Common use of 判決の要旨 Clause in Contracts

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した。 (錯誤無効) 賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない。 本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできない。 そうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできない。 (説明義務違反による損賠賠償義務) 本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りない。 次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却する。

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Samples: 賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した裁判所は、次のとおり判示し、Yの抗告を棄却した(錯誤無効) 賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない吸収分割は、株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることであり、吸収分割会社と、吸収分割承継会社との間で締結される吸収分割契約の定めに従い、吸収分割承継会社が吸収分割会社の権利義務を承継する。本件において、本件事業に関する権利義務等は、本件吸収分割により、YからAに承継される本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできないしかしながら、本件契約においては、Xと Yとの間で、本件建物が他の用途に転用することが困難であること及び本件契約が20年継続することを前提にXが本件建物の建築資金を支出する旨が合意されていたものであり、 Xは、長期にわたってYに本件建物を賃貸し、その賃料によって本件建物の建築費用を回収することを予定していたと解される。Xが、本件契約において、Yによる賃借権の譲渡等を禁止した上で本件解除条項及び本件違約金条項を設け、Yが契約当事者を実質的に変更した場合に、Yに対して本件違約金債権を請求することができることとしたのは、上記の合意を踏まえて、賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえる。そして、Yも、Xの上記のような意図を理解した上で、本件契約を締結したものといえるそうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできないしかるに、Yは、本件解除条項に定められた事由に該当する本件吸収分割をして、Xの同意のないまま、本件事業に関する権利義務 等をAに承継させた。Aは、本件吸収分割の前の資本金が100万円であり、本件吸収分割によって本件違約金債権の額を大幅に下回る額の資産しかYから承継していない。仮に、本件吸収分割の後は、Aのみが本件違約金債権に係る債務を負い、Yは同債務を負わないとすると、本件吸収分割によって、Yは、業績不振の本件事業をAに承継させるとともに同債務を免れるという経済的利益を享受する一方で、Xは、支払能力を欠くことが明らかなAに対してしか本件違約金債権を請求することができないという著しい不利益を受けることになる(説明義務違反による損賠賠償義務) 本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りないさらに、会社法は、吸収分割会社の債権者を保護するために、債権者の異議の規定を設けている(789条)が、本件違約金債権は、本件吸収分割の効力発生後に、Xが本件解除条項に基づき解除の意思表示をすることによって発生するものであるから、Xは、本件違約金債権を有しているとして、Yに対し、本件吸収分割について同条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却する以上によれば、YがXに対し、本件吸収分割がされたことを理由に本件違約金債権に係る債務を負わないと主張することは、信義則に反して許されず、Xは、本件吸収分割の後も、Yに対して同債務の履行を請求することができるというべきである

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Samples: 賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した。 (錯誤無効Y1らによる詐欺行為の有無賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない本件手付条項は、一般的な語義に従うと、 「手付解除期日」と「相手方が本契約の履行に着手する」のいずれかが実現することを期限とするもので、いずれか早い方が期限となると解される本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできないXは、名古屋高等裁判所平成13年3月29日判決が本件手付条項と同一の文言の条項につきXが主張する解釈を採用したと指摘するが、当該判決の解釈は、宅地建物取引業者が売主であるなど、本件とは異なる事情を基礎としているといわざるを得ず、本件手付条項も同様に解釈すべきとは言えないそうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできないまた、Xは、不動産業界団体が作成した売買契約書の書式は、上記判決を契機に改訂されているのに、本件売買契約では改訂前の書式が用いられたことから、上記両者のいずれか遅い方の解釈を採用する意図があったとも主張する。しかし、改訂前の文言をそのように解釈すべきか疑問がある上、書式を採用した経緯が証拠上明らかでないから、直ちにそうした意図があったとは推認し得ない。 Xが本件売買契約の解消を申し出たのは手付解除期日後であったから、本件手付条項に基づいて本件売買契約を解除することはできなかったとみるべきである。 (説明義務違反による損賠賠償義務Y2による誠実義務違反の有無本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りない本件売買契約は、Xが解消を申し出た時点で手付解除し得なかったとみられる。そうすると、手付解除が可能である旨の説明義務が宅地建物取引業者にあるとはいえないのであって、そうした説明義務は生じていない次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却するまた、Y3と転売先との売買契約は、本件売買契約の4週間後に締結されており、その 媒介契約もその頃に締結されたとみられる。そうすると、Y3は、本件売買契約に係る仲介を終えた後にAとの仲介をしたのであって、それぞれの仲介業務が並行して実行されたのでないから、宅建業者Y3がXとAの両方と媒介契約を締結したことが利益相反となるとみるのは相当でない

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Samples: 手付解除に関する契約

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した裁判所は、次の通り判示し、ⅩのYに対する請求を棄却した。 (錯誤無効本件土地が「宅地」に該当するか賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない本件契約が、宅建業法64条の8第1項所定の宅地建物取引業に関する取引に該当するというためには、本件土地が宅建業法2条1号に定められた「宅地」(建物に敷地に供される土地)に該当することを要する本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできないここにいう「建物の敷地に供せられる土地」とは、現に建物の敷地に供せられている土地に限らず、広く建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地(宅地予定地や宅地見込地)を指し、その地目や現況のいかんを問わないものと解される(最一判昭46.6.17)。そして、土地が建物の敷地に供する目的で取 引の対象とされたか否かは、取引当事者の主観的な目的のほか、取引の目的物である土地の周辺の状況、土地の区画割の有無、区画街路や電気・ガス・上下水道の施設の有無、分譲価格等から総合的、客観的に判断するべきであるそうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできないこれを本件についてみると、①本件土地の地目及び現況は山林であり、本件土地は、現に建物の敷地に供せられている土地ではないこと、②本件土地の隣地については、道路と思われる土地に沿って区画割がされているとみる余地はあるものの、隣地のいずれも、現に建物の敷地に供せられてはいないこと、③本件土地は、道路と思われる土地に接していない袋地であり、建物を建築することができない土地であること(建築基準法43条)、④本件土地は、他の土地を経由することなく上下水道、電気、ガス等を引き込むことができない状態であることが認められる。 以上の本件土地及びその周辺の客観的状況に照らし、本件土地は、現に建物の敷地に供せられている土地ではないし、また、直ちに建物の敷地に供する目的で取引の対象とされ得る土地であるとも認められない。 他方、認定事実によれば、本件契約書等には、本件契約が宅地建物取引であることを前提とした記載が複数あることは否定できない。 しかしながら、Xは、本件契約締結当時、本件契約書等の内容について説明を受けておらず、自らも本件契約書等の内容を確認しておらず、本件契約が土地の売買契約であること自体の認識を欠いており、本件契約を「悪質不動産業者に騙されたときの保険」であるとの認識の下、本件契約書等に署名・押印をした事実が認められる。したがって、Ⅹには、本件契約が土地の売買契約であるという認識自体なかったのであるから、本件土地を建物 の敷地に供する目的もなかったことが認められる。一方、売主であるAにおいても、Ⅹに対し、本件土地が建物の敷地に供し得る土地であることを前提とした勧誘を行った形跡はない。 そうすると、本件契約の当事者の主観的な目的においても、本件土地を建物の敷地に供する目的で取引の対象としていたとは認められず、本件土地が「宅地」に該当するとはいえない。 (説明義務違反による損賠賠償義務結論本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りない。 次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却する以上によれば、本件契約の目的物である本件土地が「宅地」(宅建業法2条1号)に該当するとは認められない以上、本件契約が宅建業法64条の8第1項所定の宅地建物取引業に関する取引に該当するとは認められないから、Ⅹは、Yに対し、Aに対する不当利得返還請求権について、認証を請求することはできない

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Samples: 売買契約

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した裁判所は次のように判示し、Xの訴えを一部認容した説明義務 宅地の売買においては、建築基準法上の接道関係は、建替えの可否並びに転売の可否及び転売条件等に大きく影響するものである。そして、Y1、Y2(以下「Yら」という)は、いずれも不動産の売買及び仲介を業とする会社であり、宅建業者であるから、まず、 Y1については、本件売買契約の付随義務として、本件土地の接道状況についてXに対し説明する義務があったと言うべきである。 また、Yらは、宅建業者であり、売主及び仲介を業として本件売買契約に関与したものであるから、宅地建物取引業法35条1項により、それぞれ取引主任者をして、Xに対し接道状況について説明すべき義務を負っていたものである。 本件土地は、接道要件を満たしておらず、建替えが困難な土地である。ところが、まず、本件売買契約書には、この点について何ら記載がなく、むしろ、本件重要事項説明書には、本件土地の「北側が幅約6mの公道に約3m接している」旨記載され、「新築時の制限」としては道路斜線制限等が記載されているのみで、接道要件との関係での建築の制限については全く記載されていなかった。そして、Xは本件路地が共有であることについては説明を受けたものの、本件土地が接道要件を満たしておらず、建替えが困難であることについては説明を受けたことがなかった。 前記によれば、Yらには、Xに対する説明義務違反(本件不法行為)があったことが明 らかであって、Yらは、本件不法行為と相当因果関係にあるXの損害について賠償責任 錯誤無効) 賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない不真正連帯債務)を負うと言うべきである本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできない。 そうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできない。 (説明義務違反による損賠賠償義務) 本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りない。 次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却するЖ Xの損害について Xは、Yらの不法行為によって、本件土地 の接道状況には問題はなく、建替えが可能である旨誤信させられ、本件売買契約を締結し、本件借入れを行った上、本件売買代金及び本件借入れに係る利息金の支払をするに至ったものと認められるから、これらの金員の出捐は、本件不法行為と相当因果関係にある損害と言うべきである

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Samples: 契約に関する説明義務

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した裁判所は、次のとおり判示した(錯誤無効) 賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではないXは、Y2との間で本件売買契約をめぐる税務指導契約を締結し、Y2はXから本件報酬金の授受にあたり、報酬内訳を税務指導料とする請求書や領収証の取り交わしをしている。しかし、事実経過に照らすと、XがY 2に交付した本件報酬金は、実際には本件売買契約の情報提供したことに対する紹介金や謝礼金といった性質の金員であり、Y2が作成した請求書や領収書において「税務紹介料」の記載があるのは、宅建業法違反のおそれを回避するための名目上のものに過ぎないと認 められるし、XとY2の間に税務指導契約締結の事実は認められないというべきである本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできないЖ 本件報酬金は、前記のとおり、Y2の税理士としての業務に支払われたものではないから、本来所得税法204条1項2号の源泉徴収対象となるべき報酬に該当するものとはいえない。したがって、本来であれば、Xにはその源泉徴収義務はなかったことになるから、Y2が、Xに対し、かかる義務の存在を説明すべき法的義務を負うということもできないそうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできない€ Y1は、宅建業者としてXとの間で媒介の契約を締結したに過ぎないし、もともと宅建業者たるY1において、その重要事項説明の内容として、Xが負担すべき税金の内容や金額、源泉徴収義務の存否等についてまで、これを調査、報告すべき義務を負うものではない(説明義務違反による損賠賠償義務) 本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りない税務指導料名目の報酬は、税理士としての業務に関する報酬ではなく、本来であれば Xにその源泉徴収義務はないが、税務署において、これを税理士としての報酬として源泉徴収義務があると認めたことはやむを得ないし、Xが税務署の指導に従って納付した所得税本税70万円は、Y2のための所得税として納付したものというべきである。とすれば、 XによるY2の所得税の納付は、本来その必要性がないものであっても、これによって同額の損失を被った一方、Y2は、原則として同額相当の所得税の支払義務を免れるという利益を得たものと解するべきである。Y2は自ら確定申告に際し本件報酬も収入として適正に申告していると主張するが、それを裏付ける資料の提出に応じなかったこと等から、 Y2の主張は信用することができない次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの以上によれば、Y1とY2には、もともとXに対し、訴外外国法人に支払われた本件売買代金、またY2に支払われた本件報酬金 につき、Xにその源泉徴収義務があることを告知すべき契約上の義務も、信義則上その他の法律上の義務もないから、これを告知しなかったことが、Y1らの債務不履行又は不法行為となる余地はなく、XのY1らに対する損害賠償請求はいずれも理由がない。しかしXにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却するY2は、Xが本件報酬金支払に伴うY2の所得税を納付した結果として、70万円相当の利益を得たものと解すべきであるから、XのY 2に対する前記70万円及び遅延損害金の支払いを求める不当利得返還請求は、その全部について理由がある

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Samples: 契約に関する説明義務

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した裁判所は次のように判示して、Xの請求を棄却したXは、XがYに委任したのは、Cがb社に、 b社がa社に順次所有権移転することになっている本件土地に本件根抵当権設定登記の登記申請手続をすることであったから、Yには、委任契約上、Cの登記意思を確認する義務があったと主張し、これを前提にして、原判決の認定・判断を批判している。 しかし、原判決が適切に認定した本件の経緯に照らせば、X・Y間で成立していたのは、 a社が取得した後の本件土地にXを権利者とする本件根抵当権設定登記をするための登記申請手続を行うことを内容とする委任契約であったと認められるのであり、本件土地が、 Cからb社へ、b社からa社へと順次売買されて所有権が移転する土地であったことは、上記委任契約成立の背景事情に過ぎなかったものであり、また、Cからb社への所有権移転登記の申請手続に関しては、D司法書士が受任していたのである(所有者本人の登記意思確認について過失があったとすれば、それは同司法書士の責任である)。 そうすると、何らかの特約のない以上は、 XとYの間の本件の委任契約の内容として、 Yが、a社の前々所有者であるCの登記意思 錯誤無効) 賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない本件土地をb社に売却する意思)を確認すること(言い換えれば、C・b社間の売買契 約の有効性を確認すること)が含まれていたということはできないところ、本件では、そのような特約を窺わせるに足りる証拠はない (なお、原判決は、更に進んで、前件の司法書士が作成した本人確認情報について、一見して明白にその適正な作成を疑わせるような事情があるなどの特段の事情の有無についてまで判断しているが、仮にそのような判断が必要であるとの立場をとったとしても、原判決の認定判断に誤りはない)本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできない。 そうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできない。 (説明義務違反による損賠賠償義務) 本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りない。 次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却するく、これらを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却する

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Samples: 連帯保証契約

判決の要旨. 裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した裁判所は次のとおり判示して、Xの請求を棄却した(錯誤無効) 賃貸借契約を締結するか否かの判断に際しては、賃料と面積のみならず、使用目的を念頭においた賃借物件の立地や契約可能な時期及び期間、賃借物件の形状及び状態、駐車場の有無等の諸要素が勘案されるものであり、必ずしも面積の広狭が賃貸借契約を締結する際の主要部分となるものではない認定した事実によれば、次のとおりの事実が認められる。 ア 本件契約書及び本件説明書面については、宅地建物取引業者が、本件賃貸借契約の締結に当たり、本件賃貸借契約が定期建物賃貸借となる旨の説明については、宅地建物取 引業者である有限会社F(以下「F社」という。)が代行して行った旨の記載があるところ、実際には、F社は、本件契約書及び本件説明書面の作成を代行しただけで、本件賃貸借契約の締結には一切関与していない。 イ Xの主張によっても、本件契約書及び本件説明書面に基づいて、本件賃貸借契約が定期建物賃貸借となる旨の説明を行った者は、賃貸人であるX本人ではなく、Xの娘である Aである。 ウ Xの主張に沿うAの供述によれば、旧賃借建物については普通賃貸借であったにもかかわらず、本件賃貸借契約が定期建物賃貸借として新たに締結されることとなるが、これによって生じる借家権喪失を補填しうるだけの経済的合理性、必要性を認めることができない本件賃貸借契約書上、面積はいずれも「約 35坪」と記載され、Xは本件賃貸借契約の締結に際し、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認した上で、月額40万円の賃料にて本件物件を賃借することを決定したものであり、その際にXが本件物件の実際の坪数や坪単価を問題とすることはなく、その後も30年弱の間、本件物件が35坪に満たないことを問 題としたことはなかったのであるから、Xにおいて、本件物件の面積が実際に35坪程度あることが本件賃貸借契約の主要部分であったということはできないすなわち、Yは、本件賃貸借契約の締結は、旧賃借建物から本件建物へ移転に伴うものであったが、この際、Yが受けた経済的給付等の利益は、引越費用,玄関先の塀の改造等とわずかであり(その他の移転補償は受けていない。)、他方で、Aにおいても、Yからの申し出があれば、普通賃貸借による条件でも応じたと供述していることからすると、本件賃貸借契約を定期建物賃貸借に該当すると解すべき経済的条件を欠いている。 エ Xが、本件賃貸借契約が定期建物賃貸借に該当することを前提にして行った平成25年 7月31日付け書面による定期建物賃貸借の終了通知は、同日に生じたYとAとの間の紛争と前後してなされているそうすると、本件物件の実際の面積は本件駐車スペースを含めても約28坪であり、契約面積の約35坪には満たないものの、当該事実をもってXに要素の錯誤があったと認めることはできないAは、上記紛争との関連性を否定する供述をするものの、上記終了通知は、上記同日よりも前に行うことが可能である上、終了通知可能期限内に到達したことが確認し難い平成 25年7月31日にあえて行うことは考えがたいことからすると、Aの供述には疑問がある(説明義務違反による損賠賠償義務) 本件賃貸借契約締結時に本件物件の契約面積が約35坪とされた経緯は明らかではなく、故意による虚偽告知がされたものとは認めるに足りないオ Yが、本件契約書及び本件説明書面にした署名・押印行為について、本件建物への移転居住が新築建物への再入居を前提にした書面である旨を誤信した旨の主張については、これを裏付ける証拠はY本人の供述以外にない。しかしながら、再入居の約定違背に関するYの不満は、本件訴訟提起前の段階の公開質問状にも記載されており、Yの供述には一貫性が認められる次に、Xは、本件物件を内覧してその広さや状態等を確認し、本件物件の現況を受け入れた上で、本件賃貸借契約を締結したものであり、契約面積は約35坪とされているものの、 Xにおいて本件物件の実際の面積が35坪程度あることが賃貸借契約における主要な部分であるということはできないことは前記で説示したとおりである。 このような本件賃貸借契約における各事情を踏まえると、Yにおいて、Xに対し、契約面積は約35坪となっているものの、実際の面積はそれよりも狭いという事実を説明すべき信義則上の義務を負うものと直ちにいうことはできないし、少なくとも、上記義務違反によりXに不足面積分の賃料相当額の損害が生じたといえる関係にもない。 以上のとおり、Yには、Xが主張する説明義務違反は認められない上、Xに上記説明義務違反と相当因果関係のある損害が生じたということもできないから、YがXに対し、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償義務を負うとはいえない。 よって、Xの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却する以上に説示したことに加え、定期建物賃貸借契約については、当該契約に係る賃貸借契約は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、法38条所定の厳格な書面性を要すると解される最高裁判例(最一判・平成24年9月13日民集66巻9号3263号 RETIO88-108参照)に照らすと、前記ア及びイの要式性等の不備を看過しえないばかりか、さらに、前記ウないしオの事実を併せ考慮すると、本件賃貸借契約は、定期建物賃貸借であると解することはできない

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Samples: 賃貸借予約契約