調査の背景 のサンプル条項

調査の背景. アフリカ諸国における産業振興・企業成長の主な阻害要因として、①人的資源の不足/高度人材の育成課題、②金融・資本市場の未整備/金融アクセスの欠如などが挙げられている。JICAはアフリカの産業振興を支援するために、これまでにカイゼンの普及を中心とする技術協力を通じて8か国(チュニジア、エチオピア、ケニア、タンザニア、ザンビア、ガーナ、チュニジア、カメルーン)への支援を行い、主に中小企業における人的資源の不足/高度人材の育成課題解決に向けた活動を行ってきた。 これら既存企業への支援に加えて、起業家あるいは起業後間もない企業を支援することによる雇用促進や産業の多様化、ひいてはイノベーション創出効果が指摘されており、SDGsへの貢献の観点からもJICA支援が求められている。しかしながら、起業家にとって、「新たなビジネスモデルを創出し、市場に送り出す」までの創業当初の経営が困難な期間を乗り越えることは難しく、先進国においても技術面(経営支援サービス全般:BDS(Business Development Service))、資金面(補助金、出資、融資等)など様々なスタートアップ支援が整備されている状況にある。他方、アフリカにおいては、起業家を取り巻くエコシステムが成熟しておらず、技術・資金、ネットワーク等のスタートアップ企業の成長に必要な様々な要素が未成熟の状況である。 2020 年1 月にJICAは起業家支援のプログラムを総称してProject NINJA ( Next Innovation with Japan)1とすることを決定し、当該プログラムの下でアフリカを含む各国のスタートアップエコシステムの強化に取り組んでいる。これまでJICAが調査を行ってきた中ではアフリカにおいては起業家の成長を加速化するアクセラレーションプログラムの品質が必ずしも高くなく、同プログラムを経た企業もベンチャーキャピタルからの投資につながっていないことが課題としてあげられている。また、資金面についてもスタートアップ初期段階の支援についてはリスクの高さなどからこれまでJICA資金協力事業の形成には至っておらず、日系ベンチャーキャピタルへの調査委託による情報収集段階であり、更なる取り組みのあり方を検討する必要がある。加えて、2020年に発生した新型コロナは途上国の社会・経済に大きな負担となっており、アフリカ起業家による新たな課題対応の取組が期待されている。以上の状況を踏まえ、本調査を実施することとなった。
調査の背景. ケニアは人口約 5,300 万人(世銀予測値、2020 年)、面積 58.3 万km2 であり、国土の約 8 割を乾燥・半乾燥地が占めている。人口増加や経済・社会開発に伴う水需要が増大しており、特に都市部では、上水道サービスの拡充が人口増加による給水需要に追い付いておらず、2018/19 年度の都市部の給水率は約 59%と低い水準にとどまっている(ケニア水道事業監督局(WASREB:Water Services Regulatory Board、2019)。 ケニア政府は国家開発計画Vision2030 にて、2030 年までにすべての住民に安全な水供給と適切な衛生環境の利用アクセスを達成するとしているが、水セクターに配賦されている公的資金は実際に必要な開発資金の 4 割程度しかないと推計されており、新たな資金源の確保が必須となっている。そのため、ケニア政府の政策目標やSDGs 達成には、公的資金に依存するだけでなく、上下水道サービス事業体 (WSP:Water Service Provider)が自立的な経営能力を向上させ、更に、資金調達・動員を図りながら、水道サービスの拡張と改善を進められるようにすることが必須の課題となっている。 WSP は、水法 2016 において、郡(カウンティ)政府の責任の下で、自立的な上下水道施設の事業運営を行うこととされている。しかしながら、人口増加に対応した施設投資ができていないことに加え、高い無収水率や時間給水等により、多くの WSP が料金徴収等の収入により維持管理等の支出を満たすことができていない状況となっている。 一方で、優良な経営状況の一部のWSP では、自立的な水道サービスの拡充や無収水率の削減を進め、市中銀行からの融資を受ける事例も出始めている。ケニアでは WASREB により財務状況を含む各種指標によるWSP の信用格付けが行われてお り、41 のWSP のう➀、27 のWSP がBB 以上に分類されている(WASREB, 2018/19)。但し、長期かつ低利の融資が必要となるWSP のキャッシュフロー上の特徴や、WSP の支払い能力や事業計画の策定・実施能力の不足、金融機関等の水道事業に対する審査経験の不足等により、WSP が市中銀行等から融資を受ける例は依然限定的なものにとどまっている。 他方、近年、民間資金と公的資金を組み合わせたブレンデッド・ファイナンス や、PPP 等による民間資金動員を図る例が、世界各国の都市給水分野でも試行される等、新たな資金調達・動員手法が注目されており、ブレンデッド・ファイナンスに関しては、オランダ企業がケニアでの事業展開を検討する動きがある。 これまでJICA はケニアの都市給水分野において、無償資金協力による上水道施設の拡充等のハード面の支援に加え、技術協力により無収水対策を中心としたソフト面の支援を展開し、水道事業体の経営能力の強化を行ってきた。エンブやメルー等の中核都市にて、料金収入基盤の拡大とサービス向上を促進することにより、水道 事業を成長軌道に乗せたモデル的WSP の形成に貢献した。さらに、無収水対策に係る全国基準の策定支援等を通じ、他地域への普及展開を行ってきている。 しかしながら、WSP のより自立的な水道経営ニーズの高まりや、世界的な新たな資金調達・動員の検討の状況を鑑みれば、JICA としても、WSP の水道事業の拡張や経営能力の強化に対する従来型の協力に加え、WSP の経営能力に応じ、将来的な資金調達・動員を可能にするための自立的かつ持続的なWSP の経営能力向上に係る協力を展開していく必要がある。更には、資金調達・動員シナリオの具体的な実現を促進するための新しい協力アプローチを模索する段階にきているといえる。これら協力を実現するため、資金協力や技術協力をより有効に活用することが必要となっている。
調査の背景. サラエボ県中心部はボスニア最大の都市であり(人口約44万人)、周囲を山に囲まれた盆地である。公共交通は、路面電車、トロリーバスなど旧ユーゴスラビア連邦時代のものを多く引き継いでいるが、近年の経済停滞やサラエボ県公共交通公社 (GRAS)の経営難等が原因で、インフラの更新が進んでおらず、サービスレベルが低下している。それに伴い、自家用車利用の増加により、交通渋滞及び大気汚染が深刻な問題となっている。サラエボ県の2020年までの開発計画においては「公共交通」の改善が目標の一つに掲げられており、サラエボ県の公共交通改善、大気汚染改善に対する意向は強い。
調査の背景. ネパールは2015年の震災に伴う一時期の経済停滞期があったものの、順調に経済成長を遂げており、一人当たりGNI(アトラス法)においても2008年から2018年までに430米ドルから970米ドル1まで上昇している。しかし、各産業の一人当たり生産高は農業、工業、サービス業においてそれぞれ599米ドル2,1514米ドル3, 4140米ドル4と南アジア平均(それぞれ1594米ドル, 5976米ドル, 7836 米ドル)と比較して少ない。また、主要な輸出産業がないことなどから、2015年以降は恒常的な経常赤字が続いている。加えて、ネパールでは15-34歳までの若手労働者層を中心に多くの国民が海外で就労しており、外国送金額はGDPの約30%に相当し5FDIの0.5%(2016年)を大きく上回る6。今後、ネパール国政府が農産品の輸出や、繊維業、観光業、IT産業等の促進を目指していく7中で、留学や就労などの海外経験を積んでネパールに帰国する人材(還流人材)が産業振興において大きな役割を果たすことが期待できる。 一方、我が国においては少子高齢化に起因する労働人口減少に伴って人材不足が課題となっている。2019年6月時点で在留ネパール人数は約92,000人、国別で6位に位置しその数は2010年度から上昇傾向にある8。ネパール人を含めた外国籍労働者は、人材不足が続く我が国の産業において既に重要な役割を果たしており、適切な人材マッチングが求められている。 2020年2月から全世界を襲った新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、インドをはじめ湾岸諸国やマレーシア、欧州などに滞在していたネパール人労働者にも大きな影響を与え、職を失くした10万人に及ぶネパール人が帰国を余儀なくされる事態となった。現在、今後数年間にわたってネパール人の海外への再渡航・就労が容易ではない中、深刻なGDPの低下と外貨不足にもつながりかねない危機的な状況となっている。 本調査では、これらの状況を踏まえ、ネパールの中期的な産業振興に貢献するために、ネパール国での成長のポテンシャルがある産業において、留学、技能実習、特定技能、あるいは就労等のために来日し、ネパールに帰国する人材のフローを明らかにし、ネパールの産業人材と日本の産業界とのより効果的なマッチング方法や来日を契機としたネパール人の若者のキャリアパスの実現、およびそのための人材育成支援等の還流人材を活用したネパールの産業育成支援に向けた JICAの協力の方向性を検討するものである。
調査の背景. バヌアツ共和国(以下、「バヌアツ」という。人口約26万人、総面積約1万2千km2)は、南太平洋西部に位置し、南北約1,200kmに広がる約80の島々で構成される島嶼国である。人口の20%がエファテ島にある首都ポートビラ市及びエスピリッツサント島のルーガンビル市に集中している。 バウアーフィールド国際空港は、首都ポートビラにおける人的・物的交流の中核となる重要な国際空港として位置付けられており、1990年に我が国の無償資金協力にて「バウアーフィールド国際空港ターミナルビル建設施設」(1990年E/N、16.05億円)を実施し、ターミナルビルが整備された。本ターミナルビルは、当初国際線・国内線合わせて約24万人の旅客数を想定して建設されたが、2018年の旅客数は約47万人にまで増加している。就航するフライト数も急増しており、既にターミナル施設はキャパシティを大幅に超えている状態である。 また、同空港は建設後20年を経過していることから、施設の老朽化も喫緊の課題となっている。これに対して、世界銀行は大洋州地域の航空インフラへの投資や航空セクターの改善を目的としたPacific Aviation Investment Program(2019年12月31日終了予定)の一環として、同空港における滑走路改修、エプロン舗装改良、消火救難施設整備等を実施している。また、バヌアツ空港公社(AVL)も自社資金にて旅客ターミナルビルの一部やカーゴ施設の都度改修を行っているものの、著しい老朽化への十分な対応には至っていない。このため、旅客取扱設備の容量不足も相まって、今後の需要増に伴い更なるサービスレベルの低下が懸念される等、現在の国際基準にそぐわない状況となっている。 バヌアツ政府は、我が国に対しターミナル施設(エプロン、誘導路、旅客ターミナルビル、管制塔、消防庁舎、道路・駐車場、空港アクセス道路、航空燃料施設、使用事業用施設、貨物ターミナルビル、格納庫等)の整備支援に係る協力を要望しており、これを受け、当機構は2019年2月、現地調査にて先方政府との協議を行い、ターミナル施設の適正規模への見直しが必要であることを共有した。係る状況から、将来の適切な事業規模の提案及び我が国協力可能性を確認すべく、本調査を実施する。 なお、世界銀行は上記プログラムの中で本空港を含むバヌアツ主要空港のマスタープランを策定済み(2017年)であるが、想定される事業規模が過大となっていると思われることから、本調査のなかで同マスタープランをレビューし、適切な事業規模を検討することが必要である。
調査の背景. バングラデシュ人民共和国(以下「バングラデシュ」という。)では、近年の安定した経済成長や工業化の進展により電力需要が急増している。実際、電力需要は 2020 年から 10 年間に亘り年率約 7.9%の増加(Power System Master Plan 2016、電力エネルギー鉱物資源省)が見込まれる。発電の 6 割を依存する国内産天然ガスの産出量は頭打ちとなり、2018 年からは国産ガスと比較し 5 倍程度高価なLNG の輸入が開始された。一つのエネルギー源に過度に依存した状態は、燃料供給や関連設備に何らかの問題が発生した際に、エネルギー源の供給途絶、それに伴う燃料不足による電力供給力不足や燃料供給コストの高騰というエネルギー安全保障上の問題発生が懸念される。そのため、エネルギー安全保障上、ガスに依存したエネルギー消費構造を多様化していくことが重要な課題となっている。一方、当国は、国土の大部分が海抜 9 m 以下の低地であり水力発電ポテンシャルが極めて限定的であり、人口密度が高く用地取得が容易でないことから大規模な太陽光発電導入適地が限られている等、再生可能エネルギーの導入余地が限定的である。需要増加に対応しつつ、エネルギー源を多様化していく必要性が高い状況下、当国政府は、約 1.5%(2016 年)である設備容量に占める石炭火力発電の割合を、2041年までに約 32%まで高める方針にある(Revisiting Power System Master Plan、2018年)。持続的な経済成長を背景とした旺盛な電力需要増加に応えるための安定的な電力供給と、エネルギー多様化を同時に実現する手段として中期的に石炭火力発電所の導入が不可欠な状況にある。 バングラデシュの国家計画である「第 7 次五か年計画」(2016/17~2020/21 年度)において、不安定な電力供給が経済成長の制約であるとの認識から、電力セクターは最優先セクターとして位置付けられている。また、バングラデシュ政府は、2015 年に Intended Nationally Determined Contributions (INDC)を策定し、その中で定めた目標を達成するため、資金支援があることを条件に全ての新規石炭火力建設において超臨界圧以上の技術を用いることを例示している。日本政府は「第 5 次エネルギー基本計画」 (2018 年 7 月)において、エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、一定の要件を満たした場合、超々臨界圧以上の石炭火力発電設備の導入を支援することとしており、本事業は日本政府の石炭火力の支援方針とも整合している。また、バングラデシュ政府から累次にわたりフェーズ 2 事業の支援要請が日本政府に対しなされており、同事業はハシナ首相直轄の最重要事業の一つに位置付けられている。 上記背景を踏まえ、本調査は「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業(フェーズ 2)」 (以下「本事業」という。)に関し、事業目的、概要、事業費、実施体制、スケジュール、運転・維持管理体制、環境社会配慮等、有償資金協力事業として実施するための審査に必要な調査を行うことを目的とし、日本政府の指示に基づき実施するものである。
調査の背景. ベトナムにおける電源設備容量は過去15年間年率約10%で増加しており、2016年には42,135MWとなっている。改訂版第7次電力開発計画(PDP7)では、2030年に向けて年率8.5%の増加を想定している。他方、南部地域を中心に太陽光発電案件の普及が進んでおり、既に2020年時点の総出力は6,100MWに達する見込みで、これは改訂版PDP7で示されている2020年の目標値850MWを大幅に超過している。このような大量の再生可能エネルギー導入は系統の不安定化をもたらすことが懸念されており、対応策を検討し、実施に移すことが急務となっている。具体的には供給柔軟性確保を目的として、系統の増強、負荷変動に対応可能な電源の増強・建設、さらには蓄電池等の対策の実施可能性の検討が求められている。 一方、再生可能エネルギーが大量に導入されることが見込まれている中、PDP7では石炭火力の電源構成比が2015年比33.5%から2030年42.8%に増加する等、実態にそぐわない状況も見られている。 本調査では、現在策定準備が進められているPDP8に向けた検討状況等、現在の電力セクターの最新動向を把握する。特に民間投資が活発になっている再生可能エネルギーの開発政策や各種制度及び今後の見通しを調査し、電力取引制度と併せて送配電系統・運用システムの課題を特定し、今後のあるべき姿とのギャップを明らかにする。また、ベトナム政府がルーフトップ型太陽光の拡大を計画していることもあり、特に、配電系統への影響や課題、取り得る対策について、デマンドレスポンス(以下「DR」という)を含め、制度面及び技術面の課題を新たなビジネス可能性に留意しつつ整理する。なお、負荷変動対策として、経済性及び運用性も考慮しつつ、系統運用の柔軟性強化、既存発電の計画・運用、蓄電池等DRの開発の必要性と方向性を明らかにし、 JICAによる支援の可能性を、海外投融資等の民間連携や円借款、技術協力の観点から検討する。 また、同国においては、世界銀行グループやアジア開発銀行(ADB)、フランス開発庁(AFD)、米国国際開発庁(USAID)等の支援が行われていることから、これら開発パートナーの支援状況を整理し、支援の重複を排除し、協調の可能性を検討する。
調査の背景. ベトナム社会主義共和国(以下、「ベトナム」という。)は、都市・工業地域水道開発指針「Orientation on Water Supply Development of Urban areas and Industrial Zones in Vietnam up to 2025, Vision2050」にて、2025年までに都市部の水道普及率を100%、24時間給水、無収水率15%以下とする目標を設定しているが、2017年の都市部の水道普及率は約81%(2017 年(出典:Progress on household drinking water, sanitation and hygiene 2000-2017 ( WHO/UNICEF, 2019))であり、更なる水道施設の整備が求められている。加えて、ベトナムの 2016~19年のGDP成長率は年平均7%であり、近年の課題として経済成長に伴う急速な工業化2と都市化3によって増加する水需要に対する水道の整備・更新が挙げられる。 ベトナム政府は 2000 年代以降、官民連携(PPP)に関する法制度整備を進め、 2015 年に水道事業における民間活用の政令が整備された4。その背景には、水道事業を含め採算性のある事業に関しては、公的資金ではなく民間資金での整備、 PPP による整備とする基本方針があり、2015 年以前から用水供給事業等の PPP の事例が確認されている。2021 年 1 月から、政令から PPP 法に格上げされることが決まり、引き続き上水道分野は PPP 対象分野の一つとなっている。5また、近年、インフラ整備の財源を調達するために水道公社の株式会社化と民間への株式売却の事例が多く確認されており、水道事業における施設整備に関し政府の役割は縮小する傾向にある。 JICA の水道分野への支援は、ハノイ、ハイフォン、フエ等に対する無償資金協力や技術協力が行われ、「ドンナイ/バリア・ブンタウ省上水道整備事業」(第 1 期 1998 年、第 2 期 2004 年 L/A)等の円借款も実施された。また、協力準備調査(PPP インフラ事業)が 2010 年に開始されて以降、ベトナムの上水道分野においては 7 件の調査が行われており、本邦企業の関心は高いが、海外投融資につな がった案件は 1 件のみとなっている。 このような状況下、ベトナム政府の政策や本邦企業の関心を踏まえると、水道 施設整備を迅速化するために、JICA が支援する ODA 資金を触媒とした資金調達、或いはPPP による水道施設整備の方策を検討することが必要である。本調査では、ベトナムの人口が一定規模以上の主要都市において資金調達・PPP6の可能性を検討し、現状確認及び問題分析を通じ、今後の上水道分野の協力方針の検討を行う。なお、ベトナムの新型コロナウイルスの陽性事例は、1,096 名(10 月 5 日時点) 2 ベトナムの GDP に占める第二次産業の金額は 373 億ドル(2010 年)から 839 億ドル(2018 年)へと年率 10.5%で増加しており、GDP 以上の伸びを示している。
調査の背景. ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)の保健医療セクターにおいては、近年改善が見られるものの、依然として母子保健(2014年妊産婦死亡率:出生十万対282、5歳未満児死亡率:出生千対72)1 の状況は悪く、引き続き対策が必要である。5歳未満時死亡率の高さは、新生児死亡率(出生千対43)2 及び乳児死亡率(出生千対62)2,2 が依然として高いことが主な要因となっている。新生児の死亡原因は、低体重出生、仮死(胎児ジストレス)、黄疸、敗血症などで、乳児の死亡原因は呼吸器感染症、脚気、下痢などがあげられる。これらの死亡率を低減するためには、母子保健サービスを始めとしたプライマリーヘルスケア(基礎保健サービス)3 の拡充が必要である。 また、ミャンマー保健省は、2030年までのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成を戦略として打ち出し、その方針は新政権にも引き継がれ、与党主導のもと、2016年4月にロードマップを策定したところである。その初期段階として、全人口を対象に基礎保健サービスパッケージの無償提供を掲げている。プライマリーヘルスケアの拡充は、サービスの提供体制、質とアクセスの改善をはかることで、UHC達成に向けた基盤となる重要課題である。 ミャンマーにおけるプライマリーヘルスケアの提供体制は、アウトリーチ活動を含む基礎保健サービスを提供する一次施設として、地域保健センター(RHC)、地域補助保健センター(SHC)があり、その上位にタウンシップ内の公衆衛生を統括するタウンシップ保健局、州・地域公衆衛生局が位置づけられている。他方、医療サービス (病院機能)は、外来医療サービスのほか入院機能をもつタウンシップ病院、ステーション病院が一次医療施設、郡病院が二次医療施設(地域によっては配置がない)、 1 The 2014 Myanmar Housing and Population Census 2 5歳未満児死亡率のうち、1歳未満の死亡率が乳児死亡率。乳児死亡率のうち、生後28日未満の死亡率が新生児死亡率。5歳未満児死亡率に乳児死亡率が含まれ、乳児死亡率には新生児死亡率が含まれる。
調査の背景. 新型コロナウイルス感染症(COVID19)への対策、経済への急激な悪影響に対し、短期的な協力を進める必要がある一方、COVID19 の影響は長期間にわたる可能性があり、COVID19 との共存を強いられる可能性が指摘されている。そのため、遠隔授業や日本の給付金の受領手続きのように、先進国を含む世界各国で人との接触を極力避けつつ、必要な公共、民間サービスを、個人個人が確実に受けられることが求められている。 エストニアでは公共サービスを電子化することで、公正な選挙の実施、納税率向上、公共身分証明による経済活動(銀行口座開設、就職、住宅賃貸・購入等)、予防接種等の乳幼児ケア及び義務教 育、汚職防止、治安向上等を実現している。また、日本でもマイナンバーが導入されたが、今回のコロナ禍での現金給付において個人に確実に公的な補助をとどけるうえで、より根本的な国民ID制度整備への期待も高まりつつある。国民IDを整備することは国民の基本的人権を保障し、「人間の安全保障」を推進する、国家及び国民の双方にとって根本的に必要な重要インフラである 。 この問題に対応すべく、2014 年に世界銀行を事務局にして Identification for Development Initiative(以下、「ID4D」)が立ち上がり、途上国における国民 ID に関する情報収集や導入支援、アドバイザリーなどの活動が行われている。ID4D では、国民 ID の導入は SDGs ゴール 16.9 (「2030 年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。」)の達成はもちろんのこと、その他多くのゴールの達成に大いに貢献し得ると位置づけている。 JICA でも 2019 年度に「アフリカ地域におけるデジタル技術を活用した国民 ID システム導入推進にかかる情報収集・確認調査(一般競争入札(総合評価落札方式))」がセネガル、ザンビアを対象に実施され、国民 ID にかかる今後の方策が検討されている。また、ウクライナにおいても「行政サービス向上に向けた電子政府の実現に係る情報収集・確認調査」において同国の国民 ID デジタル化に関連した支援検討に資する調査を実施中である。また、2019 年度に立ち上がった機構理事長発案のデジタルトランスフォーメーション(DX)タスクにおいて電子政府・国民 ID のサブタスクが設置さ れ、本分野における JICA の支援方策が検討されている。 他方、上記のようなサービスを実現するうえで、アフリカのサブサハラ各国により状況が異なっていると考えられ、国民 ID の整備状況のみならず、インターネット等のインフラの整備状況、当該分野を担う人材、手続き等、様々な情報が不足している。具体的には、商業法整備や ICT 人材のような基礎的な環境が整っていない国、ブロードバンド・インターネット、データセンターのような基本インフラが整っていない国、中央政府の電子情報プラットフォームが整っていない国、各種公共サービスのデジタル化が進んでいない国、国民ID の付与が十分でない国等、状況は様々であると推察される。 また、各国での当該分野にかかるドナー、及び民間企業の進出状況も異なっていると考えられ、日本としてデータの共有をどのように行うべきか等課題も多い。これらの課題を踏まえたうえで、適切なアプローチ、連携先を検討する必要がある。 上記を踏まえ、本件対象各国における公共サービスのデジタル化にかかる現況につき、ID4D 等による先行調査結果を十分に踏まえた上で、人材、法制度、インフラ等も含め包括的に最新状況を調査 し、当該分野における将来的なJICA 事業実施を目途とした対象国ごとの支援方針策定に資する基本的な情報収集を行う。