮に適格消費者団体との関係に限定したとしても、適格消費者団体から訴えられる可能性があるのであれば、そのような行為規範を担保することは可能なのではないか、そういう目的はそれで達成できるのではないかという気がしております。 もちろん、実際にやってみて不十分な点が多いというところが分かってくれば、特許法がやったようにさらに強い方向に対応していくことは十分考えられる、あ るいは対象を広げることも十分考えられると思いますけれども、現段階では私は その辺りが適切なのかと思っている次第です。以上です。
山本座長. ありがとうございました。 ほかに、今の点を含めまして御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。楠委員、続いて平尾委員、お願いいたします。
山本座長. ありがとうございました。以上で、一通り御意見を伺ったところです。 私なりに少し整理をしますと、今もお話がありましたように、そもそもこのような特則を設ける必要性があることが実証的に示されているのかという御疑問が示されていましたけれども、他方で、本来、解約に伴う損害賠償の額が適正かどうか、それも訴訟で問題になるような限定された場面では、このような条項を定める事業者が根拠を示すのは当然のことではないか、という御指摘もありました。これは従来からも指摘されているところですが、改めて確認されたところです。 その上で、利用主体に関しては、様々な御意見がありましたけれども、かなり多くの方が、やはり適格消費者団体に限定するのが現実的ではないかという御意見ではなかったかと思います。特に、問題の性格から、ある程度専門性の高い事柄が問題になるわけで、事業者と適格消費者団体とが適切な条項を採用するように議論していくという点でも、限定していく必要性があるのではないかということが示されていました。 そして、積極否認の特則と文書提出命令の特則という2つの提案があるわけですけれども、方向としては、今申し上げたように、適格消費者団体に限定するのが現 実的ではないかという御意見とともに、積極否認の特則に関しては直接制裁がないということからすると、団体に限定する理由があるのかという御指摘もあったところです。しかし、他方で、やはり附帯決議を受けて議論しているわけであって、その趣旨からすると、適格消費者団体に限定して消費者を外すことについては問題があるのではないかという御指摘もあったところです。 これらの議論と重なるといいますか、最も直結して問題になるのが、営業秘密の保護をどう図るかという点で、消費者について秘密保持義務、秘密保持命令、濫用防止規定を設けるという案が示されているわけですけれども、消費者一般について秘密保持命令はまだあり得るとしても、一般的な公法上の秘密保持義務を課していくのは問題がやはり大きいのではないか、萎縮効果もあり得るという御指摘もあったところでした。そこで、消費者を外し、仮に適格消費者団体に限定するとしても、本当にこの営業秘密の保護を十分に担保できるかどうか、この点については大きな不安があるという御指摘が事業者の側から示されていたように思います。 少なくとも文書提出命令に関してはということかもしれませんが、やはり文書提 出命令だけではないかもしれないと思いますけれども、裁判所が開示することに合 理的、あるいは相応な理由がある場合に限定すべきだという御意見もありましたし、少なくとも知的財産法における営業秘密の保護に比べて、この保護を担保する規律 が消費者契約法第25条では十分ではないのではないかという御指摘も何人かの方 からされていたところです。そうだとしますと、仮にそれを前提にするとしまして も、では、どこまでその営業秘密の保護の担保を図れば足りるかということに問題 が移る可能性がありますが、特許法などと完全に同じでなければならないか、特許 法で問題のある典型的な営業秘密の保護と、消費者契約法で典型的な営業秘密の保 護とではやはりレベルが違うのではないか、それを踏まえて、法定刑なども含めて かもしれませんが、検討する余地があるのではないか、という御指摘もあったとこ ろです。不十分で、全てフォローできているかどうか分かりませんが、以上のよう な意見の分布ではなかったかと思います。 それでは、ここから先は、御意見、御質問を御希望される方はお申し出いただければと思います。今回は、挙手をクリックしていただけますと御発言を希望されているかどうか分かります。ただ、円滑な進行のために、御発言に際しましては、できれば1分程度で御説明いただきますよう御協力のほどお願い申し上げます。 それでは、挙手機能をお使いいただけますでしょうか。坪田委員が、挙がっているような、消えているような、やや分かりにくいのですが。
山本座長. ありがとうございました。ほかに御意見はありますでしょうか。
山本座長. ありがとうございました。本日の議論につきましては、運営要領に基づきまして、事務局と私で議事録を作成して、委員の皆様、そして丸山先生にご確認いただいた上で、公表したいと考えています。
山本座長. ありがとうございました。ほかに御意見はありますでしょうか。それぞれに御意見いただいておりますので、それに対する御意見をさらにいただければ、取りまとめを受けて大変ありがたいところですので、ぜひお出しいただければと思います。それでは、遠山委員、お願いいたします。 ○遠山委員 ほかの委員への御質問でなく申し訳ありませんが、1点、事務局への御質問と、意見または感想になりますが、1点、申し上げたいと思います。 まず事務局への御質問ですが、「消費者が加齢または心身の故障により判断力が著しく低下している」場合でも、成年後見人や、銀行や証券会社で行われている予約型代理人、また、保険会社で行われている契約者代理人、さらに弁護士も含めて、任意代理人が本人に代わって意思表示を行った場合には適用されないという理解で良いか、そして、被保佐人の方が重要な財産の処分に関して保佐人の同意を得て意思表示を行った場合にも適用されないという理解で良いか、確認したいと思います。当たり前のような気もしますが、消費者契約法11条1項の民法との関係の規定もあるため、条文で明示的に書いたほうが明確になると思い、申し上げました。 次に、感想または意見になりますが、現在、認知症の方だと分かっていても、 老人ホームの入居費用に充てたり、狭いところに住み替えるために自宅を売却さ れたり、また、リバースモーゲージで生活費を工面されたりということは現実に あり、判断力が著しく低下している方でも、御家族の助けなどをお借りして、一 般の消費者が通常行っている取引を行っているという実情があります。老人ホー ムに入居する費用に充てるために自宅を売却することやリバースモーゲージは、 資産の少ない方ほどニーズが高いため、ご提案のように資産要件で自宅の売却な どが許されないとなると、実際のニーズと合わない規律となると懸念しています。この点、今週月曜日の6月28日に、某TV局の夕方のニュースで次のような報道 がありました。ウェブでも掲載されていますが、「認知症の高齢者が所有する住 宅が全国で220万戸余りに上り、すべての住宅のおよそ30戸に1戸に当たる。」
山本座長. それでは、ほかに御質問等はありますでしょうか。平尾委員、お願いいたします。