問題の所在 样本条款
問題の所在. 国際的な競争力の源泉として知的財産を中心とした無形資産(1)の重要性が指摘されている(2)なか、企業は無形資産を国際取引としても活用している。実際、我が国の国際的な技術貿易は増加傾向にあり、特に親子会社間取引における技術輸出の比率は高い(3)。 このような事情を背景に、近年「費用分担契約(4)」という形で契約を締結
(1) 無形資産とは、知的財産を含む、より広範な概念である。したがって、厳密には知的財産(Intellectual Property)と無形資産(Intangible Assets)は区別して用いるべきものであるかも知れないが、本稿では、知的財産を含むすべてを総称して無形資産として扱う。
(2) 経済産業省『通商白書 2004~「新たな価値創造経済」へ向けて~』(2004)58 頁以降によると「日米両国においては、有形資産に対する無形資産の比重が近年大きくなっており、このことは従来の有形資産をベースにした企業経営のあり方が大きく変容していることを示唆している。」また、「世界的に企業間競争が激化する中で、①企業は絶えず差異性のある財・サービスを提供することが必要となっていること、そのため、②財・サービスの差異性を生み出す源泉としての知識が重要となっていること、の 2 点を主な理論的背景として、企業経営の基盤が有形資産から知的資産へと変化してきていると理解することができる。」とあり、国際的な競争力の源泉として知的資産の企業経営における比重はかなり高い。
(3) 総務省統計局『科学技術研究調査報告』(2003)24 頁以下によると 2002 年度における企業等の技術貿易(諸外国との特許、ノウハウ等の技術の提供及び受入)について、次のような報告がされている。技術輸出の受取額が 1 兆 3868 億円で過去最高となり、このうち海外の親子会社からの受取額は 9657 億円(受取額全体に占める割合 69.6%)となっている。また、技術輸入の支払額が 5417 億円で、このうち海外の親子会社への支払額は 917億円(支払額全体に占める割合 16.9%)となっている。 技術貿易額を相手国別にみると、受取額、支払額とも米国が最も多く、受取額は 6341億円(受取額全体に占める割合 45.7%)、支払額は 3655 億円(支払額に占める割合 67.5%)となっている。このほか受取額が多い国は、カナダが 1451 億円、中国が 858 億円、イギ リスが 717 億円などとなっている。一方、支払額はフランスが 557 億円、オランダが 327 億円、イギリスが 243 億円などとヨーロッパ諸国が多くなっている。 特に技術輸出に関する親子間取引の占める割合及び米国との技術貿易額の多さが特徴的である。
(4) 実務上は、米国の用語法である「コストシェアリングアレンジメント(Cost Sharing Arrangements)」という形で結ばれているケースが多い。 し、国境を超えた関連企業の間で共同研究開発活動を行う日本の企業が増加している(5)。費用分担契約の大概は、無形資産の共同開発事業における費用の分担を取決めるものであり、予測便益に応じた費用負担に特徴がある。 この費用分担契約に関し、諸外国においては移転価格税制の観点から規定を設けているが、我が国は特別な取扱いを定めていない。そのため納税者の間では、実務上判断に迷うことが多く、費用分担契約に関する我が国の税制度の確立を望む声が多い(6)。これは納税者からすると、費用分担契約に関する取引において、課税上のメリットが指摘されているなか、どのような場合が許容されて、どのような場合に課税処分を受けるのかが不明であることに起因しているものと思われる。OECD(7)をはじめ欧米諸国の規定は参加者の要
(5) 日経 E-BIZ、米国最先端レポートによると製薬やハイテク業界を中心に締結されている。 Deloitte&Touche,「JSG US TAX NEWS」(2002 年 9 月/10 月号) xxxx://xxx.xxxx-xxxxx.xxx/japanese/deloitte/14.htm。
(6) 例えば、「日本の現行税制には費用分担契約の包括的取扱いを規定した条項がなく、必ずしも租税上のリスクが回避できる体制とはなっていない。筆者は最近費用分担契約の移転価格調査を経験し、費用分担契約における税務上の論点を検討する機会を得た。その中には、現行の税法を文理解釈することで対応できるものもあるが、現行の税制下では判断の難しい点も多い。併せて、各国の費用分担契約に関する規定の違いも、契約を起案する上で問題を複雑にしている。」とし、「我国においても、費用分担契約に関する全ての論点を網羅した、包括的な規定の制定が望まれるところである。」と指摘する徳永匡子「費用分担契約における契約締結上及び税務上の論点(上)」『国際税務』Vol.21 NO11,15 頁及び「費用分担契約における契約締結上及び税務上の論点(下)」『国際税務』Vol.21 NO12,27頁がある。他に、「1 日でも早く費用分担契約に関するわが国の取扱いが明確にされることが望まれます。」とする羽床正秀「費用分担契約の論点」『国際税務』Vol.21 NO3,46 頁や「わが国の税務当局は、費用分担契約自体について公の見解を出しておらず、納税義務者側からすると、不透明感がある。この点は、わが国課税当局の努力により、早急にその方針を対外的に明らかにするべきであろう。」と指摘する矢内一好『移転価格税制の理論』 (中央経済社,1999)125 頁がある。
問題の所在. 商法641条は,「保険ノ目的ノ性質若クハ瑕疵,其自然ノ消耗又ハ保険契約 *平成21年10月25日の日本保険学会大会(龍谷大学)報告による。 /平成22年1月20日原稿受領。 者若クハ被保険者ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害ハ保険者之ヲ塡補スル責ニ任セス」と規定する¹'。この規定の後段部分によれば,保険契約者又は被保険者の故意워'または重過失による保険事故の原因事実から生じた損害については,保険者は免責されることとなる。 この規定の法的性質を巡っては,我が国においてもすでに多数の優れた研究業績の蓄積があるが웍',本稿では,ひとつの裁判例を契機として,火災保険契約における保険契約者の故意の事故招致に焦点を絞り,その保険者免責に関して,検討を加えることを目的としている。 本稿執筆の動機は,以下の通りである。 まず,商法641条は,保険者が免責される要件として,悪意または重過失に関して,保険契約者と被保険者で並列に取り扱っているけれども,この両者の免責の趣旨を同一に考えてよいのか,という問題意識にある。というのも,保険者との間で保険契約締結の意思表示を行った保険契約者と,被保険利益を有し,保険事故が発生すれば保険金を受け取ることのできる被保険者とを比較すれば,それぞれ利益状況は異なり,これを一律に取り扱うことが必ずしも整合的な解釈方法とは思えないのである。そこで,本稿では,保険
1) 新たに単行法化された保険法第17条本文も,「保険者は,保険契約者又は被保険者の故意又は重大な過失によって生じた損害をてん補する責任を負わない。」と,商法641条と同様の規定をおいている。萩本修編著『保険法立案関係資料�新法の概説 ・新♛♛新対照表�(別冊商事法務 No.321)』5頁。
2) 商法641条における「悪意」とは,故意のことを指し示すと一般的には考え られている。山下友信『保険法』(有斐閣 ・平成17年)369頁
3) 教科書類は別として,この問題を直接取り扱った論説のうち主要なものを挙げると,大森忠夫「被保険者の保険事故招致」『保険契約の法的構造』(有斐閣 ・昭和27年)195頁以下,野津務『新保険契約法論』(中央大学生協出版局 ・昭和44年)235頁以下,竹濵修「保険事故招致免責規定の法的性質と第三者の保険事故招致㈠㈡」立命館法学170号43頁(昭和58年),171号634頁以下(昭和 58年),黒沼悦郎「保険事故の招致と保険者の免責」金商933号65頁以下(平成 6年),坂口光男「保険事故の招致と保険者免責」『保険契約法の基本問題』 (文眞堂 ・平成8年),竹濵修「火災保険における被保険者の保険事故招致」民商114巻4-5号670頁以下(平成10年)がある。 契約者と被保険者が別人格となる,他人のためにする火災保険契約における事故招致に焦点を当てることにしたい。 次に,重過失による保険事故招致の問題を除外し,故意の保険事故招致を中心として検討を加える点についてである。商法641条における重過失の意義を巡ってはさまざまな考え方がありうるところだが,少なくとも,故意の事故招致によって保険者が免責されるという点については,結論としてはこれに反対するものは見当たらない。そうして,この故意の対象は,保険事故の発生原因事実であるとされる웎'。しかしながら,故意の事故招致の場面で念頭に置かなければならないのは,事故招致に対する保険契約者の倫理的非難可能性にあるのではなく,保険者が免責されるのか否かという法律効果に向けられる。この視点からすれば,被保険者ではない保険契約者が故意の事故招致によって免責される理論構成とともに,保険者が免責されるために必要な,保険契約者等の故意とは何かということが,改めて問い直されなければならないのである。 したがって,以下では,保険契約者の故意の事故招致に関するひとつの裁判例を紹介し,これに検討を加えることによって,自らの考えの方向性を明らかにしてみたい。
問題の所在. 🎧研究の対象と意義
問題の所在. VAG 第 10a 条
問題の所在. 建物賃貸借契約において、 契約の際に交わされるいわゆる敷引特約に基づいて支払われる敷引金については、 その特約自体が消費者契約法 10 条に違反するかどうかが問題となる1。 消費者契約法 10 条は、 「民法、 商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、 消費者の権利を制限し、 又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第 1 条第 2 項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、 無効とする」、 と規定する。 しかし、 最高裁判所は、 「賃貸人は、 通常、 賃料のほか種々の名目で授受される金員を含め、 これらを総合的に考慮して契約条件を定め、 また、賃借人も、 賃料のほかに賃借人が支払うべき一時金の額や、 その全部ないし一部が建物の明渡し後も返還されない旨の契約条件が契約書に明記されていれば、 賃貸借契約の締結に当たって、 当該契約によって自らが負うこととなる金銭的な負担を明確に認識した上、 複数の賃貸物件の契約条件を比較検討して、 自らにとってより有利な物件を選択することができるもの
問題の所在. 長らく続く超低金利および超高齢化社会の到来により、老後資金の確保が国民にとって重要な課題となり、投資信託に対する社会的関心が高まっている。2011年に90.1兆円だった投資信託の純資産総額は、おおむね右肩上がりに増加し、2018年には206.1兆円に達している(1)。その一方で、投資信託をめぐるトラブルも多数発生している。2015年から2018年にかけて、国民生活センターの PIO-NET に寄せられた投資信託に関する相談件数は、年間数百件から千件以上に及ぶ(2)。 経済的にゆとりがなく、リスク耐性のない顧客や、高齢、病気などにより理解力が必ずしも十分でない顧客が勧誘を受けて商品を購入したり、元本保証の商品ではないにもかかわらず、元本が保証されると誤解して投資したり、低リスク商品であるとの説明を受けていたにもかかわらずハイリスクで元本割れした、手数料が想定外に高額だった、事業者が高齢者の顧客に対して社内ルールを守らない方法で勧誘・販売を行うなど、様々なトラブルが発生している。また、特別分配金は元本 の払い戻しであるにもかかわらず、その説明が十分ではなく、分配金の水準がファンドの実績を示すものだと顧客が誤解するなどのトラブルもある。 特に、投資経験のない高齢者が、販売業者に勧められるままに、多額の退職金を投資して、老後資金が大幅に目減りしてしまうことがあると、深刻な問題となる。 一方、年金制度の先行きが不透明な中、今後も資産運用に関する国民の関心はますます高まっていくことが予想されることから、投資信託契約の適正化を図ることが急務である。
問題の所在. 生命保険契約の申込みを受けて,保険会社は,告知書扱契約においては告知書の告知内容,診査医扱契約においては,診査結果等を基に当該被保険者の健康状態等を査定し,超過死亡率を算出する。その結果,標準体であれば契約を引受け,謝絶体であれば契約の引受けを謝絶し,特別条件を付せば引受け可能な場合には,契約者にその条件を付した形で契約を締結するか意思確認を行った上で契約者の承諾が得られれば,条件付契約として成立する。契約の条件には,いくつか種類があり,超過死亡率に応じて割増保険料を
問題の所在. 契約は、「その契約上の債権債務関係(以下では、「契約関係」と称する)が発生しなくなったとき」(例、賃貸借契約の期間の満了、解約申入れなど)には当然に終了する。また、「その契約上の債務の履行が完了したとき」にも終了する。ただし、この場面では、「主たる債務が履行されたとき」(例、売買目的物の引渡し、代金の支払いなど)の他、「従たる債務が履行されたとき」(例、売買目的物の据え付 法律論叢 91 巻 2・3 合併号 (付随的義務・保護義務の履行)など、段階的な局面として捉えられる(1) 。さらに、なされた履行が契約内容に適合しなかったり、不履行に基づき契約が解除されたような場合には、原状回復義務や損害賠償債務なども発生するが、この債権債務 関係と当初の契約関係との関連性も問題となる。このように、「契約の終了」概念や終了へ向けたプロセスは、一義的には定まらない(2) 。 他方で、ある契約の終了原因が発生した場合に、契約関係の解消・清算という方向へ向かうのではなく、当初予定していた契約関係ないし契約利益を可能な限り維持・確保する方向での法的処理も考えられる。このような志向は、一般に「契約の尊重(favor contractus)」と称され、後述するように、近時の国際取引法規律の 検討を通じて注目されてきた思想である(3) 。「契約の尊重」の思想からは、例え ば、契約の成立に関して申込みと承諾の完全な一致は要件とされず、原始的不能も契約の無効原因とはならず、契約の解除に関しては、可能な限り本来的な履行請求権(催告)を義務づけて契約関係を維持し、解除権の発生には「重大な不履行(重大な契約違反)」という厳格な要件が課される。また、いわゆる事情変更やハードシップ(履行困難)が生じた場合の再交渉義務や契約改定権の承認、不完全な履行 に対する債権者による追完請求権や債務者の追完権(治癒権)の付与等の契約法規範が導かれる(4) 。このように、「契約の尊重」は、契約の不成立・無効・解除など
問題の所在. 以上の通り,現民法 419 条との関係では,
問題の所在. 消費者と事業者との間には情報の質及び量に格差があることを踏まえると、事業者は、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解が 不十分であるときは一般的・平均的な消費者のときよりも基礎的な内容から 説明を始めるなど、個々の消費者の理解に応じて丁寧に情報提供を行うこと が望ましい。この観点から、法第3条第1項第2号は、事業者の努力義務とし て、消費者の理解を深めるために、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上 で、消費者契約の内容についての必要な情報を提供することを定めている 15。 近年、消費者取引がますます多様化・複雑化していることに照らし、個々の消費者の理解に応じた丁寧な情報提供がより積極的に行われるようにするため、情報提供に際し事業者が考慮すべき要素として、個々の消費者の「知識及び経験」以外の要素を加えることが考えられるところであり、平成 30 年の法改正等における附帯決議により、年齢、生活の状況及び財産の状況についても考慮要素とすることの検討が求められている 16。