Common use of 判決の要旨 Clause in Contracts

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した。 盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる。 盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない。 盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない。 眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある。

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Samples: 建物賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は以下のとおり判示して、Xの請求及びYの反訴請求いずれも棄却した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる●争点1(賃貸借契約が成立したか否か。)盧 確かに、Xは、平成20年10月8日のYからの407万円の送金によって、本件賃貸借契約が成立したとの認識であったと考えられる。 盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないしかし、賃貸借契約については、いったん契約が締結されるとその関係が一定期間継続していくものであり、特に、正規賃料が月額407万円であること、12か月間の固定契約で中途解約が認められないことなど、重要かつ責任重大な内容が規定されている。このような契約については、成立に関して、XとYとの間の強固な合意があったと認められる場合にして初めて成立するものと解すべきである盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはないが事前に本件賃貸借契約書やその案がYへ示されたことはなく、Yは本件賃貸借契約書に署名捺印をしなかった。また、Xからの書面には本件物件確保には契約書に署名の上、初期契約金の支払いが必要であると記載されており、保証金は初期契約金の一部に過ぎず、 Yによる保証金407万円の送金が本件賃貸借契約締結の意思表示であったとは認めがたい眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある蘯 従って、Yには、本件賃貸借契約を締結する意思も行為もなかったと言わざるを得ず、XY間で本件賃貸借契約を成立させるとの強固な合意があったとは認められない。 ●争点2(Yに契約締結上の過失があるか。)盧 確かに、XとYとの間の平成20年9月30日から同年10月10日までの本件物件の賃貸借についての交渉の経過や、XとYの具体的言動をみると、本件賃貸借契約の成立へ向けて XとYとの間では、信頼関係が築かれつつあったといえなくもない。 盪 しかし、Xの事業や営業方法のあり方、本件見積書の有効期限が2週間という短期間で設定されていたこと、YがXに対して他の物件も検討していることを明らかにしていたことなどから、XY間に信頼関係が築かれ、契約締結交渉の成熟度が高くなっており、信義則上の注意義務が発生したと認めるまでには至っていなかったのであり、Yが本件賃貸借契約の締結を一方的に拒絶したとしても、 Yには契約締結上の過失が認められない。 ●争点3(Yの反訴請求:407万円の返還請求の可否/Xによる不法行為の成否) 盧 YがXに対し407万円を送金したとき、 XY間で、本件物件を一時押さえ、あるいは、仮押さえするためであるとの合意があったとは認められず、本件賃貸借契約が成立しなかった場合、407万円が返還されるとの合意は少なくともなかったというべきである

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Samples: 建物賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は次のとおり判示し、Xの請求の一部を認容した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる(賃貸人の修繕義務について) 本件事故の後は、浴室内の外にある冷蔵庫まで汚水が付着したことが認められ、2度目の事故の後は、ユニットバスから溢れ出たと思われる排水が室内全体に広がっている状態で居室内の大部分にわたって浸水したことが認められ、Yは、少なくとも本件居室のクリーニング義務を負うというべきである盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない修繕義務については、民法606条の解釈として、経済的ないし取引上の観点からみて不能な場合に修繕義務はないと解される。しかし、Yが代表である管理組合は、調査会社に調査を依頼し、平成29年8月15日に高圧洗浄により錆ゴミの除去を行い、その後、共用の排水管工事が行われたことから、修繕が不能 な場合に当たるとはいえない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはないまた、賃貸人は、賃貸借契約に基づき、賃借人に賃貸借契約の目的物を使用収益させる債務を負っており、その債務を履行できない場合には損害賠償義務を負う。その場合に、賃貸借契約の目的物とは別の同種、同等の代替物を使用収益させる義務まで負うとはいえないため、Yは、仮住まいの手配すべき債務を負うとはいえない眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある(賃借人の損害について) 本件居室は、本件事故の後には居住に適した状態になかったこと、すなわち、その使用収益が社会通念上全面的に不能となっていたこと、それにもかかわらず、Yがクリーニング義務を怠った上、Yが支払い義務を負うXの仮住まい費用について、平成29年10月分以降の支払いを拒絶するなど、Xは転居せざるを得なくなったことから、平成29年10月28日、賃料1か月8万6324円の新居に転居したことが認められる。Xは、平成22年から本件居室に居住していたことから、本件事故がなければ、その後も相当の期間にわたって本件居室に居住していたことが推認できる。よって、 Xが請求する新家賃の差額については、Yの債務不履行と相当因果関係のある損害である。さらに、Xは、転居に当たり、礼金、仲介手数料、保証料等を支出したことが認められ、これらもYの債務不履行と相当因果関係のある損害である。Yは、Xの転居先が上質であることから、家賃の差額について債務不履行と因果関係のない損害であると主張するが、証拠によれば、本件居室と大差のない、ほぼ同等の物件である。転居費用についても、単身の転居のため、より低額の転居費で転居できたなどと主張するが、転居作業を依頼した引越し業者は大手であり、その費用が不相当に高額であると認める証拠もないため、Yの主張は採用できない

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判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、次のように判示して、Xの請求を認容した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できるの提出もないため、Xが主張する、あたかも確実に所有権を取得できるかのように振る舞い、Xを欺罔したとの請求原因事実を自白したものとみなし、Y2は詐欺による不法行為に基づく損害賠償を支払うべき義務を負うが、Y1の詐欺による共同不法行為責任については、売買契約の当事者はY2とXであり、 Y1がXを直接欺罔したとは認められず、XのY1に対する請求については理由がない盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない取引当事者に、別件訴訟等について伝えるべき一般的な告知義務があると解することは、 Y1に不可能を強いるものと言える。しかし、 Y1は、いわゆる不動産業者であり、また、損失の回収についても、Cへ担保責任等を追及せず、本物件を流通させることの危険性を十分認識したにもかかわらず、売買により危険を創出したといえる。また、Xへの直接移転登記に必要な手続もしており、X、Y1、 Y2は本物件取引において相互に密接な関係にあったといえる盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはないそして、Y1は、遅くとも決済時点までに本物件がXに売却されることを認識し、その際、Y2が別件訴訟の存在及び経過をXに告げず、あたかもXに確実に所有権を取得できるかのように振る舞い、Xを欺罔したことを 現認したにもかかわらず、同決済において終始無言で何らの措置もとらなかった眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある。このような事情下では、Y1は、Xに対し、別件訴訟に敗訴し、今後所有権を喪失する可能性があることを告知すべき信義則上の義務を負っていたと認められるが、Y1は、Xに何らの告知もしなかったのであるから、同義務に違反した過失があると認められ、Xの Y1に対する主張には理由がある。 以上、Y2には詐欺による、また、Y1には信義則上の告知義務違反による不法行為が成立し、これらは決済現場で共同して行われたことから、Y1らは、連帯してXの損害を賠償すべき義務を負うと認められる。 そして、Xは、Y2らから別件訴訟に敗訴しており、今後所有権を喪失する可能性があるとの告知を受けていれば、本件売買契約を締結しなかったと認められるため、Xは、支払代金1200万円相当と、Y1らの共同不法行為と相当因果関係のある弁護士費用120万円を損害と認めるのが相当である。 う必要がある。 老人ホーム建設用地として造成地を取得した買主が、地中に多数の転石があったとして、売主に対して工事費増額分とこれらの処分費等の支払いを求めた事案において、売主からの重要事項説明書の記載からもこれらの存在の可能性は明らかであるとして、請求が棄却された事例(東京地裁 平成29年10月20日判決 棄却 ウエストロー・ジャパン)

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判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は次のように判示して、Xの請求を全て棄却し、Yの請求を認容した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる容になっていたことは、当事者間に争いがないところ、Xの主張は、Yが本件媒介契約の趣旨に沿うようにスケジュールやAの考えに即して司法書士を紹介することにつきるとい える。そうすると、結局当事者間に争いがない範囲を超えて、YがAに対して法人設立登記を手配することを了承したか否かは問題とならない。認定事実によれば、平成26年10月、 YはAに対し司法書士を紹介している。また、 Aの買主の立場を承継する法人とはどのような形態が望ましいのかは、証拠上不詳といわざるをえない。これらを踏まえると、Yの対応が法人設立手続に関する合意に反したとまで認めるに足りる証拠はない盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない証拠からすれば、本件売買契約書及び重要事項説明書以外の書面までYが翻訳を了承していたとはいえない。本件売買契約書及び重要事項説明書については、YがXにその翻訳を提供したことは認められるが、その他、Yの対応が翻訳業務に関する合意に反したとまで認めるに足りる証拠はない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない一般に、不動産仲介業者であるYが、委託者であるAないしXに対し、善良な管理者の注意義務をもって誠実に業務を処理する義務を負うということはできる。認定事実によれば、Aは本件建物の売買契約の当日、入居保証や礼金の帰属等について説明を受けたことが認められ、Yの対応が善管注意義務に反したとまで認めるに足りる証拠はない眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由があるこれらについては、対応する損害の主張がないため判断しない。 Xは、「売買代金全額をBに支払うと同時に、Yに対し本件媒介契約報酬の残金を支払うためYの代表者に連絡をとったがつながらなかった、Xは弁済の提供をしている」と主張するが、XがYに報酬残金を現実に提供したことを認めるに足りる証拠はない

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判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を全て認容した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる(違約金免除の合意の有無) Yは、①Yの違約金支払いの定めのない本 RETIO. NO.118 2020 年夏号 合意書案をXから受領していたこと、②Xと Yの間で本協定書が締結されたこと、からYの違約金支払い免除についての合意があったと主張する盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないたしかに、XからYに本合意書案が送付されたことは認められる。しかしながら、これはあくまでも手付金返還の交渉段階でのXからYへの提案に過ぎないもので、X内部の承認手続も行われていないものであり、Yも認めるとおり、両者で最終合意に至ったものではない。事実、その後、XはYに対して違約金の支払いを求めるに至っている。そうすると、本合意書案の送付があったことをもって、 XとYの間で本契約の違約金支払い免除の合意があったと推認することはできない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない。 眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由があるまた、本件土地の引渡しが困難になった局面において、本件代替地についての交渉が行われていたことは窺われるが、本協定書に署名のあるBは、Xの親会社の取締役でしかなく、Xの代表権や本協定書の締結権限を有していたと認めることはできない。むしろ、本協定書の作成日である平成29年5月25日の直後である同月31日に、XはYに対して違約金の支払いを求めたことからすれば、本協定書の締結がXの意志によるものであったかも疑問である。なお、仮に本協定書が有効に締結されていたものであったとしても、本協定書締結後にX内部の承認を経て、Yとの正式な売買契約を締結することが予定されていたこと、本件代替地の売買契約締結には至っていないことからすれば、本協定書の締結によって直ちに本件代替地の売買契約の効果が認められるものでもないし、ましてや本契約の違約金の支払い免除について合意されたとみることもできない

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判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した一部破棄差戻し、一部破棄自判、一部却下(注2)盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる原審判決が、「本件契約が建物賃貸借契約に当たり、これに借地借家法の適用があるという以上、特段の事情のない限り、賃料増減額請求に関する同法32条も本件契約に適用があるというべきである盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない本件契約には賃料保証特約が存し、Xの前記賃料減額請求は、同特約による保証賃料額からの減額を求めるものである。借地借家法32条1項は、強行法規であって、賃料保証特約によってその適用を排除することができないものであるから(最高裁昭和28年(オ)第8 61号同31年5月15日第三小法廷判決・民集10巻5号496頁、最高裁昭和54年 (オ)第593号同56年4月20日第二小法廷判決・民集35巻3号656頁参照),Xは、本件契約に賃料保証特約が存することをもって直ちに保証賃料額からの減額請求を否定されることはない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない。 眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由があるところで,本件契約は、不動産賃貸業等を営む会社であるXが、土地所有者であるYの建築したビルにおいて転貸事業を行うことを目的とし、Yに対し一定期間の賃料保証を約し, Yにおいて,この賃料保証等を前提とする収支予測の下に多額の銀行融資を受けてビルを建築した上で締結されたものであり、いわゆるサブリース契約と称されるものの一つである。そして、本件契約は,Xの転貸事業の一部を構成するものであり、それ自体が経済取引であるとみることができるものであり,また、本件契約における賃料保証は、YがXの転貸事業のために多額の資本投下をする前提となったものであって、本件契約の基礎となったものということができる。しかし,このような事情は、本件契約に借地借家法32条が適用されないとする特段の事情ということはできない。また、本件契約に転貸借承継合意が存することによって、Yが解約の自由を有するということはできないし,仮に賃貸人が解約の自由を有するとしても、賃借人の賃料減額請求権の行使が排斥されるということもできない。ただし、賃料減額請求の当否や相当賃料額を判断するに当たっては,賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情を総合考慮すべきであり、特に本件契約においては、上記の賃料保証特約の存在や保証賃料額が決定された事情をも考慮すべきである

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Samples: X(原告

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は次のように判示して、Xの請求を棄却し、訴訟費用は全額Xの負担とした盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる締結の1週間前に行った重要事項説明の際に、Xに交付した重要事項説明書の特記事項欄には杭工法や地質についての記載があり、口頭によりこれを読み上げることにより、本件土地の地盤に岩が存在するために特定の工法が必要となったり、本件土地の地中埋設物としての岩の存在により土の入れ替えを含む特別な処理が必要となる場合があることを説明していたことは明らかである盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないそして、この重要事項説明の際はもとより、本件売買契約の締結に至るまでの間に、Xから、杭工法や地質に関する質問がなされたり、追加資料の提出を求めることはなかったから、本件土地の地盤、地質等について重要事項説明書に記載されたところと異なる説明をあえてYがしたとも認められない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない以上のような事情を総合すれば、Yに信義則上の説明義務違反があったとはいえない眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由があるなお、YがXに本件土地についての杭工法、地盤、地質等について、重要事項説明書の記載以上の具体的な説明を行うことがなかったとしても、土木や建築工事の専門家でないXにその詳細を説明する必要性や実益があったとはいえない(Xから本件建物の新築工事を請け負う工事担当業者において、上記重要事項説明書の記載を契機として、Yに問い合わせたり、自ら調査したりすれば足りる。)から、上記判断は何ら左右されない。 上記⑴で判示したところによれば、Xは、 Yから本件売買契約の締結に先立つ重要事項説明を受けた際に、本件土地の地中埋設物と しての岩の存在可能性についても説明を受けたことにより、本件転石の存在を容易に予見することができたことは明らかであるから、 Xが本件転石の存在につき善意であったとしても、Xには過失があったというべきである。そうすると、仮に本件転石が「瑕疵」に当たる余地があるとしても(本件請負契約における工期の延長や代金額の増額の原因が、本件転石ではなく、本件土地の支持基盤の急傾斜を十分検討していなかったAにあった可能性を証拠上、否定し得ないため、本件転石が「瑕疵」に当たると断ずるのは相当ではない。)、これを「隠れた」瑕疵ということはできない

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Samples: www.retio.or.jp

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、次の通り判示し、Xらの請求を棄却した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる(まず、X1主張の高圧的または怒りに任せた発言がYにあったとは認められないと判断。その上で、X1は家庭裁判所の許可審判が必要なことを認識していたはずなのに、買主の変更希望を関係者に速やかに伝えることを怠り、決済日直前の切迫した事態を招いたこと、事前にYはBに実印、押印を求めていたことについて触れた上で)、買主の追加変更等の契約の基本的重要事項の変更をする場合、当初の契約書に押印された印鑑と同じ印鑑を使用して、その旨の変更合意書を作成すること、そうした印鑑使用を仲介業者が契約当事者に求めることは、不動産取引上一般的によく認められることであり、社会的合理性も認められる盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないこうした事情を考慮すれば、Yが、本件変更合意書に、本件売買契約書で使用したのと同じ実印の押印を要求したこと、同日中にY側でその内容を確認した上で、売主に発送したいと考え、その旨をX1に要求したことが、直ちに不合理とは言えない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはないそして、X1は、本件変更合意書に対する Yの上記方針を容認し、これを了承して協力したものと認められる。そして、押印に関するX1の行動が、X1の意思活動の自由が違法な強要と評価されるほど制約されたとは認められない。…かかる自らの選択した行動に不満が残ったとしても、それをもって直ちに意思活動の自由の違法な制約(意思決定権の侵害)があったとは認められない。違法評価は客観的になされるべきものであり、…自らの主観的な自由意思のままで行われない場合を捉えて、直ちに意思活動の自由の侵害として違法評価を受けるとすることはない眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある売買残代金等の振込手数料は、弁済の費用として別段の意思表示のない限り、代金支払 債務を負う債務者である買主が負担すると考えることは一般的である(民法485条本文)。また、…売主側の仲介業者において、売主が表明する合理的な意向に逆らって、買主の利益のために行動し、買主の利益を守るために売主を説得するまでの義務は認められない。 …そしてX1は、Yから強要されることなく自らの意思で本件振込手数料を負担したものである

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Samples: X社(原告)は、a社(宅建業者

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、次のとおり判示した。 盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる原判決にある「事実及び理由」を引用して、AとYとは内縁関係にあったものと判断する。 盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないYは、Aとの間でYが死亡するまで本件建物を無償で使用できる旨の使用貸借契約を黙示的に締結した旨主張する。YがAの愛人、内縁の妻として40年もの長きにわたりAに尽くし、十分に経済的な基盤も有しない状態であったから、Aが行く末を案じ住処を確保してやりたいと考えることは極めて自然なことである。そして、Aは、平成16年頃Xをわざわざ本件建物に呼び出し、同行したXの夫や Y及びYの兄夫婦の前で、Xに対し、Aにもしものことがあったら、Yに本件建物をやり、そこに死ぬまでそのまま住まわせて、1500万円を渡してほしい旨申し渡していること等から、AがYを死ぬまで無償で本件建物に住み続けさせる意思を有していたものと優に認めることができ、他方、Yにおいても、そのようなAの意向を拒否する理由は全くないと認められるとして、本件の申渡しのあった平成 16年頃には、AとYとの間で、黙示的に、Y 主張の使用貸借契約が成立していたものと認めるのが相当である。 蘯 これに対し、Xは、本件使用貸借の契約成立を否認し、その理由として、Aが本件建物をYに遺贈したり、Yへの所有権移転登記もせず、本件建物の占有権限に係る契約書等の書面も何ら作成していないことを指摘する。確かに本件使用貸借契約を書面化することは行われていないものの、AとYが親密な関係にあったことからすると、あえて書面化までしないことは十分考えられる。そして、 Aは自身の意向をX側に何回も伝えており、 XもAの意向を認識していたから、Aが、Xとの関係でも、Yによる死亡までの使用貸借の限りでは、あえて書面化まで必要であると考えていなかったとしても、格別不合理ではない。また、Aが生前Yに本件建物の登記名義を移転したり、これを遺贈しなかったことは、AがXにも一人娘として愛情を抱いていたため、Yが死ぬまで本件建物をその住処と承諾する反面、本件建物の所有権まではYに移転せず、いずれYの死亡した段階でXに本件建物の完全な所有権を取得させたい意向を有し、AなりにXとYとの間の本件建物を巡る利害関係を調整した結果であるとみることができる。よって、Xが指摘する上記事実が、前記盪の認定を左右するものではない。 以上によると、Yは本件建物について本件使用貸借契約に基づく占有権限を有するから、XのYに対する本件建物の明渡請求及び賃料相当損害金請求は、いずれも理由がないため棄却する。 盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない。 眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由があるYはAの預金口座から金員(800万円)の払い戻しを行い、その払戻金を取得する権限を有していた。よって、XからのYについての不法行為及び不当利得に基づく請求はいずれも理由がないため棄却する

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Samples: 建物賃貸借契約

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、次の通り判示して、Ⅹの請求を棄却した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる本件登記手続等の不履行は、Yらではなく、 A社らの違法行為によりもたらされたものであり、第三者の行為による債務不履行といえる。そして、第三者の行為であって、債務者に予見可能性及び結果回避可能性がない場合は、その債務不履行責任を債務者に帰責することはできないものと解される盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない本件登記手続については、不動産登記法23条2項に基づく旧住所宛の通知は、移転先の住所に転送されないように転送不可の取扱いによる郵便によって行われるので、登記簿記載の旧住所に送付された郵便は、移転先の住所に転送されることはないから、その郵便を Y2は受け取ることは出来ず、Yらには、本件登記の予見可能性及び結果回避可能性は認められない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはないYらは、A社等への登記手続が判明した後、直ちに本件不動産の処分禁止仮処分申立てをしたが、Yらが法的手続を通じて、本件売買契約の引渡日ないしXが催告した期限までに本件不動産の移転登記手続を履行するのは不可能であったことが認められる眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある。Xが、決済日が経過した後に、Yらの所有権移転登記手続抹消請求訴訟の結果を待たずして、Yらに債務の履行を催告した上で、本件売買契約を解除することも、契約の拘束からの早期離脱として許容されると解されるが、Yらが所有権移転登記手続を期限までになすことが不可能であった以上、Yらの引渡義務の不履行についての善管注意義務違反は、上記のXの履行催告を満たすことができないという結果には影響が及ばず、よって、本件売買契約の債務不履行について、Yらに帰責性を認めることはできないので、Xの違 約金の請求は認められない。 も理由がないから棄却する。 も珍しい。 しかし、本件判示のとおり、第三者の行為であって、債務者に予見可能性・結果回避可能性がない場合は、債務不履行責任を債務者に帰責することはできないのであって、協議によって、決済日を延長する合意を行うか、契約を合意解除するか、あるいは、売買契約書の危険負担の条項を類推適用して合意解除とするのが、信義則に則った適切な対応ではなかったかと思われる。 新築分譲マンションの買主が、売主の平置駐車場の提供義務違反、オプション工事等の履行不完全により契約を解除したとして、手付金の返還と違約金の支払いを売主に求めた事案において、売主に売買契約に違反する債務不履行はなく、残代金支払いを拒絶した買主に対する売主の違約解除は相当であるとして、買主の請求を棄却した事例(東京地裁平成29年9月5日判決 棄却 ウエストロー・ジャパン)

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Samples: www.retio.or.jp

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容したAとX社との間で、Aの勤務シフトについて、本件排便障害等を理由として勤務配慮を行うことが労働契約1における労働条件として黙示的に合意されていたと認めるのが相当である盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる• X社が会社分割に当たって行った手続は、Y社に承継される自動車運送事業に主として従事する労働者であるAに対し、(略)X社との間の従前の労働契約をそのままY社に承継させるという選択肢はなく、そのような選択が可能であるとの説明もなかった盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえない本件分割契約では、X社が自動車運送事業に主として従事する労働者と締結した労働契約はいずれも Y社に承継されないこととされたが、X社は、Aに対し、承継法2条1項所定の通知の手続を行わず、本件労働契約1がY社に承継されないことについて同法4条1項に基づく異議を申し出る機会があることを知らせなかった盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない労働契約承継法上、通知義務の規定(同法第2条第1項)に例外規定はないから、転籍に係る同意が 得られたからといって上記通知等の手続の省略が当然に許されるものとは解されない。しかも、本件会社分割に際してX社が行った上記手続は、(略)労働契約1がそのままY社に承継され得ることについてAに一切説明せず、そのような承継の利益をAに意識させないまま、形式的に個別に転籍の同意を得て、異議の申出の前提となる同法所定の通知の手続を省略し、本来会社分割の際に同法によって保障されているはずの、本件労働契約1がそのままAに承継されるというAの利益を一方的に奪ったものというべきである眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある以上によれば、(略)本件同意書を提出させることによってX社との間で本件労働契約1を合意解約させてX社から退職させ、Y社との間で本件労働契約2を締結させてY社に転籍させるという手続は、同法によって保障された、本件労働契約1がそのままY社に承継されるというAの利益を一方的に奪うものであり、同法の趣旨を潜脱するものといわざるを得ない。したがって、本件労働契約1の合意解約及び本件労働契約2は、いずれも公序良俗に反し無効と解するのが相当である。 • 承継法2条1項所定の通知がなされず、その結果、適法な異議申出を行う機会が失われた場合には、当該労働者は、適法な異議申出が行われた場合と同様の効果を主張することができるというべきである。したがって、AがX社との間で締結していた本件労働契約1は、Aが適法に同項所定の異議申出を行っ た場合と同様に、そのまま承継会社であるY社に承継されるというべきである(同法4条4項)。 • 上記同意による勤務配慮に係る労働条件の不利益変更は、公序良俗に反し無効と解するのが相当である。したがって、本件労働契約1における本件勤務配慮に係る合意は、上記Aの同意によっては変更されない

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Samples: www.mhlw.go.jp

判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、Y1・Y2による着服横領の事実を認定し、Y1・Y2に対して連帯して1億9691万円余の損害賠償義務を認め、Y3については、次のように判示して、Y1・Y2と連帯して1022万円余の範囲で損害賠償義務を負うと判決した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる(媒介業者Y3の責任) 本件各売買契約上、A宗代表役員の承認が停止条件とされており、本件各売買が宗教法人であるXの財産処分である以上、Xの媒介業者であるY3は、上記停止条件の成否はも とより、公告や責任役員会の議決の有無についても確認する義務があったと解される盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないY3は、本件土地の所有者はXではなく Y1個人であると聞かされていたため、宗教法人法等の手続は不要と考えていたと主張するが、本件土地の所有者がいずれもXであることは全部事項証明書から明らかであり、本件各売買契約が売主をXとして締結されていることは、Y3が媒介業者として押印した本件各売買契約書から明らかであって、Y3が本件土地の所有者を誤信していたとは考えられない盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはないまた、本件各売買の売買契約書には、A宗代表役員の承認を条件とする旨が明記されていることなどからすると、Y3が本件土地の売却のために宗教法人法等の手続が必要であることを知らなかったとは考えられない眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある。Y3は、媒介業者として、本件土地売却の打合せに出席し、本件工事申請書及び本件議事録を作成し、A宗からの不備返却後、これにY2が追記した際にも同席していることからすると、上記記載及び追記の際、本件各売買がA宗代表役員の承認や責任役員会の議決を経ていないにもかかわらずこれらの手続が執られているかのような形式が整えられたことを認識していたと認められる。 したがって、Y3は、Xの媒介業者として、宗教法人法及び本件規則に定める手続を経ていない本件土地売却の仲介行為をしてはならない義務を負っていたにもかかわらず、上記義務に違反したと認められる。 (Y3の責任額) Y1・Y2の着服横領は本件売買後の事情 であり、宗教法人等の手続を経ない財産処分であれば、通常、宗教法人の代表者らによる着服横領が行われることを予見できたとまではいえず、特別損害といわざるを得ない。したがって、Y3の債務不履行又は不法行為と

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判決の要旨. 裁判所は、次のとおり判示し、Xの請求を認容した裁判所は、次のように判示し、原判決を破棄し、第1審判決を取り消し、Yの請求を棄却した盧 本件建物が一軒家であることは当事者間 に争いがないが、室内で犬猫等の小動物を飼育させるかどうかについては賃貸人、賃借人双方にとって重要な利害があることは常識の範囲に属するものであるところ、建物賃貸借契約書にも小動物の飼育が禁止されていることが明記されていることが明らかであること、Y自身もその嘆願書において、契約時に口頭及び契約書でペット飼育が禁止されている旨告知されていたことを認め、契約違反であるのは確実であり、犬猫ではなく散歩の必要もないので大きな問題になることはないと考えてフェネックギツネの飼育を続けたことを自認していたこと、Xの本件飼育行為停止の要望を聞き入れずにフェネックギツネは家族同然であるとしてその後も本件飼育行為を継続したことが明らかであることなどを、信頼関係が破壊されていたことを窺わせる事情として指摘できる期間の定めがある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは、公正証書による等書面によって契約をする場合に限りすることができ(借地借家法38条1項)、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、当該賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについ 物賃貸借に係る契約の締結に先立って、賃借人になろうとする者に対し、契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ、当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず、説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。同条2項は、定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って、賃貸人において、契約書とは別個に、契約の更新がなく期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上、その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると、上記書面の交付を要するか否かについては、契約の締結に至る経緯、契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく、形式的、画一的に取り扱うのが相当である盪 他方、本件建物の賃借人募集パンフレットにはY主張どおり動物飼育禁止の条件は記載されていないことが認められる。しかしながら、Yが主張し、述べるところによっても、契約時に動物飼育禁止を伝えられ、本件賃貸借契約の締結を見送る機会もあったものの、既に相当額を仲介業者に支払済みであったので、特約を認識しつつも契約書にそのまま署名捺印したというのであるから、Yが本件飼育行為に及んだことを、Xや仲介業者に責任転嫁して、これを正当化することはできない。蘯 また、Yは、本件飼育行為が問題視される前にXにフェネックギツネを見せたことがある旨主張しているが、フェネックギツネを見せたとされるのは本件飼育行為が判明した平成21年6月8日のことであり、Yが本件建物に住み始めたのは同月初旬のことであって、Xとはその際が初対面であったというのであるから、本件飼育行為についてXに説明したことが信頼関係を維持する方向の事情と なるとはいえないしたがって、法38条2項所定の書面は、賃借人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである盻 さらに、Yは、フェネックギツネの特徴や飼育状況等を縷々主張するが、本件における問題は、どのような動物であれば室内で飼育しても差し支えないかという点ではなく、動物飼育禁止特約の下で動物を室内で飼育することそのものの可否の点にある。Yが長年連れ添ってきたフェネックギツネに愛着を有すること自体は理解できるけれども、一連の Yの行動を全体としてみると、Xの指摘に耳を貸さずに、自己の都合のみを優先させることに終始してきたとみるほかはない本件契約書の原案が契約書とは別個独立の書面であるということはできず、他にYがXに書面を交付して説明したことはうかがわれない。なお、Xによる本件定期借家条項の無効の主張が信義則に反するとまで評価し得るような事情があるともうかがわれない眈 本件においては、Xが本件賃貸借契約の停止期限付解除の意思表示をした時点で、本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係が破壊されているというべきであるから、Xの解除の意思表示は有効であり、よって、Xの請求には理由がある。そうすると、本件定期借家条項は無効とい うべきであるから、本件賃貸借は、定期建物賃貸借に当たらず、約定期間の経過後、期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなる(法26条1項)。 借地借家法38条2項所定の書面について、定期賃貸借契約書とは別個独立の書面の作成・交付を要するか否か見解が分かれており、特に、企業同士が営業用の建物を対象に賃貸借契約を締結するような場合にはより緩やかな基準に基づき判断することが相当な事案もあるという見解(平成19年11月29日東京地判・RETIO73-206頁)もあったところであるが、本件は、この問題に対して、賃借人が、当該賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要する旨明確な結論を出した判示であるといえる。 実務上は、国土交通省住宅局の定期賃貸住宅標準契約書の関連で「定期賃貸住宅契約についての説明」という別個独立の説明書の様式が定められており、この運用スタンスに則って対応すべきであることを確認しておく。 また、不動産仲介においては、仲介業者が賃貸人から代理権を授与されている場合、重要事項説明書に、定期建物賃貸借に係る内容の要件を満たしていることを含めていれば、当該書面と認めることができるであろうとの指摘もあるが、より明確な上記対応が望ましいと考えられる。 なお、書面を読み上げただけでは説明したことにはならず、定期建物賃貸借に係る内容を相手方が理解できるようにわかりやすく伝えなければならないことに留意されたい(平成24年3月23日東京地判・判例時報2152号)。 賃料債権の差押債権者が、第三債務者である賃借人に対し、差押債務者である賃貸人との間の賃貸借契約に基づく賃料債権につき、その支払いを求めた事案において、賃貸人が賃借人に賃貸借契約の目的である建物を譲渡したことにより賃貸借契約が終了した以上は、その終了が賃料債権の差押えの効力発生後であっても、特段の事情がない限り、差押債権者は、当該譲渡後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることはできないとされた事例(最高裁 平成24年9月4日判決 一部破棄差戻し・一部上告棄却 金融・商事判例 1400号16頁)

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