まとめ. 本判決では、買主の地位の譲渡契約を締結したものの引渡日までに契約条件である建物取壊し・更地引渡しができなかった事案について、その後、地位の譲渡人と譲受人が、代替物件の売買契約の協議を進める旨の協定書を締結するなどしたとしても、譲渡契約の違約金の免除の合意は推認できないとしたものである。 本件のような買主の地位の譲渡契約だけでなく、売買契約でも、契約の締結後、更地引渡し等の契約債務が履行できなくなり、その代替措置として、当該契約の処理が行われないまま、両当事者で別の売買契約等の検討を進めることもあり得るだろうが、トラブル防止の観点からは、既契約の処理方法を含め、両当事者で誤解の生じないように話し合いを進めることが重要と言えよう。 また、賃借人の立退き以外にも隣地との境界確定のように、売主が第三者と何らかの合意等をすることが売買契約上の売主の義務とされることはあろうが、第三者との合意については、相手がある話であり、売主が真摯に努力しても、必ずしも合意取得ができるとは限らず、これらを売主の義務とする約定で契約する場合、売主はそのリスクを十分認識した上で契約する必要があろう。 (調査研究部主任研究員)
まとめ. 普通建物賃貸借契約のうち、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法附則3条の適用により、借地借家法第38条(定期建物賃貸借)が適用されない契約は、同条の施行日(平成12年3月1日)より前に締結された住居用建物の賃貸借契約であり、本裁判で、賃借人の主張は独自の見解として採用できないとされたものである 他方、住居用の賃貸借契約においては、賃貸人が、賃借人と立退き交渉を行い、隣接する貸主所有建物に転居して貰った上で、定期建物賃貸借契約を交わしたとして、賃借人に建物明渡しを求めた事案において、定期賃貸借契約とは言えないとして請求が棄却された事例(東京地裁 H26・11・20 RETIO100-136)もあるので、参考とされたい。
まとめ. 本件は、居抜き物件における原状回復義務について、賃貸借契約書には「内装、設備を撤去して本件貸室を原状に復し」とだけ記載されていたため、復すべき「原状」の内容を巡って紛争となった事案である。 本判決では、賃貸借契約を巡る経緯等を踏まえ、借主には事務所仕様の内装等に復する義務があると認定しているが、紛争予防の観点からは、契約の段階で回復する原状について具体的に合意し、文書の形で残しておくことが重要である。 (調査研究部主任調整役)
まとめ. 平成 23 年7月 15 日最高裁判決(RETIO83 号 119 頁)により、更新料特約を賃借人が負う金銭的対価に見合う合理的根拠は見出せないとして、消費者契約法 10 条に反するとした事例(平成 21 年8月 27 日 大阪高裁判決 RETIO77 号 114 頁) などが、覆された。本事例の原審は更新料特約そのものは否定せず、高額に過ぎる部分を無効としたものであった。今後、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料特約が有効であるかの判断材料は、「更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特別の事情」があるか否かという点になろう。実務の面からは賃料の何ヶ月分まで等の明確な基準を求める指摘もあるが、本事例においても、「特段の事情」の判断は、賃料額や更新期間に照らした判断の他に、実質賃料・礼金についての物件や立地条件に照らした判断が含まれており、形式的に一律の基準を設けることは困難ではないかと考えられる。 更新料特約付きの賃貸借契約を媒介する場合には、後のトラブルを避けるためにも、賃借人に更新料について十分な説明を尽くしておくべきである。そうすることで、賃借人も、当該物件と他物件とを比較考量し、納得の上契約できるであろう。 賃貸ビルの賃借人が、賃貸人に対し、借地借家法32条1項に基づいて賃料の減額を求め、減額請求後の月額賃料額の確認を求めたところ、原審で棄却されたため控訴した事案において、控訴審においても契約更新時に協議で賃料の改定を行うことができ、契約期間中経済情勢の変動が著しい場合は改定することができる旨の約定を賃料減額事由の有無の考慮事情とすることは許されないものではなく、賃料相場が下落傾向にある状況下で新規契約の場合の相当賃料額を採用すべきともいえないとして、控訴を棄却した事例(東京高裁 平成24年7月19日判決原審 東京地裁 平成24年2月20日判決 ウエストロー・ジャパン)
まとめ. 以上、残置物処理モデル条項を使用した場合の実際の流れに即して、モデル条項で定めている内容を解説してきました。モデル条項はコメントを含めかなり詳細に規定・記載されており、なかなかその内容を読み解くことは難しいかもしれませんが、実際にこれを使用した場合、以上のような流れに従い、契約の終了および残置物の処理をすることができます。 一人暮らしの高齢者の方に賃貸住宅を提供するにあたり、あらかじめ相続人が連帯保証人等になれないようなケースでは、このようなモデル条項を積極的に活用することが期待されます。
まとめ. 本事例の「不動産変換ローン方式」とは、地価上昇局面において地価を顕在化させない土地の処分方法として考えられたものであり、社団法人不動産証券化協会「不動産証券化ハンドブック2004」によるとわが国の実績は国鉄清算事業団のみで5件・総額7,359億円である。本件はやや特殊な事案であるが、様々な形態の賃貸借契約が存在する中で、本判決が示した借地借家法32条1項の適否、保証金運用益の取扱い、適正賃料の算定についての考え方は他の事案の参考になるものと思われる。
まとめ. 7 実施事項は以下の通りとなる。
まとめ. ■ 建設事業の契約とは、スポーツでいえば「競技規則:ルール」。 ■ 競技規則を尊重しない競技はメジャースポーツにはならない。 ■ 発注者、受注者、建設コンサルタントが契約管理意識が希薄な状態で社会基盤整備を進めることは、国民からするとルールを尊重しない集団競技を見せられていることと同じ。 ■ この状態を是正しなければ永遠に国民の信頼が得れない ■ 建設工事の契約管理は契約の知識だけではできない。施工計画、コスト管理、工程管理が論理的にできていないと行えない。 ■ 世界で、法学部に建設契約の講座のある大学はほとんどない。 ■ 他の先進国では契約管理は建設工学で学ぶ。 国際社会では契約管理技術を持たないCivil Engineer はいない。 2022/8/23 Shunji Kusayanagi 48
まとめ. まずは情報システムの「パフォーマンス」の定義や整理が必要だという声が多い。具体的な方法としては、事業モデル(請負、ライセンス、サービス等)ごとにリスク、品質、信頼性、ブランドといった観点で指標を整備していく。
まとめ. ベンダのメリットは、システム品質の向上、バリューへの対価の明確化等が考えられるが、特に開発効率化の追求を始めとするにエンジニアリング面での取組みに対するモチベーションが高まる点が大きい。反面、ベンダのビジネスリスクは増加する可能性もある。